冥土院日本(MADE IN NIPPON)

企業のカルマ、個人のカルマ

●企業活動の規範

数回にわたり自動車メーカーの批判めいた文章を書いてきたが、このブログの主旨は自動車メーカー批判や、自動車社会を否定することが本意ではない。自動車産業に限らず、全ての企業が抱える共通の問題をスピリチュアルな視点で考えることにある。

今、企業活動の規範が狂い始めている。規範の中核が高い見識やモラルではなく、経済効率優先の市場原理主義になっているのである。言い換えれば拝金主義に侵されているのだ。利潤追求のためには手段を選ばない姿は醜い。合法であれば自由に企業活動して良いとするのは、人間のおろかな思い上がりであろう。

法とは何か、法とは人間が自分の都合で作り出したものに過ぎない。人間が真に守らなければならないものは自然の摂理である。人が作った法律に従っていれば、人によって罰せられることはないだろうが、自然の摂理に従わなければいつかはその報いを受けることになるだろう。


●カルマの法則

自分が作り出したカルマは必ず自分に帰ってくる。何故ならそれが宇宙の厳然たる摂理であるからだ。そして肝に銘じておかなければならないことは、企業が創りだすカルマは決して企業が創るのではない。企業活動を担う社員、そう貴方が創りだすものである。社員の一人一人のカルマが集まって、企業のカルマは創り出されていくのだ。

企業は時に社員に対し理不尽な課題を与える。そして貴方の正しい主張を無残にも握りつぶし、抗う余地を与えない。その悔しい思いを貴方の胸の内に留め置くだけなら良いのだが、言われるままに下請け企業や取引企業に、そのつけを回したり、悪いことと知りつつ、組織の意向に従い悪事に手を染める。それは貴方が自分自身で悪いカルマを創り出していることに間違いない。  

例え、今生で貴方がカルマの解消をしなくてすんだとしても、死後あの世で貴方は自分のカルマに責任を取らなければならない。貴方が創り出した悪いカルマが大きければ大きいほど貴方自身だけでは済まず、貴方の愛する家族もカルマの責任を取らなければならなくなるのだ。これが「家のカルマ」だ。


●パタゴニアという会社

企業のあるべき姿の一例として、アメリカのアウトドアメーカーの「パタゴニア」をご紹介しておきたい。企業拡大や利潤追求を企業目的とせず、自社にとって何が社会と環境に貢献できることなのかを模索し続ける企業姿勢が、多くの人々に評価されている企業である。第三者が書いたものではないが、その内容に誇張はないと思われる。読んでいただければ、企業とはどうあるべきかが伝わってくると思う。

★パタゴニア カンパニー ヒストリー
http://japan.patagonia.com/japan/culture/patagonia_history.shtml/

●自動車マンの良心

自動車メーカーへの批判めいた記事ばかり書いた罪滅ぼしに、最後に自動車マンの良心と高い見識を象徴するエピソードをご紹介しておく。

ホンダ本社ビル(港区南青山)の建設が計画されていた時のことである。幹部が本田宗一郎氏に出来上がった新社屋の最終図面を見せた。その図面はビルの外壁が即ガラス窓という設計であった。

その図面をしばらく見ていた本田宗一郎氏は幹部に尋ねた。「大きな地震が襲った時、ビルのガラスはどうなるのか」幹部は答えた「割れるかもしれません」。本田宗一郎氏は言った「建物の周りは人通りが多い。安全を第一とする自動車会社が建物のガラスで通行人に怪我をさせたのではまずいだろう」

この一言で、直ちに設計が見直された。ビルの窓は室内有効面積を削って、ビルの外壁面より一段奥に設置された。そして外壁面の下の部分がガラスの落下防止フェンスを兼ねた設計となった。ホンダは室内スペースの減少と建設コストのアップを承知の上で通行人の安全をはかったのである。


「完」


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コメント一覧

フォトン
本当にそうですね。
周りを見回すと本当にそういう企業が目立ちます。我が家はあまりにも眼に余る商売をしている会社の製品は買わない、使わないをモットーにしています。消費者のささやかな抗議です。
sao
常々感じています。
車だけでなく、すべてが利益追求のみの為の企業ばかり。

日常生活でも感じます。

例えばコンタクトレンズ。

本当は、安全で半永久的なレンズを作る技術を既に持っているのではないかと。

利益を得る為に、技術を出し惜しみ、資源を無駄に使っているのではないかと、常々感じてしまいます。

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