ぽてとの日記

ぽてと君が語ります。

なつかしいね~

2010-10-15 23:18:01 | ファンタジー
すっかり秋になりましたねえ。
テレビのニュースでは、紅葉の様子も伝えられるようになりました。
例年より少し暖かい秋のようですが、どんなに晴れても、さすがに
猛暑にはならなくなりました。一安心です。

では、お話の続きを始めましょう。

第二章 新米主婦

 第一節 なんてこった

  その3 なつかしいねえ~

ある日の午後二時半頃、いつものように奥さんが洗濯物を取り込み、
たたんでいた時、電話がなった。
ジリリーン、ジリリーン 今ではもう見られなくなったダイヤル式の黒電話だ。
奥さんが、受話器をあげると、

「私、t高校で一緒だった・・」

相手が言い終わらないうちに、奥さんが
「あ!naco? その声はnacoでしょ!」

「eちゃん!元気~?」

「元気、元気~!」

電話のむこうは、奥さんの高校時代の友人のようだ。
むこうの声はキンキン聞こえて、奥さんは受話器を少し耳からはなして
しゃべるので、そばにいたボクには丸聞こえだ。
どうやら、この奥さんのあだ名は、「eちゃん」っていうみたいだ。

「なつかしいねえ~~」

「eちゃん、新婚生活はどう?」

「まだ慣れないことばっかりで、なんだか落ち着かないよ。
 そちらはどう?旦那様とアツアツ?」

「まあまあまあまあ(笑)」

「高校時代、なつかしいねえ~」

「ホントだねえ。一年生の時、同じクラスでさ、
 eちゃんと私は席が前と後ろでさ、お弁当もいつも一緒に食べてたし、
 帰る時も一緒。いろんなこと話したよね」

「そうそう。先生がさ、お前たちふたりいつも一緒だなって笑ってたよね」

「そうだったねえ」

「一年生の一学期の中間のあとぐらいに、男子三人がこっそり
 コーヒー豆もってきててさ、豆を挽く道具やフィルターや、ポットにお湯まで
 持ってきてて、放課後、みんながクラブに行っちゃって教室に誰もいなくなると
 コーヒーを作っちゃうんだよね。その仲間にふたりで入れてもらったよね」

「そうそう。その男子三人とeちゃんと私で、`コーヒー会'って名前つけちゃってさ」

「教室がコーヒーのいいにおいでいっぱいになっちゃったよねえ」

「eちゃんはまだコーヒー飲めなくてさ、薄めて飲んでたよね(笑)」

「うん。でも、おいしかったよ。五人でおいしいコーヒーの作り方研究したよね(笑)」

「男子のひとりが、フォークギターまで持ってきて、弾いてくれたよね」

「なつかしいねえ~。

 一学期の後半には、家庭科クラブにふたりで一緒に入部したよね」

「そうそう。文化祭の前は、大量のクッキー、作ってさあ」

「でも、文化祭第一日目のお昼には、ぜ~んぶ、売れきれちゃってね」

「人気あったよね」

「だって、おいしかったもんね」

「なっつかしいなあ~」

「文化祭っていえば、文化祭のポスターコンテストに、ふたりで一緒に考えて、応募したね」

「全校生徒の投票で一位になればポスターになるんだけど、二位になっちゃってさ」

「でも、文化祭パンフレットの表紙に採用されたんだよね」

「そうそう。パンフの方がみんなに配られるんだからすごいよって
 ふたりで、喜んだよね」

「そうだったねえ。なつかしいねえ。先生達もどうしてるかなあ~」

「物理の先生、こわかったねえ」

「うんうん。いつもの竹の棒を持ってて
 机をビシッとたたくんだよね。答えられないと立たされるんだよね」

「だから、みんな、シイ~ンとして、授業はいつも緊張の雰囲気だったよね」
 
「授業をよく聞いてないと答えられないもんね」

「お蔭で、よく頭に入ったわあ。
 もう、みんな忘れちゃったけど(笑)」

「地学の先生、優しかったよねえ~」

「うんうん。人気あったよね。天体や、きれいな鉱石の話、おもしろかったよね」

「化学の授業はヒッチャカメッチャカだったよねえ~」

「年とったおじいさん先生でさ、教科書を読むような授業でさあ。退屈で、退屈で、
 みんな授業中勝手におしゃべりしちゃってさあ、男子なんか騒いじゃってさ」

「それでも、先生、授業続けててね。あんまりうるさくなると、さすがに怒って
 静かにしろって言ったけど、効き目はその時だけで、すぐまた騒ぎ始めるんだよね」

「お蔭で、化学、なんだかよくわからなくなっちゃったよ」

「何言ってるの、nacoは化学系に進んだんじゃないの」

「まあね(笑)」

「今思えば、先生ちょっとかわいそうだったよね。年だったのにね」

「みんなで、もっと、いたわってあげればよかったのにね」

「そうだよね」

「こうやってしゃべっているといろんなこと思い出すね」

「そういえば、al子とso君って、アツアツだったよね」

「あ、あれね、高校卒業したら、あっさり、別れちゃったんだって。
 んでもって、もう、それぞれ、相手がいるらしいよ」

「へえ~、そうなんだあ~」

「高校時代は、eちゃんも私も彼氏なんていなかったね(笑)」

「nacoは、大学入ってから彼氏ができて、今の旦那様だもんね」

「もー、結婚したらさあ、あの時のときめきなんてないよ~。でもね、
 かえってお互いが自然体になれたっていうか・・まあ、そんな感じ。
 そういう、eちゃんはまじめ一本で、学生時代は彼氏なんていなかったね(笑)」

「私って、松田聖子とか、キャンディーズみたいな現代風の美人じゃないからね(笑)」

「でも、eちゃんの笑顔、好きだよ。優しそうで、ふんわりしてて。
 eちゃんってさ、大学卒業して事務職についてさ、社会にでてから、30才位の
 殿方にもてたんだよね」

「もてたなんてほどじゃないよ」

「え~そうかなあ~、あの時のあの人とは、どうだったの~?」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ヒエ~、この話まだ続くよお~!なんてこった!
女性の長電話とはすごいもんだあ。

携帯もメールもチャットも無い時代、黒電話さんは大活躍、ご苦労様でした。

それにしても、化学の授業態度は、けしからんけしからん!
良い子の皆さんは、絶対にまねをしないように。
先生のお話は、きちんと聞きましょうね。

ところで、奥さん、洗濯物たたみはどうなったのお~?
もう3時になったよお~!夕飯の支度、始めるんじゃないのお~?

この続きは、また次回。

次回更新は、10月末頃です。

半袖でもちょうどよい日があったり、長袖を着込む日があったり、
着る物の調節にはくれぐれも気をつけて、秋を元気にお過ごしください。



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