パピとママ映画のblog

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トランセンデンス ★★★.5

2014年06月28日 | アクション映画ータ行
『ダークナイト』シリーズなどのクリストファー・ノーラン監督が製作総指揮を務めるSFサスペンス。亡き科学者の意識がアップロードされた人工知能が進化を果たし、人類や世界を混乱に陥れていく。メガホンを取るのは、『インセプション』『マネーボール』などの撮影を手掛けてきたウォーリー・フィスター。ジョニー・デップ、モーガン・フリーマンら、実力派スターが顔をそろえる。電脳化が進む現代に警鐘を鳴らす物語と鮮烈なビジュアルに息をのむ。

<感想>映画界ではすでに「神レベル」の地位を不動にするスター、ジョニー・デップが文字通り「神」のような存在に進化を遂げるこの新作。彼が演じるのは科学者の頭脳が、最新鋭のコンピュータにインストールされるという斬新で奇抜なストーリーである。

ウィルの妻エヴリンには、レベッカ・ホールが、夫婦のよき友人マックスには、ポール・ベタニーと、そして、AI研究の先駆者であるジョセフには、モーガン・フリーマン、FBI捜査官のブキャナンに、キリアン・マーフィという顔ぶれである。

物語は、資金集めのための講演会の檀上で、反テクノロジーを叫ぶ過激派グループRIFTに銃撃される科学者ウィル。傷は浅かったが、銃弾に塗られていた放射能物質によって彼の身体は蝕まれており、余命4~5収監と診断される。

ウィルを失いたくない妻のエヴリンは、研究中の“PINN”を基に、ウィルの頭脳をコンピュータにインストールしようと決意。それは成功し、彼女は死後もサイバー空間で生きるウィルとコンタクトをとり続ける。
コンピュータ内でウィルの頭脳が再生。喜ぶエヴリンだが、ネットを通して世界中のサイトにアクセス可能になったウィルは、もはや人間の心をなくしていた。しかし、不治の病も完治させるなど、ウィルは「神」のような存在になる。その暴走を止めるには、エヴリンもテロリスト集団に協力し、コンピュータを全停止するしかないのだ。

2年後、ウィルの意識は砂漠の地下施設でハイテク治療を行い、その技術はもはや神の領域。ジョセフらは事態を危険視してエヴリンに警告するが、もはやだれもウィルを止められない。
もしコンピュータがが自らの意志を持ったら、不正アクセスやハッキングなどネット上での犯罪もやりたい放題。超大国も簡単につぶれてしまうわけで、人類は太刀打ちできない存在に。
現在の進化を考えると、2040年代には、1台のパソコンが全人類の脳の計算力に追いつくとか、・・・。将棋やチェスでもすでにコンピュータが人間に勝っているので、本作のAIは現実的になるかもです。

AI(人工知能)のウィルが善人のままなのか、それとも悪人になったのか。あるいは穏やかなのか過激なのか、その辺を曖昧にしているので、それは妻のエヴリンが、夫を愛するばかりにその頭脳だけでも残そうとするのが、この映画の発端であり、ウィルは新しい力を得てやがては人間の生命をも操る巨大な知的存在となる。その姿はかつて自身が夢見た理想の未来とは大きく違っていた。

ゴーストタウン化した砂漠の小さな町の外れに位置する工場を研究室に改造。砂漠には無数のソーラーパネルを設置し、“電子ウィル”を動かすためのエネルギー源にする。このようなコンピュータを動かすとき、実際にエネルギーの消費がハンパじゃないというから。この辺の描写は限りなくリアルです。コンピュータの機器が並んだ研究所内部の人工的かつ無機質なデザインは、そこに“電子ウィル”と暮らすエヴリンの孤独を際立たせとても効果的でした。

しかし、このドラマの核となっているのは、ウィルとエヴリンのラブストーリーでもあるのですね。2人の夫婦愛がドラマとエモーションを支えているわけで、彼女がモラルを超えて夫に次なる生を与えてしまうのも、彼を失いたくないという強い想いがあったからこそ。サイバー内で生きるウィルが成長し、より生前の自分に近づこうとするのも、エヴリンを愛するがため。2人の夫婦の絆と愛情が強ったからこそ起きた事件なのですね。
近い未来、現実に起こりそうなリアリティを備えたうえ、いつか機械が人類を超越するとき、人間はデーター化できるのだろうか、そこに人格はあるのか。
緊迫アクションと感動も盛り込んだ野心作であり、さらには夫婦愛なども織り交ぜており、女性にも受け入れやすいSFサスペンスとなっています。
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