一寸の兎にも五分の魂~展覧会おぼえがき

美術展のおぼえがきと関連情報をすこしばかり。

「鹿島茂コレクション3 モダン・パリの装い」展その2 マルタンの洒脱@練馬区立美術館

2013-07-31 | 展覧会
「鹿島茂コレクション3 モダン・パリの装い 19世紀から20世紀初頭のファッション・プレート」展2回目のご紹介です。

ヴェルネやガヴァルニが腕をふるった19世紀前半のファッション・プレート(レビューはコチラ)に夢心地になりながら階段をのぼると、2階展示室では20世紀に花開いたアール・デコのイラストレータたちが華やかに出迎えてくれます。

2階展示室の中心となるのは、ジョルジュ・ルパップ(GEORGE LEPAPE, 1887-1971)、シャルル・マルタン(CHARLES MARTIN, 1884-1934)、アンドレ・E・マルティ(ANDRE E. MARTY, 1882-1974)の三人。

「鹿島茂コレクション2」でとりあげられたジョルジュ・バルビエを加えて「アール・デコ・イラストレーションの四天王」とされるこの三人(バルビエも加えれば四人)は、それぞれが強烈な個性をもっており、とてもひとくくりにはしきれません。

わたしが個人的にもっとも惹かれるのは「小さいものの巨匠」と謳われるマルティの感性ですが、まずはマルタンの洒脱と諧謔に足をとめたいと思います。

マルタンの作品からわたしが受けた印象は「軽さ」と「リズム感」です。ファッション・プレートでも、女性たちのポーズはどこかふわふわと宙に浮いているようで、体の重みも感じさせず、軽やかです。

そしてなによりも、マルタンの描く世界にはほとんど陰影が感じられません。

西洋人が描いたものにしては驚くほど平面的な画面をつくりながら、マルタンはおそらく非常に意識して立体感のない、陰影のない、したがって重みを感じさせない、「軽い」世界観を表現しようとしていたのではないか、と思われます。

その「軽さ」がもっとも効果的に表現されているのが、「スポーツと気晴らし(Sports & Divertissements, 1914年, 出版は1919年)」ではないでしょうか。


(公式図録より、左が「スポーツと気晴らし」の一部。敢えて見づらい画像です。ぜひ展覧会場に行って、あるいは図録を買ってじっくり見てください!)

編集者リュシアン・ヴォージェルが企画した曲画集「スポーツと気晴らし」は、マルタンが描いたスポーツと娯楽のシーンにエリック・サティがイメージソング、じゃないな、イメージ音楽(とはいわない?)をつけたもので、イラストと楽譜がセットで販売されたようです。

サティの「スポーツと気晴らし」はひところよく聴いていたのですが、そういえば解説書にマルタンという人の絵とコラボして云々と書いてあったような、ないような……それがこの作品か!?

というわけで、この展覧会はサティ好きにとっても見逃せないものです。

ヴォージェルは最初、『春の祭典』や『火の鳥』で人気沸騰のストラヴィンスキーに作曲を頼んだそうですがギャラが折り合わず、サティに話をもちかけたところ快諾され、この作品が生まれたとのこと。

いや、ストラヴィンスキーにしなくてよかったんじゃないでしょうか、はっきり言って。

マルタンの軽さは、サティにあいこそすれ、ストラヴィンスキーの絢爛豪華さ、過剰さ、(敢えていえば)騒々しさとは折り合わないと思います(私はそのガチャガチャした感じもとても好きですが)。むしろ、ストラヴィンスキーはそれが分かっていて断ったのでは、と憶測したくなります。

ストラヴィンスキーにあうのは、むしろバルビエの「濃さ」ではないかと。実際、バレエ・リュスを介して両者の世界観はつながるわけですし(「ペトルーシュカ」など)。

というわけで、今、これを書きながらサティの「スポーツと気晴らし」(「サティピアノ曲集2」ピアノ:チッコリーニ、東芝EMI)を聴いているのですが、やっぱり軽やかさ、影のない平面な印象、生活感のなさ(要するに、まったく汗臭くない)など、あらゆる面において、マルタンの世界観とサティのそれは見事に調和しているように思います。

この展覧会でも可能であれば、マルタンの作品を見ながら、サティの「スポーツと気晴らし」を視聴できたらおもしろいだろうな、と思ったり……。

CDショップにあるようなヘッドフォンつきのプレイヤーが設置されていて、自分で好きな曲を選んで作品を見ながら聴けたら、おもしろいのでは、と。

もちろん設備上のいろいろな問題はありますが。


そしてもうひとつ、マルタンがコクトーの文章にイラストをつけた『貴社の栄光と賞品の高品質に常に配慮せよ!瑕瑾なければ、貴社の利益は社会全体の利益となるにちがいない』(このタイトルからして、すでに諧謔的……)に描かれたグラフィック・アートにかかわるさまざまな職業人の描かれ方をみていると、

広告代理店の人とかコピーライターって昔からこんなにえぐい人種だったのか、とか(上の写真右のページ)、

もうみんながやたら目をくっつけて刷りあがりをチェックするのは今も昔も変わらないな、とか、

石版工や彫師、植字工など、今はもうほとんど消えてしまった職業の仕事ぶりが
わかったりして、実に興味深いのです。

というわけで、愛しのマルティにたどり着く前にまたもやタイムリミットがきてしまいました。

「鹿島茂コレクション3 モダン・パリの装い 19世紀から20世紀初頭のファッション・プレート」展はファッションだけでなく、当時のアートシーンに加え、文学、音楽、風俗など多方面に話題を投げかける、実に間口の広い展覧会です。

もしや、「ファッション・プレート? 女子供(←いまどき死語か!?)の世界だよね」、とか、「要するにアートといっても格下のアートだよね?」などと思っていたら痛い目にあうと思います。

ある意味、もっとも鋭く時代を反映した作品が並んでいる、珠玉のコレクション展。

しかも老若男女、それぞれの楽しみ方があります。家族連れで行っても、恋人と出かけても、友達づれでもおひとりさまでも、それぞれ楽しめること間違いなし。

ぜひお見逃しなく、足をお運びください。

9月8日(日)まで。



















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本日の朝顔 純白の花嫁「佐倉の清衣」

2013-07-30 | 朝顔
今年は白い朝顔をみてみたいと思ってまいたのが、「佐倉の清衣」の種。

期待はしていたのですが、期待どおりに、いやそれ以上に純白の花を咲かせてくれました。


(奥が「瀞」。手前が「佐倉の清衣」)

形は安定していませんが、色はもう完璧といっていいほどまじりけのない白で、ウエディングドレスのようです。



もう親ばか状態ですみません。

そして「轟」も黒鳩色の花を咲かせてくれました。



グレーがかった色合いが独特です。こんな色の花はなかなかありません。黒鳩や茶系の朝顔が咲くたびに、朝顔をはじめてよかったなあと思うのです。


花びらも薄くて、日に透けた感じがなんともいえず繊細ではかなげで、刹那的な美しさです。

朝顔は種自身に無限の美しさを秘めているので、特に難しいことをしなくても、ちょっと手間をかけるだけでこんなにきれいな花を咲かせてくれます。

今週の土曜日まで、日比谷公園で東京朝顔研究会主催の大輪朝顔の展示会が開催されており、そこではもっと手をかけた見事な花に出会えますので、ぜひ足をお運びください。



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「鹿島茂コレクション3 モダン・パリの装い」その1@練馬区立美術館

2013-07-28 | 展覧会
今年も練馬区立美術館で開催されている、鹿島茂先生のコレクション展。

3回目の今年は、「モダン・パリの装い 19世紀から20世紀初頭のファッション・プレート」と題して開催中です。



すでにTwitterをはじめ各方面で絶賛されていますし、昨日は鹿島先生ご自身の案内で作品を鑑賞するという贅沢なイベントも開催され(わたしは仕事のためうかがえず……残念)、展覧会の全容についてはブログ等でも報告されているので、ここでは私自身が心ひかれたいくつかのトピックに絞ってご紹介します。

展示は1階と2階にわかれており、1階は19世紀前半、2階は19世紀後半から20世紀にかけての作品がわりあてられています。


(1階展示室の入り口。ギンガムチェックがかわいらしい)


(展示室入り口のわきには、記念撮影コーナーも)

本展覧会の看板娘、ガヴァルニ描くハイパーおしゃれなおねえさんにはここで会えます。


(ガヴァルニ描く、ハイパーおしゃれなおねえさん、『ラ・モード』1831年より)

個人的には、この1階の作品群のクオリティの高さに度肝をぬかれました。

オラース・ヴェルネ(HORACE VERNET, 1789-1863)が描くファッション・プレート(ファッションイラストの版画)ドレスと帽子のデザインの奇抜さ、ユニークさは、時代を超越した斬新さを秘めています。

何本も百合を差したような帽子やローズ色の房飾りをいくつもつけた白いドレスがなんとも愛らしい「イタリアの麦わら帽。中国風の重ね上着」

ピンクのチェックの使い方がすでに現代的な「薄布のフィシュを上に載せたパーケールのキャポット。パーケールのドレス」

首もとからそでにかけて何重にも重なったレースとちょうちん袖が斬新すぎる、歩くウエディングケーキのような「クレープのついた麦わら帽。モスリンの飾りのついたパーケールのドレス」

形のおもしろさに加えて、色使いの繊細さにもうっとりで、すでにこの段階でわたしとしては興奮気味。

作品は大きさにかわりなく非常に繊細な描写なので、単眼鏡は必須で、じっくり見出すと先に進めません。

ルイ=マリ・ランテ(LOUIS-MARIE LANTE, 1789-)の『才能、地位、美貌により有名となった女性たちのフランス・ギャラリー』という挿絵本はとりあげられる女性たちのラインナップにもわくわくしますが、描かれている衣装の端麗なことに目がくぎづけになります。

ドレスのたて半分(!)に空色の鳥(インコ?いや、オウムか?)の柄をあしらった「ドフィーヌ・ドーヴェルニュの侍女」がダントツに美しく、ほかにもマルグリット・ド・ヴァロワやカトリーヌ・ド・メディシスなど歴史好きにはおなじみの女性たちも登場しますので、フランス史やフランス文学ファンの方にもおすすめです。


(左がランテ、右がガヴァルニの絵はがき。色合いはもっともっとクリアです)

そしていよいよ、ガヴァルニ(GAVARNI, 1804-1866)登場。

前の二人より少し時代がさがったガヴァルニのファッション・プレートはファッションセンスも色彩感覚も人物描写もよりモダンで、日本の少女漫画のテイストにより近い印象が。

あの看板娘のお姉さんは、『ラ・モード』というモード誌のためにガヴァルニが描いたファッション・プレートで「Travestissement Nouveau(ニュー・タイプの仮装)」というタイトル。1831年生まれです。

前にも書きましたが、この赤の色合いと使い方が絶妙です。

とても今から200年近くも前に描かれたファッションとは思えない粋で洒落たセンスにつくづく唖然とします。

そして、女の子の得意毛な表情やポーズの愛らしいこと!鹿島先生曰く、ガヴァルニ描くファッション・プレートの少女たちは「萌え」現象の第一号というのもうなずけます。


ちなみにガヴァルニの作品は実際にはかなり小さいです。しつこいようですが、この展覧会には単眼鏡は必携ですので、お忘れなく。

この展示室には京都服飾文化研究財団が所蔵する当時のドレスが展示されています。

白地に赤の色彩感覚が愛らしいデイ・ドレスなど、ガヴァルニ・テイストなドレスは必見です。


ガヴァルニのファッション・プレートは当時の女性にも男性にも大うけし、ガヴァルニは一躍、ファッション・プレートのスターの座に輝いたそうで、それについては納得。

しかし、当時、「版画」という複製芸術であるファッション・プレートは「芸術」のヒエラルキーにおいては最下位に位置していたので、このことはむしろガヴァルニの「芸術家」としてのキャリアにおいてはマイナスに働き、その後のガヴァルニはファッション・プレートのスターとしての自らのキャリアを「抹殺」した、と鹿島先生の論考には書かれています(鹿島茂「ファッション・プレートの誕生 版画という複製芸術のアイデンティティ」求龍堂刊行の公式図録より)。


(左が「特別出品衣装解説BOOK」。京都服飾文化研究財団のドレス等の写真と解説が掲載されていて、図録には掲載されてません。美術館で300円で販売。右が公式図録。色の再現性が非常によく、必携です。求龍堂刊)

当時、版画芸術に対してもたれていた二流、亜流のイメージについてはわかってはいたつもりでしたが、このクオリティの高さ、すぐれたセンスにもかかわらず、「ガヴァルニのキャリアを傷つけた」とまで書かれてしまうその事実に軽い衝撃を受けます。

夢のような1階展示室をあとにして、2階へ……と思ったのですが……、

……気になったトピックだけを選ぶつもりが、2階にたどり着く前に長くなってしまい、タイム・リミットがきてしまいました。

2階展示室で心奪われたマルティ。そして、マルタンとサティの洒脱について書きたかったのですが……、それはまた次回。

おやすみなさい。

おまけの追記:

ちなみにガヴァルニが『ラ・モード』で活躍した1830年~1831年という年に、どういう絵画作品が描かれていたのかといいますと、

1830年にはドラクロワが7月革命をテーマに「民衆を導く自由の女神」を描き、翌年1831年5月のサロン展に出品して、フランス政府のお買い上げとなります。

文学のほうでは1830年にはスタンダールが『赤と黒』を、バルザックが『あら皮』を書いています。

なるほど、時代の雰囲気が伝わってきますね。




****開催概要****

【会期】:平成25年7月14日(日曜)から9月8日(日曜)
【休館日】月曜日(ただし7月15日は開館、翌日休館)
【開館時間】午前10時~午後6時※入館は午後5時30分まで
【観覧料】一般500円、高・大生および65歳から74歳300円、中学生以下および75歳以上無料(その他各種割引制度あり)
【主催】練馬区立美術館/読売新聞社/美術館連絡協議会
【後援】在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本
【特別協賛】資生堂
【協賛】ライオン、清水建設、大日本印刷、損保ジャパン、日本テレビ放送網
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朝顔「瀞」の七変化

2013-07-28 | 朝顔
夏の朝に映える二輪の「瀞(とろ)」。

朝方には空色でした。





日がのぼってくるにつれ、少しずつ色が変化します。朝7時くらいには青紫がかってきました。




後姿も楚々とした美人。



正午にはグレーがかかった色あいになります。





朝顔は、日差しが強まるとしぼんでしまうのですが、葉のかげで直射日光があたらない位置だったからか、夕方まで花はしぼみません。

最後に、ピンクに近い薄い赤紫に変化しました。





ひとつの花でさまざまな色の変化をみせてくれた「瀞」。こうして色の変化を楽しむことができるのも、お休みの日ならでは。

夏のあいだは自宅作業にできないかなあ。できませんねえ。いまのところ。
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本日のミュージアムグッズ24 応挙のこいぬの手ぬぐい@東京国立博物館

2013-07-26 | ミュージアムグッズ
かわいいこいぬを描かせたら右に出るものはいないといっても過言ではない円山応挙。

その応挙が杉の戸に描いた「朝顔狗子図」(江戸時代、18世紀)をデザインした手ぬぐいは、使うというより飾っておきたい一枚です。



朝顔なのでいままさにぴったりの図柄。


(アイロンかけてなくてすみません)

こいぬの愛らしさを紺の色の渋さがひきたてます。

これを「のれん」にしたてようと2枚買ってあるのだが、このままだと朝顔の季節が終わってしまいそうである……。

本館1階ミュージアムショップで売ってます。

945円(だったと思う……たしか。うろおぼえですみません)。

おまけ:本館2階10室「浮世絵と衣装―江戸 」では、こんなかわいいこいぬにも会えます。


(「小犬牙彫根付」江戸時代・19世紀、郷誠之助氏寄贈、東京国立博物館所蔵)


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本日のミュージアムグッズ23 @ルーヴル美術館展・東京都美術館

2013-07-23 | 展覧会
東京都美術館で開催中の「ルーヴル美術館展 ―地中海 四千年のものがたり―」展。

展覧会HPにはグッズの紹介ページもあるのですが、わたしが「これ」と思ったものは載っていないようので、ご紹介します。

魚の形をした「アリュバロス(香油入れ)」(前600~500年ごろ、東地中海)をモチーフにした手ぬぐいがなかなかおしゃれです(1200円)。



紺と白の2種類あるのですが、紺の色が気に入ったのでこちらに。

LOUVREのロゴが入っていないと、和ものかと思ってしまうかも。



同じ魚柄のTシャツも売られていまして、あわせて首に巻いたりするとよりおしゃれかもしれません。この柄のトートバッグもあり(800円)、図録(2300円)とセットで買うとお得みたいです(3000円)。

この展覧会は、「地中海」をテーマとしてルーヴル美術館が所蔵する数々の名宝のなかから作品を選び、西洋と東洋を結ぶ「地中海世界」の、紀元前2000年19世紀にいたる4000年もの歴史を振り返るというものです。

個人的には、ビザンティン帝国がでてきたと思ったらいきなり崩壊してしまったのがちょっと残念なのですが、ピサネッロの「ビザンティン帝国皇帝ヨハネス8世パレオロゴス」のデッサンがきているので、まあいいや、と思ったり(←個人的なこだわりです)。

いずれにせよ、展覧会の概要は、チラシによくまとめられています。



展覧会の目玉は、「ギャビーのディアナ」と呼ばれるギリシア神話の月の女神アルテミスの大理石像。



すぐれた彫刻家として名高いプラクシテレスの様式を汲む作品の、ローマ時代の貴重な模刻だそうです。思ったより柄は大きくないです。165センチ。

個人的には、下記のようなラインナップが気に入りました。


(絵はがきと中央はマグネット)

エジプト時代に作られたという、女性がモチーフになっている木製のスプーン(写真右下)など、びっくりするほどモダンです。

十字軍時代に作られた恋人たちを描いた杯も、今描かれたといっても違和感がないような(写真左上。てかっちゃってごめんなさい)。

同じ時代に作られた杯で、十字軍の騎士をモチーフにしたものがあり、そのユニークな絵柄がTシャツになったりトートバッグになったりしていて、そちらもかわいいです。


9月23日(月・祝)まで。


≪おすすめの本≫
「ディアナ」って誰?「アルテミス」と同じ人!?←いや、神様です。
というかたにおすすめ。

すぐわかるギリシア・ローマ神話の絵画』千足伸行ほか著、2,100円、2006年4月、A5判 、152ページ、東京美術

内容:西洋絵画の主題として古今の画家が描いてきた神話画のうち、人気のテーマを選び、カラー図版とユーモアを交えた文章で紹介。楽しみながら西洋の美術と 文化の知識を深めることができる。描かれた場面のベースとなったのはどんなストーリーか、作品にはどのように表現されているかをやさしく分析し、類似作 品に接したときにも応用がきくように、特にアトリビュート(目印・特徴)を引き出して紹介している。

会場でも売ってます。
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あぁ、おもしろかった夏休み文楽特別公演@国立文楽劇場

2013-07-21 | 文楽
2013年は7月20日(土)に初日を迎えた夏休み文楽特別公演


(チラシ表「夏祭浪花鑑」団七九郎兵衛 撮影:青木信二)


(配役表)


(チラシ表「妹背山婦女庭訓」お三輪 撮影:青木信二)


(解説)

初日に行ってまいりました。



一部の「金太郎の大ぐも退治」は最後に金太郎(幸助さん)と鬼童丸(玉佳さん)の宙乗りもあるスペクタクルで、清介さん補曲の三味線がダイナミックでかっこよく。

二部の「妹背山婦女庭訓」は言わずと知れた義太夫を代表する名作中の名作。

お三輪の一途な恋心(でも報われない!)がいとおしく見所なのですが、個人的には鱶七の豪胆さが気に入っていて、何度見ても見飽きない(聴き飽きない)演目です。

今回は、文楽劇場では1994年以来という「井戸替の段」がかかり、諸肌脱いだ男たちが威勢良くかけごえをかける幕開けから、夏らしい雰囲気が味わえるのも、この季節ならでは。

初日には、この演目にちなんだ「杉玉」を桐竹勘十郎さんとお三輪(の人形)が、三輪明神大神神社の権禰宜様から授かるというイベントがあったのですが、このときのお三輪のお辞儀をする様子とか、ちょっと控えめに立つ姿とかが、もうほんとうに清楚で愛らしく、さすが勘十郎さんと、そういう意味でも拍手喝采なのでした。

三部の「夏祭浪花鑑」は今まさに夏真っ盛りの大阪で繰り広げられるということもあり、舞台も迫力の大熱演。

玉女さんの団七がかっこいいのはいつもながらですが、文司さんの一寸徳兵衛がこれまた素敵で、二人が喧嘩してから和解する「住吉鳥居前の段」は、人形なのに人間よりかっこいい、ほれぼれするような二人でした。

「釣船三婦内の段」では住大夫師匠が、お辰の身をはった女伊達ぶりと三婦の粋も甘いも噛み分けた渋い魅力をさらりと爽やかに語られていて、団七や徳兵衛の若さでごり押しするかっこよさとはまた別の魅力を発見できます。

そして「長町裏の段」、千歳大夫さんの団七がもうノリにのって、かっこよさとみじめさと色気が混在して爆発する「夏祭」の世界を体現。

肩衣も柿色の団七格子で、決まってます。

この段は三味線が黙っていなければならない時間が長いので、三味線フリークとしてはちょっと残念なのですが、最後の最後、「八丁目、差して」のところで藤蔵さんがためにためていたパワー全開でぶったたきますので、びっくりなさいませんように。

ちょっと無理をして1日に3部通してしまいましたが、最後まで見られて(聴けて)よかったと大満足の1日でした(っていうか、また来られないのが残念でしかたない)。

そして個人的には今回、一番期待していた「瓜子姫とあまんじゃく」については、別に項目をもうけてお話します(コチラ)。
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今年の初咲きは「曲水の宴」

2013-07-21 | 朝顔
今年の初咲きは「曲水の宴」。



浅葱を基調とした縞なのですが、もう少し青っぽくなりました。

それが、今日は曇りがちだったせいか夕方まで花がしぼまず、こんな色に変わりました。



この紫っぽい色合いも素敵だな、と思うのですが。

もう、朝顔に関しては親バカぶり全開ですので、お見逃しくださいませ~。

今年は無地だけでなく縞や吹雪模様もありますし、初挑戦の変化朝顔もあり、どんな花が咲いてくれるか、朝起きるのが楽しみです。

大輪朝顔については、東京朝顔研究会のサイトが充実していますので、興味のある方はぜひこちらをご覧ください。

そして、7月28日(日)~8月3日(土)まで、夏の風物詩、日比谷公園名物の「超大輪朝顔展」が開催されます(2012年の大輪朝顔展示会の様子はコチラ)。

「超」がつく「大輪朝顔」です。この道何十年の先生たちが今年も丹精込めて育てたとびきりの名花が揃います。

朝顔なので、朝が一番きれいです(開催は、午前8時~正午くらいまで)。

少し早起きして、出社前にぜひお立ち寄りくださいませ。
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本日のミュージアムグッズ22 「モダン・パリの装い」展、クリアファイル@練馬区立美術館

2013-07-19 | 展覧会
練馬区立美術館で今年も開催されている鹿島茂コレクションシリーズ。3回目の今年は「モダン・パリの装い 19世紀から20世紀初頭のファッション・プレート」展



開催される前から楽しみだ、楽しみだ、と大騒ぎしていたのですが(コチラ)、ついに対面を果たしました。

チラシにもなっている、ガヴァルニ描く、あの超おしゃれなお姉さんと。

思ったより、ずいぶん小さくてびっくり。チラシのサイズの2/3くらい?? 半分???

ガヴァルニをはじめ、かなり小さい作品もあるので単眼鏡は必携です。

いろいろと書きたいことはあるのでそれはまたゆっくりと、ということで、今日はとりいそぎガヴァルニのお姉さんのクリアファイルをご紹介します。



かわいい。やっぱりかわいい。このお姉さん。

この赤がまた、黒とあってて素敵。

思わず、飾る用ととっとく用、2枚購入してしまいましたよ(1枚350円)。

そして図録ですが、求龍堂から一般販売されているものの、会場で購入すると「特別出品衣装解説BOOK」なるものが付録としてついてきます。


(左が付録の「特別出品衣装解説BOOK」。中は敢えて秘密!)

展示されている京都服飾文化研究財団のドレス等の写真と解説が掲載されていて、これらは図録には掲載されていないので、図録はぜひ、会場で買いましょう!(3300円)

たしか、付録は先着1000名と書いてあったような気がするのですが、うろおぼえなので会場にご確認ください。

今回の展覧会では、ヴェルネ、ガヴァルニなどの19世紀のファッション・プレートとアールデコを代表するイラストレーター、ルパップ、マルタン、マルティのすばらしい、貴重な作品が並んでいます。

見ていてうっとり、素敵な時間を過ごせます。

展覧会の感想は、また後日あらためて掲載します。

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「常設展こそ宝の山と思うべし」国芳描く『水滸伝』の英雄がかっこいい@東京国立博物館

2013-07-17 | 展覧会
今、個人的に常設展がブームなので、別に美術館の人間でもなんでもないのですが、常設展のおもしろさをもっと知ってほしいという一途な気持ちから、おもしろい常設展示をぼちぼちご紹介したいと思います。

歌川国芳「通俗水滸伝豪傑百八人之一個」シリーズ@東京国立博物館

国芳の出世作ともなった『水滸伝』の英雄を描いた錦絵のなかから選ばれた38枚が、ずらりと展示されています。


(歌川国芳「通俗水滸伝豪傑百八人之一個」より「操刀鬼曹正」江戸時代、大判錦絵、東京国立博物館蔵、江森早苗氏寄贈)

曹正は、「梁山泊第八十一位の好漢で、地稽星の生まれ変わり。渾名は操刀鬼(そうとうき)で、代々肉屋の生まれであり、その包丁捌きが見事なことに由来する」だそうです(ウィキペディア)。

いやあ、このなんともいえない熱い(暑苦しい…)感じがいいですね。でもこれはわりとおとなしいというか整っているほうで、もっとハチャメチャな感じの表現も多々あります。

『水滸伝』のクセのある豪傑たちを、国芳が画技のかぎり、奇想のかぎりを尽くして描いてみせた本シリーズ。

全部揃って見られたら壮観でしょうが、40枚近くずらりと並んだだけでもかなり見ごたえがあります。

かなり寄って見ることもできるので、刷りの風合いなど、印刷物や画像データではとらえきれないものもじっくり見られます。

本シリーズの展示は、2013年7月21日(日) まで。本館 10室「浮世絵と衣装」にて。

え、あと数日!?

そうなんです。

展覧会に行っても、「常設展なんて、いつでも見られるし、別にいいじゃん」と思って企画展だけ見て帰ってしまう方も少なくないかも。わたしもそうでした。

たしかに常設展で展示されている作品はその美術館が所蔵するコレクションですが、いつでも見られるかといったら案外そうでもありません。

たいていは、収蔵庫の奥深くで眠っていて、常設展でのテーマにあったときだけ展示されるということが多いものです。

さもなくば、どこかほかの美術館で企画展があるときに、貸し出されるとか。

特に東京国立博物館のように所蔵作品が膨大な施設ですと、お目当ての作品が展示される機会はなかなか訪れないかもしれません。

ですので、企画展で足を運んだときは、常設展も忘れずに訪れてみてください(ちょっと疲れるかもしれませんが……)。

企画展(今は「和様の書」よろしければコチラもどうぞ)でトーハクを訪れたら、その足で本館や東洋館も覗いてみてください。きっとお気に入りが見つかることと思います。

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