安倍内閣において議論されてきた政策の中に、解雇規制の緩和が挙げられますが、このインタビューはそうした解雇規制緩和論を、労働者側の弁護士の立場から、法的に批判しています。
日本のの解雇規制自体は労働契約法16条が代表的で、ここでは「客観的で合理的な理由」と「社会通念上の相当性」がない解雇は無効だとされています。 その言葉自体が非常に抽象的で、「客観的」「合理的」「社会通念上」が何かという評価を伴います。そのため、司法に委ねなければ結論が出ないという限界はありますが、それ自体を攻撃対象とするような中身ではないと佐々木弁護士は述べます。
そうした解雇規制に対する理解の欠如のうえで、もっと解雇をわかりやすく、「こういう場合は解雇できる」と明記してほしいという規制緩和を推進する側の意向があると考えられます。
しかし、たとえば能力不足を理由とした普通解雇をとっても、一つのルールで律することが極めて困難であるということを佐々木弁護士は説明しています。こうした説明からは、解雇規制を緩和しようとしても、結局その有効・無効はルールで一概に決められることではなく、結局その中身をめぐって争われることで決められることだということがわかります。
一方で佐々木弁護士は、解雇規制が緩和されることで、「お前、残業しないんだったら解雇するぞ」と迫られるようなかたちで、労務管理や職場のいじめがより過酷になることに警鐘を鳴らしています。
労働側のメリットがない、目先の企業活動のみを優先した解雇規制緩和は決して日本社会にも良い影響を及ぼすとは言えず、必要なのは労働者が安心して働ける環境の方ではないでしょうか。
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