本日から消費税増税スタート。ただわけのわからない制度の導入が、輪をかけて世間を混乱させているようです。システムの変換だけでもどれだけ大変なのか、他人まかせの政治家や官僚では、想像さえできない事象なのでしょうね。
仕事の大半は先月の前倒しで予定通りの閑古鳥コース。書いたことのない日記で適当に憂さ晴らしのつもりでしたが、休日でもないのに真っ昼間からエロゲはさすがに女房の眼もあります。それなら前回ちょっと触れた芝野八段の凄さを考えてみるのもありですね。といってもザルの私にどれほどのことがお伝えできるのか甚だ疑問ですが・・・。
今年のNHK杯2回戦、対戦相手は秋山九段です。解説者は趙名誉名人。
驚きの一手は13手目の黒に赤丸。白が星から構えたオオゲイマへ、どうぞお囲いください、でした。
黒:芝野八段 白:秋山九段(黒:6目半コミ出し)
さすがに解説者の趙さんもびっくりです。
もともと星からの大ゲイマの構えはいつでも三々に活きがあるところ。小ケイマにくらべて地には甘いがその分模様はデカくなる、これくらいなら私でもわかります。
その弱点をどうぞ補ってくださいね、といってるようなものですから、秋山九段も喜んで囲いました。
続いての一手が、黒の赤丸。
この手はさすがに趙さんも感心しておられました。左下の白は堅い石だから、なるべく遠ざけて打ちたい気分だとか。
いわれてみればそうかもしれませんが、なんだかまとまりがつかず、頼りない格好に見えるのは私だけ?
で秋山九段はさっそくハサミます。攻めと上辺を広げる一石二鳥の手ですね。
以下の手順です。
下に大ゲイマ
白ブツカリに対して、黒中央へケイマします。
黒のケイマに、白は最初の大ケイマの黒石をしっかりと制します。
黒は構わず最初にハサんだ白石へケイマガケ。
デギリたいが、シチョウは黒良しなので、一先ず上辺へ展開しました。
これはシチョウアタリにもなっているのですが、黒は平然と下辺に構えます。
頼りなかったはずの左辺がいつの間にか、中央の模様に役立っていますね。ほんの数手で画面が随分変わるものですね。
ここでようやく黒の構想が見えてきました。
前に打った手を最大限に活かすことが強さのバロメーター。石の働きですね。95点の手を打っていれば、相手が無難な90点の手ばかり打っていると20手ですでに100点の差がついてしまいます。
この人なら序盤にどんな手を打ってもそれなりに局面を作って一局の碁にしてしまうんでしょうね。
で、秋山九段が続いて打った手は、
右辺の黒模様の制限の肩ツキでした。
軽く消しにきた白に迫りながら、左辺から利かせてから下辺にツケる黒。下がりたいが全体に薄い感じです。十数手のやり取りのあと、いよいよ白の狙いの一手を決行します。
ところが、押さえにキリ、黒ノビのあと白ノビ?
シチョウアタリを準備したのに?
さすがに趙さんもこれにはびっくり!本日2回目です。ただこちらのびっくりは・・・
芝野八段、喜んでカケツギ。
これでデギッた白石は取られています。
趙名誉名人いわく、これを捨てるようでは他に余程旨いことがないと割りにあわない、とのコメント。結果、その旨い事は訪れませんでした。
盤面13目、芝野さんの完勝でした。
秋山九段、堅実ですが天元戦で挑戦者になるなどひとかどの打ち手だと思います。ザルのド素人がこんなことを言うのは生意気ですが、趙名誉名人や芝野名人はもう一段上の見ているものというか碁の質が違うような気がします。絶対に譲れないこの一手というのが碁には必ずあるもので、結果がどうなろうとそこをしっかりと見極められるのが超一流の打ち手であり、天下を取ることが出来る資質のような気がします。
序盤の星からの大ゲイマに奇妙な消し?カカリ?なんとも表現の難しい手ですが、こんな手を創造できるなんて実に痛快ですね。
是非とも世界で活躍してもらいたいですね。(早碁で既に世界ランク1位に一度勝っていますけどね )
棋譜その他詳細はNHK杯囲碁のトーナメント日程・概要のページでどうぞ。
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黒先、結果は?
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