
2018年7月19日。
木曽駒ケ岳2日目の朝も快晴。

朝食前に小屋を出てみれば、一面の雲海。
その奥には北アルプスの山々が連なっている様子も見られました。
今日もよい山行になりそうだ。
この時点では、昼の気温のことなど頭の片隅にもなかったのです。

玉乃窪山荘の朝ごはん。
あいかわらず品数豊富です。

そうそう、小屋の壁なんですが、トタンの上からヒノキ板を張り付ける
改修作業をしていまして、ヒノキの良い香りが漂っていました。
「お盆明けまでは忙しいから、続きはそのあとになっちゃうけどねぇ」
とはご主人の弁。
名残惜しく思いながら、6時半に玉乃窪山荘を出ます。
この日は木曽駒山頂から馬の背を歩き、濃ヶ池・駒飼ノ池を経て頂上山荘へと戻ります。

まずは山頂へ向かう前に、頂上山荘の方へ向かいます。
前日に「朝イチでも荷物のデポさせてもらえるか」を聞いておいたので。
今回は2つある巻き道のうち、木曽頂上山荘より下にある方をチョイス。

最初のうちは去年使った上の巻道と大差ない感じでした。
ちょっと狭いけど、気をつけて歩けば問題ないくらい。

しかし1カ所崩落しかけているところがあります。
天気が悪いときには避けるべき道ですね。
天気が良くても、二度と使う気はしないなぁ。
いらない荷物をデポしたら登山再開です。
まずは木曽駒山頂へ。
夏山で絶景を楽しむなら、8時までに展望スポットに登るべし。
というのが最近理解した山のオキテ。
たいてい9時を過ぎると雲がどんどん涌いてきてしまい、隠されてしまうものです。

この日のコンディションは本当に素晴らしく、
山頂からも北アルプスがくっきり見えました。

他の山がわからなくてもこれだけはわかる、槍ヶ岳。
明らかにとんがってます。

御嶽山も全容をばっちり見られました。
関東にいると馴染みが無い山ですが、
山梨や長野の山に登った際にはその大きさに圧倒されます。
馬の背攻略へと入る前に、自撮りをパシャリ。

2年前とほぼ同じ地点で、同じ用な構図で撮ってみました。
木曽駒、やっぱ良いとこだなあ。

さて馬の背攻略開始。
ここからは2年前のリベンジになります。
といっても特に難しいことはなく、尾根筋をダラダラ下るだけです。

振り返れば木曽駒ヶ岳山頂。
いやぁ、とんでもない好天ですね。

この天気なので、雲海に浮かぶ八ヶ岳も見られますし

南アルプスだって全部見えました。

山の名前はこんな感じですかね。
甲斐駒の向こうに仙丈、北岳・間ノ岳・農鳥岳の白峰三山。
富士山をはさんで、少しとんがってるのが塩見岳。
最近になってようやく覚えられるようになりました。

道ばたにチングルマを発見。
白い花のところもあれば、このように実を結んでいるものもありました。
場所によって生育状況がずいぶん違うものです。

右手下方に池が見えてきました。濃ヶ池です。
しばらくはこれを目指して進むわけですが、なかなか下へと降りる道との分岐までたどり着きません。

しまいには濃ヶ池は全く見えなくなります。
事前に見ていた地図でもそうなっているし、
GPSで現在地を確認してもまだ分岐を越えていないし、
正しいルートを進んでいるとわかってはいるものの、不安になりますね。

ようやく濃ヶ池分岐に到着。
馬の背の下りは特にきついところもなく、
危ない場所も1つあった程度で問題なくクリアしました。
左手後方に北アルプス、左手前方に八ヶ岳、右手前方に南アルプスと、
名だたる山々を全部見られ、大変楽しい尾根歩きでした。

しばらく休憩をとったら、濃ヶ池へ向かいます。
気持ちいい稜線歩きでしたが、3000mの高地にしてはかなり暑かったです。
だいたい地上と比べると単純計算で3000m×0.6℃/100m=18℃ほど低くなります。
しかし猛暑の今年は地上が38℃とかなってますから、山の上でも20℃以上あったと思います。
おかげで濃ヶ池分岐の時点で飲み水の消費が想定以上に多く、
これ以降は不安を感じながらの山行となってしまいました。
さて、分岐から濃ヶ池まではアップダウンは少なく、山肌に沿って進みます。
いつの間にか森林限界より下に来ていたようで、
鬱蒼とした森の中を進むことになるわけです。
左右に繁るハイマツの枝や、ときおり頭上をかすめるサクラの枝と
15分ほど格闘すると濃ヶ池に到着します。

濃ヶ池は氷河時代に作られた氷河圏谷底湖。
氷河が削ってできたカールの底に水がたまってできた、
氷河時代の忘れ形見といったところです。
今年は7月上旬にあった豪雨の影響で雪解けが早かったらしく、
すれ違った方の話によると濃ヶ池の水量も例年より多かったようです。

そのため、濃ヶ池から駒飼ノ池へ向かう登山道は、
濃ヶ池から流れ出た水で川のようになっていました。
水面から顔を出している石を頼りに、慎重に進みます。

宝剣岳や宝剣山荘は見えてはいますが、まだまだかなり上。
「あそこまで登るのか……」
この時点で飲み水の残量がかなり怪しくなっていたうえに、
直射日光を浴び続けていたため、体力も精神力もゴリゴリ削られていきました。

そこに追い打ちをかけたのが、この直登ルート。
地図を見ると濃ヶ池から駒飼ノ池へ向かうルートには直登以外にも、
沢沿いに回り込みながら登るルートもあります。
しかし沢沿いルートは崩落のため通行止めとありました。

遠目からの写真で見ると、2つのルートが見られます。
崩落地ってのはたぶん写真の部分なんじゃないかな。
しかたがないので直登ルートで登っていきます。

駒飼ノ池へのルート上には、雪渓がいくつかあります。
例年だと7月下旬になるまでは雪が残っていて、
時期によってはアイゼンが必要になることもあるらしいのですが、
今年はやはり7月上旬の豪雨で雪解けが早く、雪の上を歩かずに済みました。
心配だったので、いちおう簡易的なスパイクは持って行きましたが。

駒飼ノ池に近い方の大きめな雪渓は、雪解け水がかなりの勢いで斜面を流れていました。
このあたりは直射日光が照りつけ続けていて、25℃くらいあったように思います。
おかげで飲み水の残量はほぼゼロ。
当然歩みは遅くなり、濃ヶ池から駒飼ノ池までは
コースタイム35分のところを60分もかかってしまいました。

なんとか駒飼ノ池に到着。
ほとんど水はなく、枯れた状態でした。
ゆっくり休憩したいところでしたが、日差しを遮るものがなにもなく、
居るだけで消耗していきそうだったので、さっさと進みます。

あとは30分かけて乗越浄土まで登るだけ。

へとへとになりながら宝剣山荘にたどり着いたら、
ペットボトル飲料を購入して水分を補給し、さらに昼食もいただきました。
今回はカレーをチョイス。
辛口と注意書きがあったものの、辛いのが苦手な私でも問題なく食べられるレベルでした。