
2日目の後半です。
日も傾き始めてきましたが、飯田線乗りつぶしを再開しましょう。
この日は天竜峡の少し先にある、時又まで移動します。

湯谷温泉から40分ほどの間は、集落から集落へと谷筋を渡っていきます。
このあたりは田舎ではあるけれど、生活のにおいのする地域です。
車窓を流れる風景を眺めているうちに中部天竜駅に到着。
ここで9分の運転停車があったので、ひとまず降りてみます。

佐久間ダムの近くということで、それなりに開けている様子。

昔は佐久間レールパークがあったんですよねぇ。
展示されていた車両の大半はリニア・鉄道館に移されたんだとか。
今となっては見どころは特に無いので、先に進みましょう。
中部天竜より先は、東へと大きく回っていきます。
佐久間ダム建設に伴っていくつかの駅が水没してしまうため、水窪側へとう回させたせいですね。

長いトンネルを2つ越え、佐久間湖沿いに出るとたどり着くのが
難読駅のひとつ、大嵐(おおぞれ)。

この駅はトンネルとトンネルの間に位置しています。

なので前を向いても

後ろを向いても、目の前にはトンネル。

いいですねぇ、この感じ。
辺鄙なところまでやって来たな、って雰囲気です。
そしてここから飯田線は、佐久間湖沿いに進んでいきます。
日本屈指の秘境区間と言われる区間です。

これは小和田駅。
自動車の通れる道が近くに存在しないため、
鉄道でしか来られないこれぞ「秘境駅」という駅です。

こちらは田本駅。
ここも山道を150mほど登っていかないと
自動車の通る道路まで出られない、秘境駅です。

湯谷温泉から2時間半弱かかって天竜峡駅に到着。
ここまで来ると秘境区間を抜け、人里の中を進むようになります。
初めての飯田線秘境区間乗りつぶしの感想はというと
「秘境、秘境だとは言われつつも、案外人の気配があるもんだなぁ」
といった感じ。
例えば中井侍駅から下を見下ろしたら、急な崖に茶畑が広がっていたんです。
確かに訪問の難しい駅ではあるんですけど、そうは言っても鉄道がいまだ残っているからには、
必要とされているわけで、必要とする人がいるわけです。
そういう意味では「秘境感」は思っていたほどではなかったかな、と。
昨夏に乗った宗谷本線の音威子府以北の方が秘境というにふさわしい場所だと感じました。
あれはもはや、原野だったもんなぁ……
天竜峡で次の列車に乗り換え、2駅進むとこの日の宿のある時又に到着です。

ザ・田舎の駅って感じがいいですねぇ。
前日の湯谷温泉では少し良い宿に泊まったので、この日の宿は節約のため素泊まりにしました。
しかし時又周辺には食事をできるお店がほとんどありません。
そこで下調べの段階で見つけておいた、リストランテ ココリズムまで歩いて行ってみました。
こちらの売りはなんといっても、地元南信州の野菜が並ぶサラダバー「ポポラ」。
なんかもう書ききれないくらい種類があって、これだけで十分楽しめました。
菜っ葉だけでも小松菜、ほうれん草、水菜、紫水菜、紫ほうれん草、わさび菜などあって、食べ比べられます。
珍しかったのがサラダ用春菊、エグみは無いけど春菊の香りがちゃんとしてとても美味しかったです。
他にも豚肉や鶏肉の入った煮物、ポトフやスープに、果てはキノコ類のしゃぶしゃぶまであって、
サラダバーという言葉には収まらないぐらいに充実していました。

サラダ春菊にベビーリーフに数種類のニンジン。
ドレッシングは信州らしく、リンゴドレッシングです。
右奥はポトフ。野菜の甘みたっぷりでおいしい。

信州サーモンのリゾット。
本場のイタリアンよりは少し柔らかめ、
でもべっちょりはしないくらいの粒感で美味。

野菜がおいしいので、何度もサラダバーに行ってしまいます。
サラダバーといっても豚肉や鶏肉の惣菜もあるので、
これだけでも十分おなかが膨れます。
ちなみに右奥がキノコのしゃぶしゃぶ。
サラダバーコーナーにお鍋が置いてあって、
自分でしゃぶしゃぶしていただきます。

桜エビのタリアテッレ。
味付けはよかったけど、自家製だという麺は普通の出来かなぁ。

ポポラ(地場野菜サラダバー)にパスタとリゾット、プチドルチェのついたポポラコースは税込1900円。
旅行の最中って野菜をとるのがなかなか難しいので、たっぷり野菜を食べられて満足まんぞく。
こういうお店が身近にあったらいいのになぁ。

こちら、2015年春オープンの新しいお店でした。
敷地内にはマルシェがあって地場野菜や加工品を買うことができたり、
この4月には新たにカフェもオープンしたりと、農業リゾートというコンセプトのもと施設も拡大しているようす。
またこの辺りに行く機会があったら、ぜひとも寄りたいところです。
このあとまた45分歩いて宿に戻り、この日は終了。

飯田線はまだ半分ほど残っています。
最終日は天竜峡と飯田市街を少し観光し、中央本線で東京へと帰ります。