冥土院日本(MADE IN NIPPON)

気枯れ

今宵の鍋ネタは知人夫婦の話である。

知人は信仰心も深く、見えない世界への知識と理解もある。趣味は花や木々を育てること。都会暮らしに不足する自然の気を補うために、庭に草花を植え、室内でも多くの観葉植物を大切に育てていた。

ある時期から、仏壇に供えた花が長く持たないことに気づいた。知人は草花の知識も豊富であり、切花を長持ちさせる方法にも熟知していた。新鮮な花を選び、水切りを充分に行っても1週間もしないうちに花が枯れてしまうのである。夏場の暑い時期であるなら納得できなくも無いのだが、気温が低い季節ではおかしな話であった。

やがて仏壇の花だけでなく、居間や寝室の観葉植物が異変を起こし始めた。日中は日当たりの良い窓側に植物を移動し、天気の良い暖かな日には室外に出で充分に太陽の光を当て、水やりにも充分気をつけているにも関わらず、葉が変色し、やがて枯れてしまうのである。

そんなある日の事、突然奥さんが知人に離婚届を突きつけ、子供を連れて実家に帰ってしまった。奥さんの言い分によれば長年の不満が溜まり溜まってのことだということであったが、本題から外れるので詳しい理由は省くことにする。

翌日から知人の一人暮らしが始まった。知人の奥さんは土いじりが嫌いで、草花の手入れや世話をするような人ではなかった。また嫁ぎ先の祖先の仏壇に花を供え、手を合わせるような人でもなかったそうだ。当然ながら、祖先へのお勤めも草花の手入れも、以前と変わらず知人が続けていた。するとどうであろう。仏壇の花が2週間3週間と一月近くも枯れずにいたのである。そして枯れかかっていた観葉植物も元の元気を取り戻した。

そんなある日、奥さんが荷物を取りに自宅に戻ってきた。その時の奥さんはまるで別の人格が乗り移ったかのような怖い形相であったそうだ。奥さんの顔を見るなり、知人は突然頭痛が始まり、石でも乗せられたかのように肩がずしりと重くなった。そのような有様だから、その日はろくな話も出来ぬまま、奥さんは荷物を持って実家に戻って行ったそうである。

翌朝知人が目覚めると、肩だけでなく、身体全体に石を乗せられたような感じがして、起き上がることも出来ないくらいの強い疲労感に包まれていた。そして、やっとの思いで寝床から這い上がると、室内の異変に気がついた。元気を取り戻していたあの観葉植物が、黄色く変色し、枯れ始めていたのである。知人はその時、即座に花や植物が枯れる原因を悟ったそうだ。

植物は良い気を出すばかりでなく、周囲の悪い気を吸収してくれる。病気見舞いに花を持参するのは病室の悪い気を吸収し、病人を癒してくれる力があるからだ。植物は『気の浄化装置』とも言える。悪い気が強すぎて吸収浄化能力の限界に達すると花や植物は枯れてしまう。そして悪い気とはその大半が、人が発散する思い(想念エネルギー)に他ならない。奥さんが発散する不平不満の強い想念が仏壇の花と観葉植物を枯らしていたのであった。

波動の低い悪想念が草花を枯らす『気枯れ(けがれ)』こそ、『穢れ(けがれ)』そのものなのかもしれない。

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