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「廃炉」(稲泉 連 著)

2021年12月16日 | 原子力・放射線
福島第一原発で40年続く廃炉作業。そこに関わる人々の姿を描く。

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福島第一原発では今日も約4千人が廃炉作業に関わっています。
高放射線量の下で、はたしてどのような作業が行われているのか。
そしてその困難な作業に関わる皆さんの思いは、どのようなものなのか。
ずっとそう思い続けてきました。

本書ではいろいろな立場の人々の姿と言葉が紹介されています。
そこで働く人々は、「誰かが担わなければならない仕事」と向き合い、誇りをもって働いていらっしゃる。
サブタイトルにあるように、「敗北の現場」で働く誇り、です。

本書の目次は内容の概要をよく伝えているので、紹介します。

*目 次*
●プロローグ
 八年ぶりの帰郷、ものを壊し更地にする

●第一章:福島に留まり続けるある官僚の決意
 「一生、福島においてください」、 核の平和利用に携わりたい、現場で感じた国への不信感、「普通」であることの難しさ

●第二章:四号機を覆え
 東京タワーと同量の鉄骨、四号機は最後の砦、「キリン作戦」、 三社合同のプロジェクト、前を向いてやるしかない、「国に貢献してみる気はないか」、瓦礫運び出しの苦労、重量物輸送のプロフェッショナル、「71基無事故輸送完了」

●第三章:イチエフのバックヤードで働く人々
 イチエフを見守ってきた桜並木、2018年4月某日、4時―6時― 9時―12時00分―15時00分、福島県立医科大学―18時00分―

●第四章:高線量瓦礫は夜運ばれる
 ローテクとハイテクを組み合わせる、集められた多様な技術者たち、世の中にこんな仕事をやった人はいない、 一発アウトの仕事

●第五章:廃炉創造ロボコンの若者たち
 ペデスタルって何?、Jヴィレッジの再開、中学一年での被災、震災を知らない世代

●第六章:東芝の二人
 重要調査を担う、「なんて不気味な場所なんだろう」、「サソリ」調査は成功だった、東芝の責任、あらゆる試みが「世界初」

●第七章:事故後入社の東電社員たち
 入社した以上は事故の当事者、いかに作業員の仕事を止めるか、現場を見ないと何も語れない、「運転員」という仕事、プロジェクト完遂型人材、「廃炉広報」、 人事部の秩序を壊してでも欲しい人材、『はいろみち』

●エピローグ、あとがき

「廃炉」稲泉 連 著
 新潮社、1600円(税別)、2021年2月発行

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