ジャスティン・ケンプは雨の夜に車を運転中、何かをひいてしまうが、車から出て確認しても周囲には何もなかった。その後、ジャスティンは、恋人を殺害した容疑で殺人罪に問われた男の裁判で陪審員を務めることになる。しかし、やがて思いがけないかたちで彼自身が事件の当事者となり、被告を有罪にするか釈放するか、深刻なジレンマに思い悩むことになる。
面白い❗️さすがイーストウッド監督です。無造作で選ばれた一般市民が裁判に参加するアメリカの陪審員制度を題材に、もうすぐ妻に赤ちゃんが生まれる陪審員に選ばれた善人が知る真実と家族を守るために葛藤する姿を描いた作品。最初から犯人をDV夫にして事件を早く終わらせたい検察や様々な事情を持つ12人の陪審員が、早く決めて家に帰ろうとするのは「12人の怒れる男」と一緒。声高に、無実を訴える容疑者と案件を山のように抱えている国選弁護人の虚しい姿。ドラマは、正義や真実を見つけるのではなく、ある理由で容疑者を無罪にしたい陪審員2番が、他の陪審員を翻弄してゆく様を描き、全員一致の評決が出るのか、評決不能になるのか手に汗握って見てました。神の名の下に開かれる裁判、司法制度が完璧ではなく、人が人を裁くことの難しさ、法の限界や、人の限界にあなたは、どう考えるかを問うイーストウッド監督の思い、心に突き刺さりました。主人公の名前がジャスティン…ジャスティス=正義で、検事がフェイス=信念というのもいかしてます。
☆☆☆☆1/4