時が染みる

ほんと苦手だ
この箱は
そのため

あまり開けなくなった
フタ
そりゃそうだ

雪のように
時も積もって
下の方は
押し固まってる

ぼやけた指
その隣に
笑顔の花
ごはんつぶのおさじ

白と黒のパラダイス

もう少しだけ
ここにいよう

風で

こんな時は
出かけよう
何も持たずに

私を追い越す
風たちを
今度は
追い越してやる

隣にはいつも
波の音

何も持たずに
ただただ
洗い流す
今

あめちゃん

心に抱えたもの
見せるより
涙の粒が
落ちるより

何倍も速く
突き出す

開いた拳に
３つ

こんなに
ぞんざいで
こんなに
やかましく

稲妻の衝撃
口にした瞬間
溶ける自分

星とビデオと

時の残り香
眩い光
すべてがスローで
すべてが懐かしい

切れて
再生出来ない
ビデオテープ

一瞬一瞬
巻き戻していく
記憶は

夜空に輝く
宝石

悠久のものへ
自分のものへ

足音の気持ち

踊る秒針
軽やかに刻む音
笑顔のにおい

心臓の鼓動
押し寄せる音
黒い影

言わないぶんだけ
聞いてきた
喋る足音

小さく滑り
ささやく
スリッパ

閉じた瞳に
今を見せる