冥土院日本(MADE IN NIPPON)

私の産土神 (霊夢の謎解き)

今年の初めに不思議な夢を見た。そのことは1月26日の過去ログ『不思議な夢』でご紹介した。アメリカのヨセミテ国立公園のハーフドームを二つ足したような巨大な岩山に聳え立つ石柱と大国魂の文字の夢であった。その後何故か産土神社に興味が惹かれ、産土神社についても記事を数回書いた。

私の故郷の産土神社は漁業、海上交通安全、商売繁盛の神様として知られる『恵比寿神社』である。古くからの港町であり、戦前から戦後にかけては石炭の積出港として隆盛を極めた時期もあったので、近隣の信仰を集めたのも当然であろう。私のお宮詣り、七五三の祝いはこの神社であったし、子供時代はこの神社の境内でよく遊んだものである。正月やお祭りともなれば、父親に連れられて必ず参拝した。境内や参道にはサーカスなどの見世物小屋や屋台が立ち並び、大層な賑わいを見せていた。幼い頃の心弾む思い出である。

産土神の役割を知ってからは、何故この神社の神が私の産土神なのかを考えるようになった。恵比寿神社といえば主祭神は『蛭子命(ひるこのみこと)』または『事代主命』(大国主命の子供でえびす神に比定されている)である。私の過去世は代々商人であったので、その縁なのかとも考えたが、現在の仕事とはおよそ縁が薄い。大変恐れ多いことではあるが、恵比寿神には、何故か神縁というものが感じられないのである。

そんなある日、古い書類を整理していたら偶然にも故郷の友人が送ってくれた、恵比寿神社の資料が出てきた。何か心に引っかかるものがあったので、改めて読み返してみると、ご祭神は『大国主命』『事代主命』『神功皇后』の三柱の神であったのだ。ご存知のように大国主神は大黒様に比定されており、私の産土神社では大黒様、恵比寿様の親子神として祀られていたのである。

これを読んだ時、ある出来事が心の中に浮かびあってきた。それは母が亡くなり、実家を処分するために郷里に帰った時の事である。実家に着くと、家財道具は総て運び出されていた。地元に嫁いだ姉が大方の物を処分して、片付けを済ませてくれていたのである。ガランとした居間にテーブルだけが残っており、その上には父と母の位牌と古びた小さな木像が置かれていた。木像は一刀彫の大黒様の像であった。この大黒様は何かと姉に尋ねると、父が神棚にお祀りしていた大国主神だという。姉の話で初めて知ったのだが、父は若い頃から大国主神を崇敬していたらしい。姉が「家の神棚にお祀りしたいので持ち帰ってもよいか」というので、私は快諾した。

一月以来の疑問が総て氷解した。

人が現世に生まれ変わる時は、産土神のお世話で、次に生まれる両親を決めるという。祖父の大黒天信仰、父の大国主神への崇敬。父と母の縁も大国主神のはからいであったのかもしれない。私は選ぶべくして両親との血縁を選んだようである。
思いおこせば、私の神社巡礼は25年前の出雲大社の深夜参拝から始まった。まさに神に導かれるべくして、事が動いていることを実感せざるを得ない。昨年より私の周りの環境が大きく変化しはじめている。そんな年のはじめに見た霊夢は、「加護を信じ、安心してわが道を進め」という産土神のご神示であったようだ。

私は翌日、鎮守神社に詣で、産土神の大国主大神の益々のご開運と、今日までの非礼をお詫びし、数々のご加護に感謝の言葉を述べた。参拝を終えて、境内を散策しながらふと拝殿の上空を見上げた。その時、雨雲で覆われた空の一点にぽっかりと穴が開きはじめ、太陽の光が十字状の光芒となって拡がった。光の向こうには青空が覗き、人の形をした白い雲がもくもくと湧き上がった。それはゆったりとした白い着衣をまとった人物のようであった。そして、そのお方はゆっくりと両袖を広げられた。それはあたかも私を包み込むかのような仕草に見えた・・・

コメント一覧

フォトン
saoさん
拙い文章を読んでいただき有難うございました。
先祖の供養になったと思います。
sao
事実は小説よりも…言葉は悪いかもしれませんが読み応えがありました。

宗教(現世の神様?)は信じていませんが、神社や創生神の話は興味深いです。
フォトン
なるほど!
なるほど!そう言われればゼウスのような感じがしますね。見た印象をそのまま書いたのですが、着衣は狩衣のような形に見えました。

その時は大国主神がお姿を見せられたのかと、正直腰が抜けるくらい驚きました。しかし、よくよく考えれば私位の者にお姿が見えるはずがありません。おそらく眷属さんからの『思いは神に伝えるぞ』というメッセージだと解釈しています。
りゅう
壮大なお話です
映画の原作にしたいくらいの壮大なお話です。情景がそのまま眼に浮かんできます。素晴らしいと思います。

最後の場面、私は不思議とゼウスの姿を思い浮かべてしまいました、日本のお話であるのに。

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