NPO法人POSSE(ポッセ) blog

労働相談(2011年1~3月)

                        
●労働相談の概況
この間の労働相談は1月32件、2月25件、3月23件と、3か月間で合計80件にのぼりました。3月の相談件数が少ない理由は、震災の影響と思われます。
相談内容としては、賃金未払いが23件、解雇が14件、パワー・ハラスメント(以下、「パワハラ」という。)が30件と大半を占めました。(1件の相談のうちに複数の問題を含む場合は重複して計上。)パワハラに関する相談は、依然として多く見受けられます。また、今季で目立った相談として、就職活動や内定取り消しに関する相談がありました。これは今までの流れからみると、昨年の7~9月はブラック企業の「被害者」からの相談が多く、10~12月は被害者ではないが「従業員」からの相談が多くなっており、そして、今季は就職前の「内定者・学生」からの相談が多くなっています。ここからブラック企業に対する不安が社会的に高まっていることが読み取れます。
相談者の雇用形態としては、正社員からの相談がもっとも多く、約半数を占めていました。

(詳細については、別添「2011年1~3月労働相談状況」(PDF形式)参照)

●傾向の分析と今後の活動方針                                
今季の相談傾向を見ると、パワハラに関する相談が多数を占めていました。これは昨年の夏頃から続いている傾向です。その中で相談者の変化があり、昨年の夏頃は被害者からの相談が多かったのですが、今季は被害者からの相談だけではなく就職前の内定者からの相談が増加しています。

たとえば、就職活動中の学生からの相談で、就職したい会社の求人をみて、労働条件が合法的なものか不安に思い、相談したというケースをみてみましょう。なお、相談内容については、個人が特定されないように、多少加工してあります。
 相談者の学生は、就職活動中にその会社を知り、会社説明会に行きました。そこで聞いた会社の姿勢に共感し、この会社で働きたいと思うようになりました。しかし、その会社をインターネットで調べると「ブラック企業」であるとの情報が出ており、会社から手渡された求人情報を見たときに、不安を抱いて相談にきたというものでした。
 このケースでは、求人票のどこに注意をしてみればブラック企業である可能性が高いのかということを解説しました。たとえば、今回のケースでは本人がフルタイムの労働を希望していたので、社会保険についてであれば、雇用保険、労働者災害補償保険、健康保険、厚生年金保険が適用されます。なので、この中でいずれかの保険が抜けていれば、ブラック企業の可能性が高いといえます。賃金についてであれば、ブラック企業では、年俸制や固定残業代を理由に残業代を支払わないということが多くみられるので、こうした記載がある場合も注意が必要となります。以上のような求人票の見方を解説し、それに加えて、万が一トラブルにあった場合の対処法として、労働基準監督署や裁判、労働組合などによる解決方法があるということを伝えました。

 労働問題に対しては泣き寝入りするのではなく、まずは相談することが重要です。そして、その個人の問題から会社の労働環境や指揮命令のあり方を問い、会社に責任を追及していくことや改善を促していくことが必要となっていきます。しかし、過度なパワハラによって、うつ病になってしまった場合は、会社に責任を追及していくこと自体が難しくなってしまうのです。
したがって、パワハラに関する問題が増えている中では、トラブルが起こる前に予防をすることが非常に重要な課題となっています。特に、これから社会に出ていく学生に対して、就職した会社内のルールが全てではなく、労働法やトラブルに巻き込まれた際に利用できる相談機関や公的制度を伝えることが必要です。
NPO法人POSSE(ポッセ)は昨年の夏から「若者のキャリアを守ろう」キャンペーンを展開し、セミナーの開催や「就職活動のための法律ガイド」と題したHPを公開することで、パワハラなどの労働問題に対して、まずは相談すること、そして、個人の問題に帰結するのではなく、会社に責任を追求していくことを伝えていきました。今後も同キャンペーンを継続して展開し、今後は就職活動中や就職活動を終えた学生に向けて、求人票の見方や内定切りへの対処術などをテーマにしたセミナーの開催により力をそそいで取り組んでいこうと考えています。


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NPO法人POSSE(ポッセ)は、社会人や学生のボランティアが集まり、年間400件以上の労働相談を受け、解決のアドバイスをしているNPO法人です。また、そうした相談 から見えてきた問題について、例年500人・3000人規模の調査を実施しています。こうした活動を通じて、若者自身が社会のあり方にコミットすることを 目指します。

なお、NPO法人POSSE(ポッセ)では、調査活動や労働相談、セミナーの企画・運営など、キャンペーンを共に推進していくボランティアスタッフを募集しています。自分の興 味に合わせて能力を発揮できます。また、東日本大震災における被災地支援・復興支援ボランティアも募集致します。今回の震災復興に関心を持ち、取り組んで くださる方のご応募をお待ちしています。少しでも興味のある方は、下記の連絡先までご一報下さい。
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代表:今野 晴貴(こんの はるき)
事務局長:川村 遼平(かわむら りょうへい)
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