涙枯れる事なくとも…

仮設住宅に住む70代の男性…

本震後に奥さんと共に逃げ延びた
70代の男性が高い丘を再び訪れた。

避難後、奥さんは
「息子から預かった犬をおいてきた」と
小さな山陰にある自宅に一度戻り…
犬を連れて避難場所に戻った。

けれど、この姿を最後に奥さんは津波に飲まれてしまった。
誰にも何も言わず、丘を降りて…

ご主人との今生の別れになってしまった。

遺されたご主人は、仮設住宅に一人暮らし。

手料理が美味しく出来た時、仏前に供え奥さんに話しかける。
「ばあさん。食べるか？美味しくできたんだよ、一緒に食べましょう。」

その瞬間に「つくづく一人なんだ」と、涙が止まらなくなるそう。

その度に…
気が済むまで泣いて、明日に向かうそうです。


今、この瞬間も…
ご主人と同じような思いで時を過ごしている方がいらっしゃいます。

2012年もあと5日余り。

繰り返す涙の後に…
僅かにでも、心穏やかな時間が増えていきますように…