■ 調停委が涌井の年俸を2億5300万円に(NPB・2011年1月28日)
■ 株式会社西武ライオンズと涌井秀章選手との間の参稼報酬調停の要旨(NPB・2011年1月28日)
涌井が申請していた年俸調停の結果が出ました。NPBが調停の要旨を公開したのは初めてとのことです。
年俸だけではなく、その決定理由までオープンにしたことは、透明性・説明責任という観点から高く評価すべきことです。
しかも、公開された要旨では調停に至った経緯、涌井・球団両者の主張、調停委員会の見解と、議論の過程を検証する上で重要なポイントをすべて押さえています。
ここまで踏み切った調停委員会の各氏とNPBには称賛を贈りたいですし、今後調停を行うことになった際も、同様に要旨の公開を望みたいと思います。
肝心の年俸については、球団が示した現状維持よりも高い額で決まるとは思っていましたが、結果は予想を上回るものでした。涌井が歩み寄った額を上回る金額が決定されたことは特筆されるべきでしょう。
その理由は要旨に詳しく示されていますが、一言でまとめるならば、ライオンズの提示と交渉姿勢に問題があった、ということになると思われます。そのぐらい、要旨はライオンズに対して批判的です。
まず、要旨では「涌井選手の次年度の参稼報酬を現状維持とすることは、合理性を欠く」と言い切っています。
これだけでもライオンズの負けですが、ライオンズが示した現状維持の根拠が見事なまでに崩されているのは注目されます。要旨から引用すると、
つまり、チーム成績という言い分がいついかなる時でも通用するとは思うな、ということです。
年俸提示にあたってチーム成績を理由にするには、それだけの合理性がなければならないという判断です。当然のことと言えば、その通りです。
また、「他球団の選手の参稼報酬のことは考慮すべきではない」というライオンズ側の主張も否定されています。調停委員会の見解に曰く、
となっています。まったく無関係とはできないという以上、他球団の選手の年俸は検討材料に加えなければならない、ということになります。
もっとも、直前の段落に「球団の財政状況等の種々の要素を考慮し」という記述があり、各球団の個別事情についても一定の配慮はなされている点は見逃してはなりません。
しかも、要旨ではライオンズの交渉姿勢に対しても批判しています。「附言」にはこうあります。
ここまで言われてしまう球団と言うのも辛いものです。ライオンズにとっては、自らの主張がことごとく崩され、交渉過程についても批判され、まさに完敗と言わざるを得ない結果です。
とはいえ、ライオンズが調停結果を受け入れないというのは考えられません。一方の涌井も結果を受け入れるでしょうから、この件についてはこれで一件落着となるでしょう。
ただ、調停委員会によってライオンズ側がここまで批判されると、別の件で心配が出てきます。大久保前コーチの件です。
この件では、大久保前コーチ側が先日球団を相手に解雇無効の確認と、報酬および損害賠償の支払いを求める訴えを起こしたところです。
■ 大久保氏、西武を提訴=解雇無効を主張-プロ野球(時事・2011年1月27日)
地位保全と報酬の仮払いの仮処分申請が却下されているので、今回も前コーチ側の主張が通らないと考えたくなるところですが、正式な裁判と仮処分は別物です。
あるいは、ライオンズ側が解雇を言い渡す過程で意外な落ち度がなかったか、解雇の理由として法廷で通るものを示すことができるのか?調停委員会でこうも酷い負け方をすると、懸念を抱かざるを得ません。
ライオンズ、大丈夫か?見ていて心配になってきます。
■ 株式会社西武ライオンズと涌井秀章選手との間の参稼報酬調停の要旨(NPB・2011年1月28日)
涌井が申請していた年俸調停の結果が出ました。NPBが調停の要旨を公開したのは初めてとのことです。
年俸だけではなく、その決定理由までオープンにしたことは、透明性・説明責任という観点から高く評価すべきことです。
しかも、公開された要旨では調停に至った経緯、涌井・球団両者の主張、調停委員会の見解と、議論の過程を検証する上で重要なポイントをすべて押さえています。
ここまで踏み切った調停委員会の各氏とNPBには称賛を贈りたいですし、今後調停を行うことになった際も、同様に要旨の公開を望みたいと思います。
肝心の年俸については、球団が示した現状維持よりも高い額で決まるとは思っていましたが、結果は予想を上回るものでした。涌井が歩み寄った額を上回る金額が決定されたことは特筆されるべきでしょう。
その理由は要旨に詳しく示されていますが、一言でまとめるならば、ライオンズの提示と交渉姿勢に問題があった、ということになると思われます。そのぐらい、要旨はライオンズに対して批判的です。
まず、要旨では「涌井選手の次年度の参稼報酬を現状維持とすることは、合理性を欠く」と言い切っています。
これだけでもライオンズの負けですが、ライオンズが示した現状維持の根拠が見事なまでに崩されているのは注目されます。要旨から引用すると、
「涌井選手が、シーズン終盤の優勝に直結する試合に、勝利を収めることができず、重要なシーズン後半戦の防御率がかなり悪い成績であった点については、参稼報酬は、主として前年度シーズンの全体の実績をもとに翌シーズンの稼働の価値を金銭で評価するという面が強いものであり、かつ、前半戦の涌井選手の好成績がなければ、西武球団は、後半戦において優勝を争うことさえできなかったことからすると、終盤の成績が悪かったことを過度にマイナス評価することはできない。また、西武球団が優勝を逃したのは、チーム全体の責任でもあり、涌井選手にその多くの責任を帰せしめているとすれば、合理性を欠く面がある。」
つまり、チーム成績という言い分がいついかなる時でも通用するとは思うな、ということです。
年俸提示にあたってチーム成績を理由にするには、それだけの合理性がなければならないという判断です。当然のことと言えば、その通りです。
また、「他球団の選手の参稼報酬のことは考慮すべきではない」というライオンズ側の主張も否定されています。調停委員会の見解に曰く、
「他球団の選手の参稼報酬の例については、他球団の所属の選手であっても、同様の実績の選手の参稼報酬の額と著しく異なる場合においては、選手のモティベーションの維持向上、球団の魅力の維持向上等をも考慮すると、他球団の選手の参稼報酬の例をまったく無関係とすることは妥当性を欠く場合がありうる。」
となっています。まったく無関係とはできないという以上、他球団の選手の年俸は検討材料に加えなければならない、ということになります。
もっとも、直前の段落に「球団の財政状況等の種々の要素を考慮し」という記述があり、各球団の個別事情についても一定の配慮はなされている点は見逃してはなりません。
しかも、要旨ではライオンズの交渉姿勢に対しても批判しています。「附言」にはこうあります。
「およそ参稼報酬は、双方の誠意ある交渉による合意により定まることが最も望ましいところ、西武球団と涌井選手との交渉の過程で、涌井選手が合意妥結を探り、希望金額を2億5000万円まで下げた経緯が認められるが、交渉の過程で、西武球団側にも、妥結に向けてのもう少し柔軟かつ積極的な姿勢が見られてもよかったのではないかと考える。」
ここまで言われてしまう球団と言うのも辛いものです。ライオンズにとっては、自らの主張がことごとく崩され、交渉過程についても批判され、まさに完敗と言わざるを得ない結果です。
とはいえ、ライオンズが調停結果を受け入れないというのは考えられません。一方の涌井も結果を受け入れるでしょうから、この件についてはこれで一件落着となるでしょう。
ただ、調停委員会によってライオンズ側がここまで批判されると、別の件で心配が出てきます。大久保前コーチの件です。
この件では、大久保前コーチ側が先日球団を相手に解雇無効の確認と、報酬および損害賠償の支払いを求める訴えを起こしたところです。
■ 大久保氏、西武を提訴=解雇無効を主張-プロ野球(時事・2011年1月27日)
地位保全と報酬の仮払いの仮処分申請が却下されているので、今回も前コーチ側の主張が通らないと考えたくなるところですが、正式な裁判と仮処分は別物です。
あるいは、ライオンズ側が解雇を言い渡す過程で意外な落ち度がなかったか、解雇の理由として法廷で通るものを示すことができるのか?調停委員会でこうも酷い負け方をすると、懸念を抱かざるを得ません。
ライオンズ、大丈夫か?見ていて心配になってきます。
いくらなんでも無茶苦茶だと思っていました。
これだと、シーズン終盤に活躍した選手の年俸だけが
大幅に上がってしまうことにもなりますし。
しかし、打撃コーチの件だけは、抜かりなく処理してもらいたいものです。
「この男は、まだゴネるのか?」と思っていただけに、
どんでん返しされたら洒落になりません。
事態の進展を見守るしかないのですが……。
しかしオーナーが元銀行員とは思えない手際の悪さと交渉姿勢だったようで・・・
前半に使われ過ぎてた印象もあるんですよね。
それも考えると、ライオンズ側に同情の余地はなかったですし、
正当な判断が下されたと思ってます。
前コーチの件は本当に厄介です。
負ける前提で提訴するとは思えませんし、何か裏でもあるとか……
なので、涌井の件も他人事ではなかったのでしょう。
しかし、このオフは中島の件と言い、ライオンズのフロントは失態続きですね。
よくこれでG.G.との交渉が簡単にまとまったものだと。
>G.G.
球団が50%ダウンなどの条件を提示していれば、話はややこしくなったかもしれませんが、
さすがに今年は、怪我という理由がありましたからね。
代理人も立てず、自分で交渉に来たということでした。
来年(もう今年?)十分すぎるぐらいに活躍して、
下がった分以上に獲り返してくれればと思います。
もちろん、ゴネていると言われない程度で。(笑)
ただ、活躍した(と思われる)年は高い要求を出して、
ダメだったら大人しくするというのは、それはそれで筋が通ってるとは思います。