こんにちは、司法書士・ペット相続士の金城です。
最近受任した案件で、公正証書遺言に不備があった事例を紹介しておきます。
遺言者は資産家で、公正証書遺言を遺していました。
法定相続人は7人で、遺産総額は10億円近くに上ります。
公正証書遺言(案)の作成に当たったのは弁護士でした。
遺言の内容は、「Aには●を、Bには●●を、Cには●●●を相続させる」といったものでした。
ところが、相続させる予定であったAが遺言者よりも先に亡くなっていました。
この場合、「Aには●を相続させる」という遺言の部分は無効となり、Aが相続する予定であった遺産は法定相続の対象になります。
つまり、法定相続人7名による遺産分割協議を経て、誰が相続するかを決めなければならないことになります。
遺言内容に不備がなければ、公正証書遺言によって円滑に遺産の分配が進んだところ、不備があったために遺産の分配が大きく遅滞することになった事例です。
人は順番どおりに亡くなるとは限りません。
その事態に備えて、法律専門職なら通常は「予備的遺言」を定めておきます。
この事例でいえば、「Aが遺言者よりも先に亡くなった場合は、Aの子に相続させる」という具合です。
BとCについても同様です。
ちなみに、「相続させる予定の人物が遺言者よりも先に亡くなったときは、法定相続でよい」と遺言者が考える場合は、予備的遺言の定めは不要です。
予備的遺言の定めが不要である事例を挙げておきます。
遺言者は配偶者に先立たれ、子がAとBの2人いるとします。
なお、Aは生涯独身で、配偶者も子もおらず、Bには子が1人いるとします。
子2人のうちAには特に世話になったため、遺言者は「Aにすべての財産を相続させる」という遺言の作成を考えています。
そして、仮にAが先に亡くなった場合は、Bにすべての財産を相続させたいと考えています。
さらに、仮にBも先に亡くなった場合は、Bの子がすべて相続すればよいと考えているとします。
この事例の場合であれば、予備的遺言の定めは不要といえます。
なぜなら、もしAが遺言者より先に亡くなった場合は、遺言者の法定相続人はBのみになるため、法律上当然にBがすべての遺産を相続することになるためです。
つまり、「遺言者よりも先にAが亡くなった場合は、Bにすべてを相続させる」という予備的な定めは不要ということです。
また、仮に、Bも遺言者より先に亡くなった場合は、Bの子1人が法律上当然の相続人になります。
このように、予備的遺言の定めが不要となる例もあります。
しかし、通常は、予備的遺言の定めが必要になると考えておくべきです。
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