良寛は江戸時代、現在の新潟県に、名主(なぬし)の家の長男として生まれました。しかし、自分には社会性が乏しく一般社会、「定型発達」の人びとの間で生きてゆくのはむずかしいと、若くして感じとったようです。そして、出家者として生きる道を選びました。その後は、自分の理想を大切にしながら、短歌・俳句・漢詩を作ったり、近所の子どもたちと毬(まり)つき遊びをしたりしながら暮らしました。当時の人びとからも敬愛され、質素に自由にその人生をまっとうしました。
良寛の生き方は、今でも自閉症者の生き方のヒントを与えてくれているように思います。一般社会からほどよく距離をおいて、できるだけ自分らしく心おだやかに生きていくというのもいいかもしれません。
「災難に逢う時節には災難に逢うがよく候
死ぬる時節には死ぬがよく候
これはこれ災難をのがるる妙法にて候」
良寛がある人に宛てた手紙に書いている言葉です。
今、感染症の流行におびえている私たちにも響いてくる言葉です。