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My Little Grass Shack In Kealakekua, Hawaii - Ray Conniff and the Singers
下りの普通電車がやって来た。普通に帰るなら上野方面の上り電車に乗るのだが、ここからは遠回りをして、寄り道をして、大阪まで帰る。
電車はいわき駅でしばらく停まった後、さらに北を目指して進む。いわきの中心地の街並みが途切れ、しばらくすると窓辺に太平洋が見える。波立つ浜辺、遮るもののない海を見ながら、電車は終点に着いた。
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広野駅。日暮里から北へ北へと進んでいった常磐線が断ち切られる、最後の駅。終着駅ならぬ、終点。
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この駅からの電車は、南へ行くものだけ。
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駅前には町の案内図。沿岸の火力発電所は、この地方でありながら東京電力のもの。
つまり、首都圏は今も、浜通りの電力を受けている。それを知る人、知っていて、そのことと向き合える人は、はたしてその電気を受けるうちのどのぐらいいるだろう。
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駅の利用を拡大して、特急列車の停車を実現させようという呼びかけ。いまや、その特急列車が再び走る、いつになるか分からない日を待たなければならない。
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先程とは違い、真新しい看板。標高17メートルという高さが、どれだけ安心を与えられるのか、与えられないのか、もはや分からなくなってしまっている。
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「めがねをしたとんぼ」というのも、放射能汚染の影響と言い出す人がいるのかも知れない。
どう考えても馬鹿げた妄言を妄言として切り捨てることができなくなってしまったこの社会、この現実。
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電車の折り返し時間が近づいてきた。ひとまず、仮設となったホームへ。
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唱歌「汽車」。歌の世界では、車窓はめまぐるしく変わる。別の歌の世界でも、線路はどこまでも続く。
ただ、今ここで車窓の変化は終わり、そして巻き戻される。
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しかし、線路はここでは断ち切られていない。
広野から竜田までの間は、現在復旧工事が進められている。来たる春には、楢葉町が帰町の可否について判断を下す。それ次第で鉄道の運転を再開できるように準備するためだ。
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広野駅は海からつかず離れずの距離。遮るものがないから海は見えるが、実のところ歩けば距離はあるだろう。
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海からの風に耐える駅名板には、北隣の駅、木戸の名前が、隠されることもなく示されている。
われわれはここで断ち切られたルートをひとまず引き返し、南へと向きを反転させる。
そして、次にここを通るのは、竜田行きの電車に乗る時だ。