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粗塩の効用 その2

●禊
古来、わが国の神道は禊(みそぎ)を重要視する。禊の神話的起源は、伊邪那岐命(イザナギノミコト)が死者の国である黄泉国から帰ってきたときに、死の穢れを祓うために筑紫日向橘小戸の阿波岐原(つくしのひむかのたちばなのおどのあわぎはら)で禊祓(みそぎはらい)を行ったことにある。この禊によって誕生したのが天照大神、須佐之男命、月読命の三柱の神々である。

小戸の阿波岐原がどこであるかは不明であるが、川の下流の汽水域であったという説がある。汽水とは川の真水と、逆流した海水が混じる流域のことである。「水に流す」という言葉もこの故事に端を発する。現在でも神社によっては禊を海水で行うところもある。葬儀の後、死の穢れを塩でお清めを行う風習は仏教の教えにはない。これは本来神道の教えに由来するものである。

●大地のエネルギー
海水に含まれる塩やミネラル分は、もともと大地に含まれる成分が雨水に溶け出し、気の遠くなるような年月をかけて海に運ばれたものである。いわば大地のエネルギーのエッセンスともいえよう。そしてその海から生命が誕生した。天照大神、須佐之男命、月読命の誕生の故事も、これに呼応するかのようでもある。神棚に粗塩と水を供えるのは、両者が生命の源である大切なものであること。さらに罪穢れを祓う霊力を持ったものであるという考えが類推できる。

●気枯れ
「穢れ」とは「気枯れ」であるとされる。私達の身体は生体エネルギーを発している。この生体エネルギーが「気」である。私達が持つ気が枯れた状態が「穢れ」なのである。私達は様々なエネルギーの干渉を受けている。自然の良いエネルギーを受ければ気が充実して健康になり、身も心も爽快になる。一方、人が発する悪想念や悪霊などのマイナスエネルギー(邪気)を受ければ、良い気が弱まり心や身体に悪い影響が出る。これが穢れた状態なのである。自分で悪想念を発し続けることも同様に気を枯らす事となる。

●入浴法
穢れを祓い、良い気を取り戻す方法として最も手軽で効果が高いのは入浴である。ゆったりと湯船につかり、息を大きく吸って一旦止め、勢いよく吐き出すのである。息を吐き出す際に体内のマイナスエネルギーを吐き出すイメージで行えば良い。丹田(へその下あたり、気が溜まる場所)に右手を添えて行えばさらに良い。いつもより長めの入浴がポイントである。

悪想念や霊的なものを被ったのではないかと思われる時は、少し熱めの湯に粗塩を大匙三杯ほど入れて入浴するとさらに効果が高い。また身体を上から下まで念入りに洗うこともお忘れなく。粗塩を入れて入浴すると手足まで良く温まり、湯冷めしにくい効果もある。

●恨みつらみは水に流して
元禄赤穂事件(忠臣蔵)の浅野長矩は直情径行型の人物であったようだ。このタイプはどちらかというと憑依体質の人が多い。つまり被りやすいのである。また「恨み」というマイナスエネルギーは己が発しても、他人のものを受けても、ろくなことはない。事件の原因が『怨恨』や『塩恨』であったのなら、浅野長矩が赤穂の塩を入れた入浴法を知っていれば、この事件は起こらなかったのかもしれない。
『恨みつらみはすぐさま水に流すのが最良の方法なのである』


注:粗塩は風呂釜を痛める事もあるので使用後は真水でよく洗浄すること。ガス風呂給湯器の場合は一旦湯を落とし、再点火して新しい湯でを熱交換器内を洗い流すことをお勧めする。

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