エロゲはやっぱり中古が一番

元藤井竜王のヘボにもわかる形勢判断の仕方

まずは解説の元藤井竜王ではなく、現竜王の藤井五冠の順位戦から。

いよいよ名人が近づいてきましたね。文句無しに後手番であの天彦九段に圧勝でした。とはいえ見せてくれますね。まだ27日のラスト1局があるせいなのか、最後の最後に鮮やかな決め手を見せてくれました。


△5七角成の金取りに天彦九段は▲6八桂と合い駒で金を守ります。ここで指した次の一手が△同馬とあっさり馬を切って、▲同金に△8八飛成とします。
この時点で、大騒ぎなのが解説者たち。これまで一方的だったのが、ひょっとしたら・・・って盛りあがりましたからねえ。
解説の藤井猛九段も「いやこれはわからなくなってきましたよ。先手にもチャンスが生まれましたからね」
もちろん対局者である天彦九段も同じ気持ちで、顔つきから態度までつい少し前とは大違いでやる気満々。指先までしなってきました。
スワ、逆転まであるのか⁈

ところがAIだけは淡々とつい先ほどまでと大して変わらず藤井竜王のほうに優勢の評価のまま。その意味はまず数手後に現れます。
飛成の金とりに▲6九歩,△2四歩,▲4五飛の後に打たれた△5三桂が第一弾。


飛車取りですから4六飛と躱す一手。そこで竜王は2一銀と金を払いますが、次の5五歩が桂取りで厳しく同金なら6三角で形勢逆転です。藤井竜王は
7八歩成、▲5八金を交換した後に6五銀ととられそうな銀を逃げながら桂を守ります。
そこで天彦九段は取られそうになった桂を待望の2三に成捨ててから▲4三飛成と玉頭を攻め、△4二歩の合いに▲5二角と打ち込みます。
ここまでの一連の流れを思い浮かべての解説陣の勝負になったとの意見だったわけです。

さらに△3一玉に▲3三龍、同金、6三角成と金を補充しながら藤井玉に迫る先手。ここで竜王が指した手がこの一連の流れは、実は天彦九段だけでなく竜王も十分承知していたことを分からせる一手でした。


先ほど飛車に中て、先手を取った桂打ちでしたがそれだけではなかったのです。取られそうな桂を4五にハネて銀取りにあてます。これが第二の手段です。これで先手玉は途端に薄くなってしまいました。しかも持ち駒が飛角だけでなくもう一枚桂があります。
天彦九段、最後の考慮時間を取って金打から、2二歩、2三歩と連打して銀を2三の地点につりあげて4一金から4二金として次に4一馬の詰めろを狙います。
ここで藤井竜王が指した一手で、全てが竜王の読み筋通りだったと気付かされます。それが、
8九金でした。
桂を補充しながら、龍捨てからの詰めろになっています。さすがにこの手をみた天彦九段、4一馬と詰めろを掛けますが5八龍の王手に同金、△3七桂成、▲同玉に4五桂で無念の投了となり、これで順位戦は単独のトップとなりました。


とはいえ今回は藤井竜王がいよいよ六冠だけでなく来季早々の名人位に向けて先頭に立ったのですが、今回のこのブログはそれよりも元藤井竜王てんてーの解説がメチャクチャ面白かったので紹介するのがメインです。

藤井猛九段の話術は有名ですが、一般のヘボにも分かる形勢判断の仕方!
それがこの序盤に現れました。



先手の天彦九段の玉は7一から6一、5一へと移動している間に後手の藤井竜王は8四から8五へと銀を繰り出します。
他にも現局面での駒の最短の移動手数を数えてみます。例えば天彦九段の玉は実質は居玉でゼロにもかかわらず4手費やしています。また角は2手といった具合ですね。同様に藤井竜王も同じように数えると総手数で天彦九段よりも藤井竜王の方が5手多く指し手いることになります。
普通に考えれば、当然その分有利になるはずです。もちろん手待ちといった戦術的なことはあるので一概には言えませんが、続けて5手も指せるなら後手番にもかかわらず、先手番よりもずっと得ですよね。

この考え方は、碁では一般的なものです。
手割と呼ばれていますが、出来上がった図を通常の手順で打った時と比べてどうなのかを検証するわけです。仮に10目の地を作るのに2手で済むのか、あるいは3手かかるのか、はたまた5手も費やすのか、その効率をみるといいかえてもいいでしょう。
地を相手よりも少しでも多く囲うことを競うのが碁というゲームです。通常隅の場合10目なら2手、辺なら3手、中央なら5手でも囲えるかどうかといったところです。とすると隅が一番囲いやすいので最初に狙うのは隅ということになりますね。
ただ交互に打つゲームですから、相手が2手目を邪魔することも普通にあります。そこで戦いが起こり、競い合った結果、相手に地を与えた換わりに勢力を得ることもあるわけです。勢力というのはわかりにくいかもしれませんが、簡単に言えば未開の地にどれだけのものが将来見込めるかという投資みたいなものです。相手に20目の地を与えた換わりに同等のものを得ることができれば対等で双方不満の無い部分的な別れ、これが定石と呼ばれる形になります。でもそうでなければ、どちらかに形勢が傾いているというわけです。
自分の先手で始まり、相手の番で終わるなら同手数ですが、自分の手番で終わるとすれば、相手の方が1手得をします。1手分以上の価値がある別れなら不満ありませんが、同じ程度の価値しかない別れになったのなら明らかに手損になります。
見た目30目の大きな地を得たとしても同じ地を囲える最小の手数よりも数手余計にかかっていたのなら、その数手分は相手がどこかで得をしていることになります。逆に最小の手数では到底囲えないほどなら大儲けです。

これが先ほどの藤井猛九段のいわれる形勢判断の良し悪しと同じ意味ですね。
ただ碁と違い将棋はあくまでも速度です。相手の玉をいかに早く詰ませるかなんですが、形勢判断の材料には実にわかりやすい解説だと思います。
そういえば順位戦の解説は数年ぶりだとか、渡辺さんと誰かの時以来だそうですが、今後とも藤井竜王の対局には是非とも期待しています。
数少ない将棋観戦ですが、これまでの解説者の中でも間違いなくトップクラスで、今回藤井てんてーが出演の間は、ずっと観戦していましたからね。ホンのちょっぴり仕事で席を外した以外は(笑)


PVアクセスランキング にほんブログ村

ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!

最近の「将棋」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事