篠田節子氏の小説を初めて読みましたが
めちゃめちゃ面白く、上下巻とも一気読みでした。
〈注:ネタバレあり‼️〉
『金儲け』のため、会社勤めを辞めて腐れ縁の相棒と『聖泉真法会』というインチキ教団を創設する。
信者を募り、お布施などで「ベンツ」を購入し乗り回すのが当面の夢😅
チベット、仏教、イスラム、ヒンドゥーなどを寄せ集めたハリボテの「教義」にも「生きづらさ」を感じてる若者や主婦が集まりだし、信者も増えていく。
このインチキ教祖と相棒は、詐欺師なんだけど『悪党』ではない。
むしろ、常識人だし、お布施を強要することもなく、信者の悩みを熱心に聴いて現実的な解決策を考えたり、信者の「幸せ」と生活の「安定」を大切にしている。
そして、「人として越えてはならない一線」もちゃんと分かってる。
そんな人柄も良く真っ当な?教祖だからか、救われた人も多く、教会もあれよあれよと大きくなり、支部も各地に増えていく。
しかし、『金の匂い』に敏感な輩が甘い汁を吸おうと「利用」してくるのが世の常なのか?
バックに元大物政治家がついている人からの胡散臭い依頼を断るとメディアなどからも「嫌がらせ行為」が増幅。どんどん追い詰められていく。
マトモな信者は去っていき、残ったのは熱狂的な女性信者数名だけ。
この信者たちは、今までも色々な宗教を渡り歩いてきているので、教祖よりプロって感じで😅ホントに手に負えない曲者揃い。
今までの教義とは異なるオカルト方面へと勝手に路線を変えていくのです。
『念』『悪霊』『呪い』、、、。
これが又、不気味で超怖い💦
勝手な振る舞いの信者に言いたいことは山ほどある教祖と相棒だけど、収入激減の今、生活費は彼女たちの『インチキ占い師』や『売り』の稼ぎで成り立っているので、大きなことを言えないのですよ。
教祖からヒモへと転落💦
彼女たちの生い立ちも悲惨で同情すべき所はたくさんあるけれど😢まず行うべきは、やっぱり宗教でなくて精神科の治療だったと思いました。
もうコントロール不能、手に負えなくなった教祖は『教会を解散する!』と言うのですが、信者たちが辞めさせてくれない😂
結局、信者に拉致られ逃亡するハメに。あげく殺人まで起こるという😨
最後は教祖諸共逮捕されたのですが、何から何まで教祖の罪になってしまいました。
信者の罪は全て『教祖からの洗脳』というのが世間のイメージですものね。
彼女たちは『洗脳』されてなかったし、既にぶっ壊れていた。
でも、教祖は「全ては自業自得、自分の蒔いた種、自分がインチキ宗教を立ち上げたことで、彼女たちをさらに狂わせたきっかけになってしまった」と罪を被るのです。
いや、彼女たちとやっと離れられる(解放)という安堵の気持ちの方が大きいような気が😅
刑務所にいるほうが平穏で安泰のような気がしてなりません😅
人の心を軽く扱って、ただキレイな言葉を連ねて誘導し騙して金儲けをしようとした罪は大きいけれど、どうしても教祖たちを私は憎めきれないというか😅むしろ好感のもてるところ多々あり。
もはや加害者というより、被害者のような。
根は真面目だし、努力家で温情もあり、人のしあわせを心から願い行動に移せる人。
『お人好し』な所がアダとなりましたね💧
夢中になって読みましたが、最後の何気ない描写が一番鳥肌モノでした😱
怖すぎる😱😱😱
「生きづらさ」なんて、今のご時世だれもが感じてる💦
でも、探してみるとちょっと楽しくなるものや、ココロがふわぁと軽くなることが日常の至るところに見つけることができる♡
誰にも言えなくてもノートに気持ちを綴るだけで気が晴れることもある。
これかも、そういう「ちょっとしたよいモノ」を大切にしていこうと思いました。
フィクションの小説なのに、絶妙なリアル感😵
篠田節子氏の文才、テクニックに脱帽で別な小説も読みたくなりました♡