パピとママ映画のblog

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蜜蜂と遠雷★★★・5

2019年10月24日 | アクション映画ーマ行

史上初となる直木賞&本屋大賞のW受賞を果たした恩田陸の傑作ベストセラーを実写映画化した音楽青春ドラマ。 国際ピアノコンクールを舞台に、それぞれに事情を抱えながら大会に挑む4人の若手ピアニストの葛藤と成長を描く。主演は「勝手にふるえてろ」の松岡茉優、「孤狼の血」の松坂桃李、「レディ・プレイヤー1」の森崎ウィン、オーディションで選ばれた新人の鈴鹿央士。共演に臼田あさ美、斉藤由貴、鹿賀丈史。監督は「愚行録」の石川慶。

あらすじ:3年に一度開催され、若手ピアニストの登竜門として世界から注目を集める芳ヶ江国際ピアノコンクール。母親の死をきっかけに表舞台から消えていたかつての天才少女・栄伝亜夜は、復活を期してコンクールに挑もうとしていた。そんな彼女の前に立ちはだかるのは、楽器店勤めで年齢制限ギリギリのサラリーマン奏者・高島明石、亜夜の幼なじみで名門ジュリアード音楽院に在籍する優勝候補最右翼のマサル・カルロス・レヴィ・アナトール、そして今は亡き“ピアノの神様”ホフマンに見出され、コンクールに波乱を巻き起こす謎に包まれた無名の少年・風間塵という、バックボーンもピアノとの向き合い方も三者三様のコンテスタントたち。そんなライバルたちとコンクールを通して刺激しあい、悩みながらももう一度自分の音を取り戻そうともがく亜夜だったが…。

<感想>全く異なる境遇にある4人のピアニストたちが、国際コンクールでの熾烈な戦いを通して刺激し合い、葛藤し、そして成長を遂げて“覚醒”していくさまを描く。前作の「愚行録」の石川慶監督がメガホンをとり、本作では、人を見る目の静かな厳しさとも通じるそんな質感は、昨今稀有な美点になっているのだろう。

ただし、原作の音楽にまつわる大きな感情、人が生まれながらに抱いている、寂しさを歌うとといった言葉の力に勝る、映画の力という点では物足りなさもあった。

 

劇中で奏でられるピアノの音を河村尚子氏、福間洸太朗氏、金子三勇士氏、藤田真央氏といった日本を代表する一線級のピアニストたちが担当。オリジナル楽曲「春と修羅」を国際的に評価の高い作曲家・藤倉大氏が手がけている。

4人のピアニストたちが目指すのは「ここを制した者は世界最高峰のS国際ピアノコンクールで優勝する」というジンクスをもち、近年高い注目を浴びる芳ヶ江(よしがえ)国際ピアノコンクール。特報では、4人がそれぞれの想いを胸に、生命と魂を懸けた戦いに挑むさまを活写。

母を亡くしたことがきっかけで音楽の世界から失踪するも、再起を目指し再び表舞台に戻ってきた“復活の神童”栄伝亜夜(松岡)。彼女の表情演技の素晴らしさに、まず心を揺さぶられた。

「昔はもっとピアノが楽しかったよなぁって…」と心境を打ち明け、家庭と仕事を持ちながらも夢を諦めきれず、出場年齢ギリギリで最後のコンクールに挑む“不屈の努力家”高島明石(松坂桃李)が「“生活者の音楽”、それを込めたかった」と自らの信念を明かす。松坂桃李は、絵に描いたような普通を、難なくこなす、さすがに芸達者がそろい踏みしていた。

そして、優勝大本命の“信念の貴公子” マサル・カルロス・レヴィ・アナトール(森崎ウィン)は「新しいクラシック、それをやりたいって夢がある」と思いの丈を述べながら、熱量あふれる演奏を披露。

それに、今は亡き“ピアノの神”からの「推薦状」を持つ“祝福の異端児” 風間塵(鈴鹿央士)は「世界中にたったひとりでも、ピアノの前に座ると思う」と言い放ち、コンクールに波乱を巻き起こす。

それぞれに、全く異なる境遇にある4人のピアニストたちが、国際コンクールでの熾烈な戦いを通して刺激し合い、葛藤し、そして成長を遂げて“覚醒”していくさまを描ている。

中でも謎めいたクロークの女役を片桐、「春と修羅」の作曲家・菱沼忠明役に光石、コンクール会場の責任者・田久保寛役として平田が参加している。

ポーランドの名優ヒラは、芳ヶ江国際ピアノコンクールの審査員を務め、マサルの師であるナサニエル・シルヴァーバーグ役を演じ、斉藤由貴が同コンクールの審査員長で、ピアニストたちの命運を握る重要人物・嵯峨三枝子に扮していた。鹿賀が挑むのは、世界的指揮者の小野寺昌幸役。コンクールの最終選考でオーケストラの指揮を執り、亜夜らピアニストたちを叱咤するという役どころだ。

 

優勝本命のマサル・カルロスが、世界的指揮者の小野寺昌幸にオーケストラのフルートの音が聞こえづらいといい、もっと大きな音で演奏してくれと頼むシーン。驚く世界的指揮者が、ピアノはオーケストらに合わせて弾くものだと、強弱は私が指示を出すと言うのだった。そのことで揉めるマサル、若いっていいよね。自分のピアノ演奏にオーケストラが、合わせてくれるものだとばかり思っていたのだろう。

決勝のシーンの3人は、まさに演奏吹き替えによる動きの不自然さなど、あまり感じることなく、清涼感と緊迫感は途切れずに、最後はじんと胸の奥が温かくなった。欲を言えば、長いお休みだった栄伝亜夜に優勝を取らせたかった。

1位は、“信念の貴公子” マサル・カルロス・レヴィ・アナトールが優勝して、2位に栄伝亜夜だった。彼女は母親を亡くしてから心の中の葛藤と、自分が本当にピアノ奏者として今後やっていけるのかが、勝負だったに違いないから。3位は、“祝福の異端児” 風間塵くんが、彼はこれからだって、いくらでもチャンスがあると思うので。

ピアノソロのコンクールの映画は、大好きでよく鑑賞します。今回は、秋の日の初めの、良く晴れた日の木漏れ陽にも、似たようなそんな感じを楽しんだ。

 

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