ひっくり返ったおもちゃ箱

アジアのドラマや映画、少女マンガ、アニメ、小説などの感想と妄想箱。
ネタばれ全開です。未見の方はご注意ください。

台湾映画 誘惑の罠 (原題:愛的發聲練習 )

2013-05-11 | 映画 や行
気になっていた大S(バービー・スー)の映画をTSUTAYAで見つけたので借りてきました。



この下の但し書きはお気になさらずに(笑)↑
だって画像が殆ど無いんだもん。動画も見つけられなかったし。


誘惑の罠 [ 原題:愛的發聲練習 ]
台湾 2008年
監  督:李鼎(リー リーディン)
キャスト:
子猫 役 ・・・ 徐熙媛(バービー・スー)
阿良 役 ・・・ 彭于晏(エディ・ポン)
小古 役 ・・・ 張孝全(ジョゼフ・チャン)
Sunshine 役 ・・・ 東明相(イーストン・ドン)



以下、ネタばれを含む感想です。


原題は「愛的發聲練習 」…「愛の発声練習」なのに、邦題の「誘惑の罠」って、なんとも意味不明であります。
世間では大Sの大胆なベッドシーンが評判だったようですが、ま、この主人公のキャラなら妥当なシーンでしょうね(えらく上から目線です(^^ゞ)

あ~主役は「子猫」と書いてマオと読むのね~字幕は片仮名でマオだったので気づきませんでしたが~まさに「子猫」のような主人公です。
こんな女に惚れてしまったら、男はしんどいだろうなぁ~。

子猫はどうやら生まれてすぐに母親に捨てられたようですね。
学生(高校?)時代に、長く離れていた母が迎えに来て、新しい父と妹との暮らしを始めます。
この妹はマオの実の妹なのかなぁ~。その辺りがよく分からない。
この義父とそりが合わなくて(というか、このオヤジ、義理の娘の風呂を覗いてますから!なのに母さん、それを「誤解よ」と無かったことにしようとしてますから!)家を出て、同級生の阿良(エディ・ポン)と暮らし始めます。
阿良の両親も離婚していて、互いを家族と思い合いささやかに暮らしますが~阿良は兵役で入隊してしまいます。
淋しさと経済的な苦しさから援助交際の相手を探しはじめた子猫。
そこで出会った小古(ジョセフ・チャン)に阿良とは違った愛を感じ、小古に溺れていきます。
そこに兵役の休暇で阿良が帰ってきて、子猫と小古の関係に気づき…。


うわ~大Sが学生服、着てる~~!
台湾映画、なんと大胆なんでしょう。いやいや、よく考えてみたら「泡沫の夏」でも学生服だったよね。泡沫は2010年で、この作品は2008年のだから問題は無い…はず。でも毎回、驚いてしまうのは何故だ。

そして、子猫が二股(おい)かけるエディ・ポンとジョセフ・チャンは似てるねぇ。
右端と左端の彼ね。


同じ系列の顔に見えます~笑い方がよく似てるので、子猫は最初は小古(ジョセフ)に阿良(エディ)の面影を追っていたのかもしれないと思えました。
ジョセフは大人の男を演じていますが、やっぱり忍者ハットリくんです。エディも忍者の格好が似合いそうだね。

原題そのままに子猫はずっと「愛って何?」と聞き続けます。
愛した男たちはそれぞれに答えてくれますが、子猫は実感できないのでしょうか、ずっと発声練習のように問いかけ続けます。

いろんな形の愛があるよねぇ、
子猫に裏切られてヤケになっている阿良に近づいてきた人には「えええ!それって、有りなの?」と驚きました。
そして、それを阿良は受け入れるのよ~(゜д゜) これまた驚いた…うん、愛は性別を超えるからねぇ。

生まれてすぐに母に捨てられた子猫は、ずっと愛に飢えていたのでしょうね。
十数年振りに再会した母。住むところを転々としていた子猫は嬉しかっただろうな~。
でも、きれいで優しい母には夫が居て、その人は子猫にとっては父ではなく、自分を貶める存在でした。
なのに母はその男の肩を持つ。子猫は絶望します…これは辛いわねぇ。母である前に女である母ってホント、しんどいよね~特に娘には。

幸せな家族を作ることが子猫の夢でした。
親はあてにならない、だから自分で家族を作ろうとした。
一番安心できた阿良は兵役で居なくなってしまい、生活は苦しく、援助交際相手として現われた小古には阿良の面影があり(←私感です)心も身体も生活も支えてくれる。
そんな彼に夢中になるのも無理はない…のかな。
でも、彼には家庭があり、妻が妊娠した。

う~ん、寂しさとお金のために、援助交際を始めようと思ったきっかけが分かりにくかったなぁ~。
貧しくても淋しくても、がんばって彼の帰りを待てる子だっていると思うよ~でも、それが子猫には出来なかった。
義父に頼りっきりだった母を嫌がっていたのに、援助交際という手段を取る、そこに至るまでの子猫の葛藤や心の動きを見せてくれたら良かったのにね。

自分を愛してくれる人が側に居ないと不安で仕方ないんだろうね。
でも、小古を阿良と暮らしてた部屋に引き入れるという無神経さ、無防備さには驚きました…まぁ、その無神経もまた、子猫の魅力なのかもしれないなぁ。
阿良と子猫の写真が飾ってあるあの部屋は子猫にとって一番安心出来る場所だったのかしら。

そういえば、小古はいつもメールで連絡をよこしていて、メール画面で場面が変わっていたのが新鮮でした。
対照的に子猫、妹のシン、阿良は手紙やメモで気持ちを伝えあっていて、サンシャイン(第三の男)は絵描きだったなぁ~。
いつもメールで連絡していた小古は最後に手紙を書きながら泣いていた。
…これはどういうメッセージなのかしら…ううむ。
みんな、心を伝える方法を探していたのかなぁ…だから子猫はサンシャインの絵に惹かれたのかなぁ。

サンシャインは耳が不自由だけど、まっすぐな瞳とまっすぐな心を持っていて、子猫をまるごと引き受けてくれようとします。
純朴な両親にたくさん愛を注がれて育ったサンシャインは(その名の通り)子猫にはきっと眩し過ぎたのでしょう。
「ウソをたくさんついてしまう」と彼から離れようとする子猫、辛かったんだね。

仲直りした子猫と阿良は阿良の友人(彼?)と子猫の妹は家族のように4人で、あの部屋で暮らしていました。
サンシャインと別れるために、一番安心できた部屋からの引っ越しを決める4人。
出ていくのが子猫だけじゃないのよね。みんな一緒に出ていくのよ~…というところで映画は終わります。


この不思議な関係の男女四人は「家族」なんだろうな~傍から見たらママゴトのような暮らしだけれど、きっと彼らにはかけがえのない大切なものなのでしょう。
生まれてくる子猫の子供は愛されて育つといいな…って父親は誰なん?阿良?小古?サンシャインじゃないよね?
…父が誰であっても、皆できっとその子を可愛がるよね。

…どこか遠い街で、子猫と阿良、その彼(名前忘れた)とシンが、新しい生命を中心にあたたかい家族として笑いあえていますように。
愛されずに育った子は「愛」の体験が無いから、自分が親になっても、その子を愛することがとても難しい、と聞いた事があります。
彼らもまた愛されずに育った子らだからね~生まれてくる赤ん坊に愛を注ぐ事で彼らが幸せになれますように…と、そんな事を願った映画でした。
だから「誘惑の罠」という邦題は、どうしても解せんのよ!


配役が大S、彭于晏、張孝全と俳優人が有名&キレイどころで見応えはあります。
調べてみたら、未だレビュー、感想は殆ど無いようで、ラストの意味が分からないという意見もチラホラ見ました。
映像が綺麗で印象的で、小道具等も洒落ています。
場面の転換が唐突なので、子猫の孤独が具体的に感じられず、登場人物の気持が分かりにくいのが残念。


大Sは「戦神~MARS~」の時が一番よかった気がします。
相変わらずキレイだけど顔が平べったくなったよね。太ったから?…腰の周りのふくよかさは年輪かしらね。
この役が違う女優さんだったら、どう表現し、どう評価されたのかな~とも思いますが、彼女じゃなかったらこの映画が日本に来ることも無かったかもね(汗)
そしてエディは相変わらず可愛い♪(楊七郎~!)あ~眼福。
ハットリくんも相変わらずスタイル良くて、かっこいいです~この背中、背筋に障りたい。


好ききらいが分かれると思いますが~不思議な映画です。
機会がありましたら、見てみてください。