2年前まで、地元のガソリンスタンドで私はフリーターとしてアルバイトをしていた。大学院に進学したかったのに家計が苦しく、自力で費用を貯めようと考えたためだ。朝9時から夜7時まで、週4日からのシフトと求人広告に載っていたから、これならなんとか働きながら勉強できるかなと思い、地元のガソリンスタンドを選んだ。以下、よくある話なのだろうが、書いてみたい。
初めのうちは、まだ求人広告通りのシフトだった。しかし、1ヶ月が経ったころ、週に5~6日のペースで、朝7時からのシフトを入れられた。「体にムリがない程度でシフトを組みます」というマネージャーは言ってたのに。
しかも、2週間に1度シフト表が出るのだが、次の2週間の前日に新しいシフトが出来上がることもザラ。夏には、社員が夏休みを取るからと、ぎっしりシフトを入れられた。秋に入ってやっと休みがもらえるかと思ったら、2週間で休みが2日…。おかげで体調を崩し、喘息が止まらなくなった。
年が明けると一転、今度はシフトを半分に減らされた。理由は私の「売り上げが悪いから」。そのころのシフトは昼の12時から夜の12時。夜はお客さんあんまり来ないから、売り上げなんて出せるわけないのに。そのくせ、「他のバイトより給料もらってるんだからしっかり働け」とも言われたこともある。シフトをあんだけ押しつけられてるんだから、最終的に給料が多いのは当たり前だ。
ある社員は、夜ヒマになると、仕事をバイトに任せて自分の車を洗車していた。マネージャーなんかは、バイト、特にフリーターに「売り上げを出せ」と叱ってくるわりに、稼ぎ時の日曜日は「息子と遊びたいから」全て休んでいた。そんな風に、社員の勝手な都合の穴埋めとして、私はこき使われていた。
バイト同士でも争いがあった。ガソリンは税金が高くて儲けが出ないから、エンジンオイルとか洗車といった「油外」の商品を売れとマネージャーが煽ってくる。しかも、「油外」の商品を売ると売り上げの10%が「インセンティブ」として時給にプラスされるシステムになっていた。安時給のバイトや正社員は、少しでもバイト代を上げるため、競争になった。
オイルやバッテリーなど、よほどのマニアか運送業者でもなければそんなに交換の必要ないものだから、こちらは話のテクで売りつけるしかない。ある社員は車の知識がないおばちゃんをターゲットに商品を売りつけていた。私は彼に売り上げを横取りされたこともある。私が洗車したはずなのに、伝票にあったのはそいつの名前。そいつはいつも売り上げがイイと評判だったのだが…。気がつけば私も、バイト仲間に対して「あいつより今月は売り上げが悪い」とか、「あのヤローはいつもサボってんのに、「油外」を買ってくれそうな客には積極的だ」とグチってばかりいた。
いま考えると、なんで当時はこんなに言いなりになっていたんだろうと思う。とにかくお金が欲しかったし、バイト先での人間関係に負けてしまっていたのかもしれない。「インセンティブ」を巡る競争も、もとはといえば、そもそも正社員以上に働いているのにバイト代が低かったり、残業代がちゃんと支払われていなかったことが問題だと思う。でも、そうした状況をなんとかするのではなく、エサに釣られて、社員やバイト同士に怒りが向いてしまっていたのだ。
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ツボシン
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