2月11日セミナー「『貧困者』支援のありかた 20代社会福祉士が向き合った2000件の実例から」を開催しました

2月11日、「『貧困者』支援のありかた　20代社会福祉士が向き合った2000件の実例から」セミナーを開催しました



2月11日、下北沢の北沢タウンホールにてNPO法人POSSE（ポッセ）ボランティア募集イベント「『貧困者』支援のありかた　20代社会福祉士が向き合った2000件の実例から」が開催されました。講師として、社会福祉士の藤田孝典さん(現在：NPO法人ほっとプラス代表理事)をお招きし、10年にわたり貧困者と直接向き合ってきた膨大な実体験から得たことを中心に、これまでの、そしてこれからの貧困者支援のあり方について語っていただきました。

はじめにNPO法人POSSE（ポッセ）のスタッフより、「いま、なぜNPOなのか」について簡単に話がありました。ここ数年、あらゆる世代で生活困窮者が増えているにもかかわらず、かつて貧困者支援の主たる担い手であった行政による公的福祉は硬直的であり、また貧弱化の一途をたどっています。そうした状況にあって、NPOやボランティアの果たすべき社会的役割は拡大しているといえます。それでは、行政によるものとは異なる、NPOの貧困者支援活動とはどのようなものなのでしょうか、そこには大きく二つの側面が考えられます。

一つは、フィールドワークを主とした「アウトリーチ」的な活動です。藤田さんの活動は、河川敷などに暮らすホームレスを一人一人訪ね歩くことから始まりました。行政のように相談窓口で貧困者を「待つ」といった受け身の支援ではなく、自分たちで出向いてホームレスの「おっちゃん」たちとじっくりと向き合います。ホームレスは公的な支援から排除されることで社会への希望を失ってしまい、自殺や犯罪につながることも珍しくないといいます。ホームレスになった人を排除するのではなく、経済的に困窮した人たちがそもそもホームレスにならないように、丁寧に対応する、貧困に至る「手前の支援」が重要であると藤田さんは語ります。現在、藤田さんの活動の主軸は貧困者向けのシェアハウスやグループホームの運営にあります。行政から貧困者に向けられる就労(経済的自立)への圧力は非常に強い状態にありますが、安定した住環境なしで就労するのは容易なことではありません。また、貧困者は障害、疾病、依存症といった、安定した生活を送る上での様々なハードルを抱えていることが多く、そうした多様な背景を解きほぐし、一人一人にきめ細かい支援を施していくのが、「アウトリーチ」的支援のあり方です。

そしてもう一つは「ソーシャル・アクション」と総称される活動です。最近は、地元の議員との交流や政策提言など、貧困者から受ける相談を社会に「はね返していく」活動を行っているそうです。マスコミに働きかけることで貧困者支援に前向きな世論を醸成したり、もとは支援を受けていた人が今度は支援を行う側に回ったりするなど、10年にわたる藤田さんの活動は、行政による既存の支援の枠組みそのものの変革を迫るような側面を帯びてきてもいます。

落ちついた語り口ながら現今の社会福祉の問題を鋭く浮き彫りにし、今後の支援の展望を語る藤田さんのお話に、会場に集まった参加者も引き込まれ、熱心に耳を傾けていました。講演後のディスカッションでは参加者から多くの真剣な、時に鋭い質問が寄せられ、熱心な議論が展開されました。今回のセミナーを通じて、参加者はもちろんNPO法人POSSE（ポッセ）メンバーも今後のNPO活動について知識と考えを深めることができたのではないでしょうか。

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ＮＰＯ法人ＰＯＳＳＥ（ポッセ）は、社会人や学生のボランティアが集まり、年間４００件以上の労働相談を受け、解決のアドバイスをしているＮＰＯ法人です。また、そうした相談 から見えてきた問題について、例年５００人・３０００人規模の調査を実施しています。こうした活動を通じて、若者自身が社会のあり方にコミットすることを 目指します。

なお、ＮＰＯ法人ＰＯＳＳＥ（ポッセ）では、調査活動や労働相談、セミナーの企画・運営など、キャンペーンを共に推進していくボランティアスタッフを募集しています。自分の興 味に合わせて能力を発揮できます。また、東日本大震災における被災地支援・復興支援ボランティアも募集致します。今回の震災復興に関心を持ち、取り組んで くださる方のご応募をお待ちしています。少しでも興味のある方は、下記の連絡先までご一報下さい。
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