料理と教室と小説

料理と小説を中心にしたりあんの心模様

きっと料理を作りたくなる本~姫と洋編~Vol.5

2019-12-30 11:00:02 | グルメ
12月28日発売開始っ!
「きっと料理を作りたくなる本~姫と洋~Vol.5」
「グランメゾン東京」より面白い?(笑)
「きっと君は姫に恋をする」
「きっとあなたは洋に恋をする」
                 (^_^;) 伊織ひろみ

私はどうしたらいい?
生まれて初めての感情だ。
今までの全てがうわべだけだったのだと・・・。
自分は回りの友人達より余程早くから経験している・・・男性経験豊か・・・。
その自負が今崩れ去ろうとしていた。
知らなかった。
高一の夏休みから・・・全ては恋愛遊戯だった。
表面だけ、まるでドラマのヒロインを演じていたようなものだったと、今知った。
しかし洋は・・・違った。
生まれて初めての感覚は・・・。無性な愛しさだ。
今まで男に対して感じた事は一度も無い。
あの植村直也でさえ、愛しさではなかったと言い切れる。
ちょっとしたステイタス。同級生からうらやましがられる為の飾り物・・・。
自己陶酔・・・。
別れて一年もしないうちに姫はそう分析したのだ。
その後、つきあったボーイフレンドは全て、自分がコントロールした。
近づくのも離れるのも・・・。
決して恨まれるような事はしない。
最後まで可愛い女で有り続けた。年上には特に・・・。
歳下のボーイフレンドには綺麗な姉を演じ・・・。
冷静に相手を選び相手を切りすてた。
そして男女関係なんてそんなものだと高を括っていた。
その経験が仕事に見事に生かされた。
レストランは表向きキャバクラやクラブのような疑似恋愛を提供する場ではない。
無いが、一時の会話、仕草、眼差し・・・。
ワインを注ぐ際、姫の細い手首が男性客の目の前を横切る。
ワイシャツの袖口から覗く、露わにされた肌。
白く薄い皮膜を通し青く細い血管が透けて見える・・・。
目の前の男性客が固唾をのむのが姫にははっきりとわかる。
客の二の腕に、丁度自分の華奢な腰が寄り添う。
相手の女性に気づかれない程度に近づける。
姫には解る。
上着やシャツを通してもその男の肌が自分と呼応しているのが・・・。
今、その男が自分の腰を抱き、顔を埋める妄想をしているのが・・・。
そう・・・。
だから姫は実際に素肌をあわせずとも良かった。あわせる必要性・・・。
いや、願望を持たなかった。
現実にはただ幻滅があるだけ。
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