祝日は国旗を掲揚しましょう
★精神学協会「日本のいまを考える」から転載
『精神学協会』
http://www.godbrain.com/gb/letter/
■日本のいまを考える#34
●義を見てせざるは勇なきなり。
「義を見てせざるは勇なきなり」
という言葉があります。学生時代から引き続き、私の好きな言葉の一つです。
勇気を持って、ことに当たらなければならないときがある、それは蛮勇ではなく、ほんとうの勇気。
お一人おひとり、その言葉を行動に変えるときが迫っている感じがいたします。
日本人は、もともとが「こと挙げせぬ国」である上に、自虐史観も手伝って、より一層良識ある層に「ものをいわぬ民」が多数を占める現状となっています。
世界の人々が日本の人々のような「和」の精神を持って生きているなら、それは問題ないかもしれませんが、世界はまったく異なります。
グローバリズムをもって、世界全体を経済効率性を優先とした形で進めようとする勢力が強大化していくなかで、世界各国で民族や国家を守ろうとする民衆の意気があがっています。日本もまた、そういった意味で、戦後七十年あまりを過ぎてようやく、占領下の政策から人々が自主的にその呪縛を解きつつあるのだと感じます。
しかし、改憲にまつわる諸問題の出方を見ても、メディアのあり方を見ても、大陸半島との外交や政治家の皆さんの動向を見ても、あまり未来の日本をすっきりと明るく感じ取ることはできません。
多くの日本人がそう感じているものと思います。
個々の日本人がもつ、潜在的な力は大きいのにもかかわらず、意識にかぶさっている蓋が開かないのはなぜなのか、とずっと訝しく思っていました。
私は長く歴史が嫌いで、歴史が苦手なまま育ちました。
年号を覚えることに、何の意味があるのだろう?と思っていました。
学校教育も、受験も、年号とトピックをひたすら覚えるのが「歴史」の時間で、小説やマンガなどで何らか歴史上の人物に関心を持たなければ、歴史の時間はあまり興味の湧くものではないと思ってもいました。
NHKの大河ドラマに興味を持たず、歴史小説にも関心なく、マンガも見ないで育った私にとって、接点が学校以外に無かったことも縁遠かった理由かもしれません。
それゆえに、歴史教育の間違いにも、もちろん気づきませんでした。
十年前だったら、聖徳太子を厩戸皇子と書き換えたいという勢力があるという教科書問題に対しても、おそらく「どっちでもいいな」と思っていたのではないかと思います。
更にさかのぼれば、若い頃は、隣国があんなにも嫌がっているのだから終戦記念日の靖国参拝は自粛したほうが無難なのではないかとすら思っていた、という浅はかさでした。
ただ、他人が嫌がることはしないほうがいい、世界はみんな仲良くしたほうがいい、争いはできるだけ早くやめるほうがいい、できる限り譲れるところは譲ろう、というそれだけの自分だったと思います。
そんなでしたから、インドによく出かけて行った頃も、「なぜ、バガバットギーターでは、争うことを善しとしているのか?」の深い部分がよくわかりませんでした。
九条が平和憲法と呼ばれる根拠で、唯一の被爆国だから、世界に向けて平和を訴えかけられるのだと信じていた時期もあります。
まったく、頭の中がお花畑だったなぁ、と振り返ります。
そんな私同様に、日本人のほとんどが、正しく歴史を教えられてこなかったこと、今もなお、大半の子供たちは正しく教えられていないであろうことは、大変なことだと改めて危機感を感じています。
ただひたすら教師の力量と知力の問題であると片付けられないものがあります。
そもそも教員自身が教わっていない、知らないことが多すぎるし、教科書自体の問題もあります。
この間、文部省(現在は文部科学省ですが)はいったい何をしてきたのか、前川喜平氏のような平気で嘘をつく人物が教育を束ねる官庁の長に立つ組織が、どのような存在であったのか、省としての存在の必要性があるのかどうかさえ、疑わしいのではないでしょうか。
戦前と戦後では、人材の大幅な入れ替えもあり、大きく内容が異なるのだとは推察しますが、戦後GHQの教育部門であった CIE(民間情報教育局)の統括窓口として、次第に御用機関としての存在となってしまったのかもしれません。
これでは、まともな教育を統括できるわけがないとも思います。
歴史を正しく認識しない限り、蓋がされたままである、ということもまた確かなのだと考えると、先日の光文書に、シンロジカル・シンキング(Vol.566 http://www.godbrain.com/gb/vol-566/)に関するお話が公開されましたが、真に深くロジカルに考える際に、全体図を知ろうとするなら、その前提として正しく世界の実情を認識するために、人類の歴史を知ることは必要不可欠であると思います。
昔の私は、怖くて知りたくもなかったことがほとんどでしたが、各民族の血塗られた歴史の数々や、ものの見方考え方に見る精神性、知恵や工夫の発露など、全体を知ることなしには、あるべき姿も正しくは認識されないはずです。
日本史でいうと特に、近現代史は語られないことをもって隠されてきた部分が多く、また、受験には出ないからといって学校でもほとんど猛スピードで駆け抜けるため、知らないままでいることが多くあります。
大アジア主義や満洲国の五族協和などの思想も、もちろん善意にもとづくもので「和の精神」の表れではあると思いますが、壬申の乱の警告に学ばず、韓国併合の頃の脱亜論に学ぶこともなく、善意のカタマリの押し売りによって結果的に返り血を浴びることとなったことなど、この先過ちを繰り返さないために「知る」ということは非常に重要なことだと思います。
たとえばの話ですが・・・
中国が大好きで「日中連携」「アジア保全」の運動に生涯をかけられた松井石根大将が、よりによって「南京事件」の責任を問われ極東軍事裁判において死刑判決を甘んじて受けられ、いまや「南京大虐殺」は、四十万人の被害者とありもしないことを中国共産党が世界に向かって叫び続けているという現実があります。
貴重な人材をこんな風に失い、かつ葬り去ってしまういまの日本の状況に関し、私は大変悔しく思います。
外務省は何をしているのでしょうか?
昔のことは調べようとしても、資料も少なく、著者の立ち位置によって本も偏りがあり、検証の難しいものもあります。
大本営の動き、各現場司令部の判断や動きなど、そのときなぜ、そのような判断をして、どこをどう間違って苦戦を強いられることとなったのかということや、命を賭して本国にいる家族を守ろうとしていた大半の兵士に対し、あまりにもありえない作戦もあったようですから、それが何故なのかを知りたいと思っていました。
このあたりのことを、五年くらい前にあれこれ調べたことがあるのですが、結局責任の所在は殆どわかりませんでした。
ミッドウェー海戦の南雲中将はえらく評判が悪いですが、あのときの連合艦隊の各艦(空母四隻)の艦長達もまた、あまり評判のよくない人たちが含まれています。
知らないことが多すぎて、情報をぐるぐる回り、結局わからず、ということを繰り返していた記憶があります。
それでも少なくとも、この国に巣食ってきた売国的な行為に関して「こうした生きかたは恥である」ということを、まず私たちが知り、そして後生の者たちにも知ってもらう工夫をするによって、糾弾するよりむしろ学び、成仏させるような必要はあるのではないかと思います。
今年の終戦記念日の、靖国に降った豪雨を無念の象徴とみれば、先の大戦でも少なくなかったはずの裏切り行為を、検証し糺して、間違った指揮によって亡くなられた無数の兵士たちに報いなければならないのではないかと思います。
この検証と学びがない限り、日本の将来は明るくはなりません。
学び、知り、新しい日本を作っていかなければなりません。
いま生かされている私たちの使命です。
ともにがんばりませんか、と呼びかけたいと思います。
平成二十九年九月二十二日
阿部 幸子
協力 ツチダクミコ
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