秩父第一番・四万部寺さま
11月18から19日にかけて、霊園檀信徒の方がたと秩父に団体参拝旅行に行って来ました。
2日間雲ひとつない天候となり、鮮やかな紅葉のなかで「大人の遠足」。 参加者は25人。
かなり平均年齢の高い「超・大人」の遠足でありますから、車中でゆったり過ごすことを優先させて大型バスでの遠足になりました。
最高齢はゴンベさんの91歳。いちばん若い方は40代。75歳以上の方がほとんどですので、何かあったらとおもうと、遠足が終わるまでは気を抜けません。
バスは高速道路を順調に進み、ほぼ時間通りに秩父市内に到着。
途中、「栗助」というお菓子屋さんで「秩父案内人」さんが合流しました。
案内人のかたは、その名も「知知父(ちちぶ)」さん。明るくひょうきんな作務衣姿のおじさんです。
秩父札所寺院への道は狭いところが多いので、地元の道路事情を熟知している案内人さんがいると迷うことがありません。
もちろん札所の知識も豊富ですし、住職さんがたとも旧知の仲。今回はいろんな事を教えていただきました。
その知知父さんの案内で最初に伺ったのが、札所一番、四萬部寺さま。
9月の下見のときにもお参りしましたが、紅葉の時期の境内はまた一段と艶やかな感じがします。
観音堂に参加者全員入堂させていただき、般若心経をあげさせていただきました。
やはり、堂内でお経をあげさせていただくのはありがたいものです。
参加者ほとんどの方が坐禅会や写経会の方でしたので、心経はもちろん普回向や略三宝もお唱えできます。
堂内いっぱいに、朗朗とした読経の声が響きました。
先にも述べたように、秩父札所は狭い道を通ることが多いので、大型バスでは入れない札所もけっこうあります。
予定していた紅葉の巨木が有名な8番札所、西善寺さんは大型バスが入れません。
あの大きく広がった紅葉はどんなふうなんだろう・・と楽しみにしていたのですが、今回はざんねんながらお伺いできなくなりました。
で、相談の結果、住職さんがちょっと変わった特技を持っている、いう案内人さんのおススメ意見を入れて、16番・西光寺さまにまわることになりました。
西光寺住職さんの予定にあわせて、さきに昼食のおそばをいただき、まつり会館、秩父神社を参拝してから西光寺さんに参拝します。
昼食は秩父市内のお蕎麦やさん「武蔵屋本店」さんの「せいろ蕎麦と茶飯、まいたけ天ぷらのセット」。そして地酒は「秩父錦」。
食べるのに夢中で、写真をとるのを忘れてしまった・・・・。
新そばになっているからだと思いますが、9月に食べた時よりはるかに美味しい!
蕎麦の香りも鮮烈で、ダシが濃すぎないのと相まって非常にいい感じ。細打ちのおそばが熱燗と良く合います。
茶飯がまた美味しい。訊けば「そば茶」の実をいれて塩味で炊いているとのこと・・・御飯茶碗のふたをとるとそば茶の香ばしい香りがして、しゃくし菜のお漬物とまたよく合います。
こういったストレートにこころと身体に響くご飯、いいものです。
般若湯をいただいて身も心も落ち着いた後(?)、まつり会館の見学、そして秩父神社へ参詣します。
12月2,3日の秩父夜祭りはよく知られた盛大なお祭りですが、その時だけで30万人もの人出があるのだとか。
秩父は今人口が激減していて子供たちも少なく、日中はあまり人通りもないんだけど、こんときだけはすごいんだよー、と秩父案内人・知知父さんが教えてくれます。
神社では神職のかた(禰宜さんかな?)に丁寧な神社の説明をいただきました。
市内の通りにでると、徒歩で札所をまわっている方を見かけました。
菅笠に金剛杖、おいずりのいで立ちで巡礼する方もまだまだいらっしゃるんですね。
続いて16番・西光寺さまに参拝です。
案内人の知知父さんいわく「あまり見られないパフォーマンスをしてくれる」とのこと。
パフォーマンス、特技ってなんでしょうか?と訊くと、「ちょっと見られないよ、両手で違う字を書くんだよ」って・・・・?????
頭の上に?を載せながら山門をくぐり、四萬部寺と同じようにみんなで般若心経をお唱えして御本尊様にお参りします。
お参りのあと、住職さんの字を書きながらのご法話をいただきました。
とつとつと話しながら和紙を硝子戸の桟にはりつけたと思ったら、なんということでしょう、両手で筆を持ち「伊呂波歌」をすらすらと書き始めたではありませんか!
しかも最後の余白には、お地蔵様まで書き入れてくださいました。参詣者の中から思わず「かわいー!」の声。
脳味噌がふたつあるのかな、なんて疑問まででてくるほど見事とな二刀流、もとい、二筆流。 詳しくは上の写真をご参照くださいませ。
酒樽をそのまま使った大黒堂や、境内の回廊にめぐらされた四国88か所の写しをお参りし、奥様にお茶を頂いてほのぼのとした時間を過ごさせていただきました。
さて、お昼御飯の時に頂いた般若湯「秩父錦」の醸造所が次の目的地。
そこには、「酒づくりの森」という魅惑的な名前の見学施設があります。
酒好きにとっては、まさにヘンゼルとグレーテルのお菓子の家のようなもの。ああ、その扉を開けたらきっとそこには、魔女が・・・・。
出迎えてくださったのは魔女ではなく、資料館の館長さん。
いま仕込みのまっ際中という忙しい時期なのに、ニコニコしながらできたて麹を試食させて下さったり、タンク室を見せて下さったり・・有難うございました。
秩父錦、良いお酒です。普通酒がいいと思います。お燗が最高です、酔い過ぎません。
コクのあるお酒なのですが、くどく無く香りもほどほど。大吟醸に至っては、この値段でいいの?って感じです。
漬物文化の土地の日本酒って、似たようになるんでしょうか、山形の酒とよく似ています。
年末年始用にいろいろ買いこんできました。お寺に来ると呑めるかも(残っていれば)。
さて、初日の行程はこの秩父錦・矢尾本店でおしまい。日のあるうちに宿泊地、小鹿野町にある「宮本の湯」へ急ぎます。
父親と二人で源泉を探し当てたんですよ、とにこにこ顔の宮本君。
この12代目当主、宮本君が藤島部屋の元幕内・剣武ということもあり、部屋の頃からの付き合いで、いろいろと心配りをいただきました。
有難うございました。それにしても、宮本君、いい顔になりましたねえ。
里山懐石の名の通り、しみじみ美味しいお料理に、暖かいおもてなし。久しぶりに食べました、鯉の洗い。みそポテトや地元の料理がおいしかったです。
そんな暖かな心使いをいただいて、懇親会は当然、大変な盛り上がり。お酒もすすんで大カラオケ大会になりました。
91歳、こんなに歌っていいのか、心臓は大丈夫か、なんて心配はご無用。案内人・知知父さんも飛び入りして、けっこうな宴会となりました。
平均年齢80近いのに、素晴らしいゴールデンパワーであります。このメンバーに限って言えば、当面私の出番はなさそうですね。
宴会の写真ですか?あまりに恥ずかしいので、ここには載せられません。
さて、翌日2日目は三峰神社への参拝、そして長瀞での紅葉狩りです。
最近では「関東最強のパワースポット」と謳われるほど、参詣の方が増えているそうです。
毎月一日に白いお守りが頒布されるのですが、それがこのところものすごい人気なのだそうです。
神社の駐車場から麓まで、一日は大渋滞。県道を登り切るのに3時間以上かかり、そこから社殿まで、またたっぷり時間がかかる・・
それでも「白」い「気」のお守りがほしいという方が全国からやってくるそうな。
参詣しないと入手できません。当たり前のことだけど、ネットでも買えません。
来年正月元旦はどんなことになるやらと、地元住民は今から気をもんでいるとのことです。
三峰神社まで、大型バスでは参道へ続く狭いトンネルを通れないため、途中でバスを乗り換えます。バスは門前お土産屋の「大島屋」さんにお願いしました。
神社の案内もしていただきましたが、案内は知知父さんではなく、知知父さんの古い友人でもあるバスを提供してくれた「大島屋」のおかみさん。
秩父って、いろんなネットワークがあるんだなあ・・・・・
口八丁手八丁のおかみさん。お客さんの心をつかむ見事な案内だけでなく、お土産もバンバン売り、下りのバスの運転もしてくださいました。
その運転テクニックたるや・・・・驚愕です。狭いトンネル途中での中型バスとのすれ違いや、カーブだらけの狭い山道でのスピーディなバック運転。
そんなものすごい、フェルナンドアロンソ真っ青の運転を、観光案内しながら軽々としてやってのけてしまう・・・恐るべし、秩父ママ。
前回9月に来た時は濃い霧で何も見えなかった遙拝殿からは、遠く秩父市内や、三峰神社奥の院のある盛り上がったこぶのような山(下写真・右)を拝することができました。
秩父の美味しいものは、街中や旅館だけではありません。
大島屋さんの味噌おでんを食べようと思ったら・・・お店の入口に「新そば打ち始めました」のポスター。
登りのバスを運転してくれたお兄ちゃんに「打ってんの?」と訊くと「うん、打ってる」。じゃあ食べなくっちゃ。
ということで、お昼前なのに、とろろそばをいただきました。またこれがいい味。麺もまた個性的な、すこし縮れ気味の麺。
いやあ、秩父、いいわ。美味しいものがそこらじゅうに転がっています。
上左の写真中央からちょっと左の山が「雲取山」。三峰三山のひとつ。皇太子さまが登ったのも、記憶に新しいところです。
大島ママ(実家の母親は真言宗のお寺の出身だそうな)のセナのような運転でふもとまで降り、バスを乗り換えて再び秩父市内に戻ります。
良い塩梅にお腹がすいて、今回の旅行最後のお食事、昼食は秩父イタリアン「サルベージ」です。
献立はつぎのとおり
・なめこと5種類のレタスのサラダ
・ツルクビ南瓜のポタージュ
・広島産カキとホウレン草の自家製フェットチーネ
・サーモンのソテー、レモンソース または チキンソテート、トマトソース
・無農薬有機栽培のコーヒーと秩父和栗のケーキ
「恐るべし」秩父イタリアン。文句なし、旨いです。
量も「超・大人の遠足」にふさわしく、ちょっと控えめ。しかも野菜一つ一つの味がしっかりしていて非常に美味しく、なんと、全員完食です。
秩父野菜を売り物に、野菜ソムリエの資格をとり、農作業のためにランチはやらない、というこのスタンスは山形酒田の名店「アルケッチャーノ」に通じますね(食べたこと無いけど)。
この日はわざわざお昼の農作業を休んで、「大人の遠足」団体のために美味しいランチをつくってくれました。
お酒やワイン、グラッパまで入って良い気分に出来上がった大人の遠足御一行様。
次にむかったのは長瀞の船下り。舟の上から見る紅葉もまたよし、であります。
水量が少なくて浅瀬では船底がゴツゴツいっていましたが、水をかぶることもなく、穏やかな、ほんの一瞬の船旅。
野生のカルガモをみたり鉄橋をくぐったり、大人の遠足にはちょうどいい距離かもしれませんね。
最後の目的地、寶登山に登るころには日が傾き初めていて急ぎ足での山頂巡りになりましたが、かえって山頂から絶景の夕日を堪能することができました。
四季桜も4分咲きの様子、しかも武甲山の姿までもくっきり見えて、なんだかすごく得した気分です。
寶登山神社に降りて来たころはすでに日が沈んで、紅葉のライトアップを見ることができました。
秩父、行くべし、ですね。
秩父の人がうらやましい。蕎麦よし、酒よし、洋食よし、温泉よし、そしてなにより人よし、です。
巡礼の方々をもてなす心が、そのまま秩父の人の心になっているのでしょうか、見習いたいものです。
二日間の大人の遠足、本当に満足した、充実した旅行になりました。
参加された皆さん、おつかれさまでした。事故もなくよかったです。添乗の西山さん、天台観光の運転手・東出さん、お疲れさまでした。
さあ、来年はどこに遠足、もとい、お参りに行きましょうか?
きょうはここまで。
(初っ端、アクシデントで涙しましたが…)
皆さん、私以上に元気ですね!!!
『父と母がこのように元気だったらなぁ…』と、
皆さんに接しながら、何度も思う場面がありました。。。
良くしてくださった皆さんにまたお会いしたいものです
カメラ女子の私にとって、秩父は、久々の興奮でしたッ
また、「カメラ活動」したくなりました~
やっぱり「写真部」、作ってくださ~い(笑)
※ただ一つ…あの「40代後半」の「後半」て2文字、気に入りませ~ん。。。
もちろん、お寺としても大変助かりました。
いただいた写真データからプリントして、皆さんにお配りいたします、かさねがさね、ありがとうございました。
写真部、作りましょうね。