【ビートルズ・日本公演第1ステージ(1966年6月30日)】
1966年の初夏に日本武道館で開催された「ビートルズ日本公演」。
4人は、西ドイツ(当時)からアンカレジ経由で1966年 6月29日未明
羽田に到着した。朝焼けの中、4人を乗せたキャデラックが首都高速
1号線を疾走する映像(BGM‘Mr. Moonlight ’)をご覧になった
かたも多いことであろう。日本公演については、いろいろと興味深い
ことが多いので、過去数回記事にしている。今回は、「衣裳とアンプ」
について、取り上げてみたい。
◆過去記事は、こちらをご覧ください。
#044 日本公演のチューニング
#223 来日40周年記念写真集
#236 SHE'S A WOMAN
#253 来日ドキュメント
#265 I WANNA BE YOUR MAN
【衣裳について】
日本公演は 6月30日から 7月 2日までの3日間で合計5回開催され
た。「1ステージ30分ちょっと+アンコールなし」。それでも衝撃的
であったのだろう。4人の衣裳について語られている文献をたびたび
目にする。各ステージの衣裳は以下通りであると推測する。
1.第1ステージ 6月30日
スーツ:モス・グリーン
パンツ:モス・グリーン(名づけて「エドワード調」セット)
シャツ:レッド
2.第2ステージ 7月 1日(昼の部)
スーツ:ライト・グレー+オレンジ・ストライプ
パンツ:モス・グリーン(6月30日着用のタイプ)
シャツ:レッド
3.第3ステージ 7月 1日(夜の部)
スーツ:ライト・グレー+オレンジ・ストライプ
パンツ:ライト・グレー+オレンジ・ストライプ
シャツ:レッド
※4人のブーツが不揃いでラフ。
4.第4ステージ 7月 2日(昼の部)
スーツ:ライト・グレー+オレンジ・ストライプ
パンツ:モス・グリーン
シャツ:柄模様
5.第5ステージ 7月 2日(夜の部)
スーツ:ライト・グレー+オレンジ・ストライプ
パンツ:モス・グリーン
シャツ:柄模様
※ジョンがサングラスを着用
モス・グリーンのスーツを初日しか着用しなかった点が興味深い。
モス・グリーンのスーツは、いかにも仕立てがよく、見るからに厚手
の感じがする。4人は、英国生まれで英国育ちだ。湿度の低い欧州で
生活している4人が「6月~7月の高温多湿の梅雨時の日本」を訪れ
たとき、身体的にどのように感じたのであろうか。4人の体質の差も
あろうが、それにしてもポールのあの発汗は・・・。なにせ現代とは
異なり「昭和41年」である。日本武道館の空調設備は、どのような
ものであったのだろうか。
第2ステージ(1966年7月1日 昼の部)
【アンプについて】
楽器や音響設備に興味のあるかた、あるいはそうでないかたも現在
広く流通されている画像を目にすれば、5回のステージの間で、使用
しているアンプが変化していることに気がつかれたことだろう。事実
第1ステージと第2ステージでは「縦長」の“VOX AC-100”セットが
使用され、第3ステージ以降は「横長」の“VOX 7120”セットが使用
されたのである。問題は、「なぜアンプが変更されたのか」である。
わたしの知る「画像」(と音源)は、第1ステージと第2ステージ
のものである。両ステージの音を比較してみて気がついたことが一つ
ある。それは「ジョージの音の違い」である。このステージでは唯一
‘If I Needed Someone ’にて「カジノ」から「リッケンの12弦」
に持ち替えている。プラグを抜き差しする時ノイズが発生するのだが
そのノイズとは異なったノイズが、発生しているのである。‘Baby's
In Black’の演奏後、そして‘I'm Down’の演奏前、ポールMC中に
「バリバリ」という不規則なノイズが発生しているのが聴き取れる。
また、全体的にジョージのアンプの出力が「不安定」になっている。
翌日の第2ステージでは、アンプは第1ステージと同様“AC-100”で
あるが、ジョージのアンプから発せられるノイズは皆無で、またその
出力も「安定」している。
とある文献で
「公演の初日にアンプの1台が故障した。次の日に<同じもの>が
エアーで届いた。」
とある。この<同じもの>とは、“AC-100”なのだろうか。それとも
第3ステージ以降にセットされた“7120”のことを指しているのであ
ろうか。
第3ステージ(1966年7月1日 夜の部)
第4ステージ(1966年7月2日 昼の部)
以下仮説である。
■仮説1
初日のステージでジョージのアンプの「鳴り」が悪かった。そこで
ステージ終了後、日本時間1966年 6月30日20時 5分過ぎ、スタッフは
急遽、本国へ代替の“AC-100”セットを手配した。代替機材は、翌日
昼の部の開場時間の12時30分までに、エアーで日本に届けられ、第2
ステージ開演前までにセットされた。しかし万全を期するスタッフは
さらに、1966年のステージにおける「標準セット」“7120”を追加で
手配し、第3ステージ以降のステージでセットした。ちなみに直前の
ドイツ公演では、“7120”がセットされていた。
■仮説2
初日のステージでジョージのアンプの「鳴り」が悪かった。そこで
公演終了の日本時間1966年 6月30日20時 5分過ぎ、スタッフは日本の
VOX代理店が用意した“AC-100”セットを諦め、“7120”セットに
変更する判断を下した。しかし、エアーによる到着が翌日 7月 1日の
第2ステージに間に合わないため、ジョージのアンプを一時的に処置
(修理)し、第2ステージに備えた。第3ステージからは、到着した
“7120”セットにより、公演が継続された。
第5ステージ(1966年7月2日 夜の部)
あいかわらず、謎が多い「ビートルズ日本公演」である・・・。
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それにしてもアンプまで目がいっていませんでしたので、今回の記事は発見でした。さすがは目のつけ所が違います。
この年8月の米国ツアーでは
「スーパー・ビートル」でしたね♪
で、その後はスタジオ・・・。
そして、フェンダーへ。
行っております
アンプどころかビートルズそのものが意味不明でした
日本公演の最年少だとおもっております
はじめまして。
それはとても素晴らしいことですね♪
「生の姿」が脳裏に刻まれているのでは
と思います。
初日、シーズアウーマンのイントロでジョンかジョージ(確かジョン、聞いたのですが忘れてしまってw)のアンプが壊れた(音は出るけど)みたいですよ。
ン、チャー、ン、チャーの何回目かの所で音がおかしくなってます。
で、日本には代替えできる100のアンプが無かったようで元々彼らが予備で持ち込んでた7120を使ったようです。
あと、当日場内放送でライブ中の注意事項をアナウンスしていたのは「おひょいさん」事、藤村俊二さんだったとの事です(笑)
はじめまして。らば~そうると申します。
興味深い情報、ありがとうございます。
ご指摘のShe's A Womanの職人芸のカッティングの主はジョン。
ジョージはイントロから1コーラス目は無音で、2コーラス目から参加し、レコード音源の電子ピアノのラインに近いものを弾いています。
6/30のステージでジョージのアンプが不調だったのかと思っていましたが
ヤマさんの情報を取り入れると、ジョンのアンプも不調だったことになります。これは(私にとって)新しい!
7120も西ドイツからの空輸が間に合わなかったのではなく既にスタンバっていたのですね。
でも、それならば、7/1の昼のステージでなぜAC-100から7120に変更しなかったのでしょうか。疑問も残ります。
ビートルズの歴史の各場面では諸説がありますが
今回のケースでも、いろいろと推理する幅が増えて興味が倍増しました。ありがとうございます。