福岡市西区の着付教室 *花楽(はなたのし)* 山内豊翠

「着物」のカッコよさを皆様にお伝え致します。YouTubeで配信する、着付けに関するお役立ち情報も紹介しています。

思い出の振袖

2018年04月29日 20時20分50秒 | 日記
パニエを入れて ドレス風にしたこの着物は、私の振袖でした。







田舎の小さな呉服店に、
今は亡き母と一緒に買いに行った。
そこには、濃い紫と、鶯色と、この薄桃色の振袖しか無かった。
母に、
「薄桃色が似合うと思うわ。」
と言われ、これを試着して 気に入ってしまい、他の振袖には 袖も通さずに決めてしまった。









結婚して、子供の卒園式、入学式に、私は この振袖の袖を切って、訪問着として着て行く事にした。
今 考えれば、非常に派手な訪問着だが、私はこれが好きだったし、容易く着物を買えるわけでもなかった。
若い頃は 何かあれば、この訪問着を 繰り返し着ていた。
もう今は、派手過ぎて 着られなくなった この着物を、こうして人形に着せていると、母と一緒に買いに行った あの呉服店の、照明や、話し声、空気感まで 蘇る。










そして、今は 欲しい着物を 手に入れる事が 出来るようになった 自分が、若かりし頃の 自分に対して、申し訳ないような、恥ずかしいような 気持ちになってしまった。