こんにちは、司法書士・ペット相続士の金城です。
世界自然遺産に登録されている鹿児島県奄美大島で駆除が進められてきたマングースについて、環境省が9月3日、根絶宣言をしたとのニュースが報じられました。
マングースは元々、中東から東南アジアにかけて棲息していた動物です。
1910年(明治43年)、インドから沖縄にマングースが持ち込まれると、沖縄住民らはハブとの戦いを見物しようと押し寄せ、地元各紙は連日のように、マングースの様子を報じたとのことです。
マングースフィーバーの背景には、当時、住民たちが畑のサトウキビを食い荒らすネズミや、猛毒のハブの被害に悩まされていたことがあったようです。
マングースが沖縄に持ち込まれた発端は、東京帝国大学(現・東京大学)の動物学者が、旅先のインドでコブラを襲うマングースを見て、ハブの天敵になるのではないかと考えたことにあったようです。
当初、沖縄に放たれたマングースはわずか17匹だったとのことですが、徐々に個体数が増えて行き、野生生物として定着して行きます。
鹿児島県の奄美大島には、ハブ退治を目的に、1979年頃に沖縄から30匹程度のマングースが持ち込まれます。
ところが、ハブは夜行性で、マングースは昼行性のため、マングースがハブを襲うことはほとんどなく、ハブを退治するという当初の目論見が外れます。
一方で、マングースが特別天然記念物のアマミノクロウサギなどを襲って食べてしまうため、アマミノクロウサギなどの奄美大島在来種の数が減っていくという結果を招きます。
そこで、環境省と沖縄県は2000年以降、一転してマングースを害獣として駆除を始めるに至ったという経緯があります。
現在までに、記録に残るマングースの捕獲頭数は累計32,000匹余りとのことで、捕獲したマングースは窒息死や溺死により殺されたようです。
人間の勝手な都合で日本に持ち込まれ、人間の勝手な都合で殺されていったマングースの悲運に思いを致すとき、「根絶宣言」を高らかに歌うことには疑問を感じざるを得ないところです。
マングースに限らず【特定外来生物】全般についていえることですが、マングースのような悲劇を防ぐためには、後追いで【特定外来生物】に指定する体制を早急に改めるべきであると考えます。
事前の対策はできるはずです。