730．事実を正確に把握する

　「変革」。変わりたい。変えたい。変えなければならない・・・。

　そのように思っている企業・団体、そして個人は多い。「変革」の
場は、至るところにあるのだ。その場がいわゆる「現場」である。

　しかし、「何を」変えなければならないというのだろうか。それが
明確になっているのだろうか。また「なぜ」変えなければならないの
だろうか。その理由も明確なのだろうか。変えるからには、そこには
明確な「意志」「ヴィジョン」、そして「目標」があるはずだ。また
理想に対する現実が見えているはず・・・だ。そして理想と現実との
ギャップに悩む。いや悩んでいてはいけない。そこに「問題」があり
解決しなければならない「問題」、すなわち「課題」が見えてくるの
である。

　考えてみよう。「現実」が「事実」として本当に見えているのだろ
うか。現在の「問題」は本当に「問題」なのだろうか。それは「事実」
に基づいているのだろうか。「事実」を本当に把握した上で「問題」
だと言っているのだろうか。「問題」には、そこに至った「原因」が
あるはずだが、それを特定しているのだろうか。「事実」を基にして。

　「事実」は「事実認識」とは異なる。「事実」は誰もが認知できる
データや共通言語で支えられている。何事も、「事実」を正確に把握
するところから始まるのだ。そして「事実」に気づき、直視しなけれ
ばならない。逃げていては「変革」は遠のいていくだけだ。一生変革
のためのプランニングを描いているだけ。実行したとしても、それは
中途半端な「変革」に終わり、期待していた効果も恩恵も得ることは
できない。

　ところで、課題解決策を立案し実行段階になると、「反対勢力」が
行く手を阻むことになる。「変革」の場がいたるところにあるのと同
時に、いわゆる「カベ」も、いたるところに存在する。

　総論賛成・各論反対

　「変革」プロジェクトは膠着状態になり、時間だけが経過していく。
気がついたら３年の歳月が流れていた・・・などというケースは枚挙
にいとまがない。

　「変革」のためには、「事実」を正確につかむことの他、変革プロ
ジェクトを強力に牽引していくリーダーが必要だ。「変革のリーダー」
たる者、以下に示す能力・要素が必要である。洞察力、企画立案力、
実行力、統率力、決断力、戦闘力（精神的戦闘力）、人望、そして、
義理。ところが、すべてを兼ね備えた人物など、世の中にはほとんど
存在しないだろう。従って、リーダーを地道に支える「よき参謀」が
必要なのである。



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