にわか日ハムファンのブログ記念館

2004年8月から2014年6月にかけて更新してきた当ブログを静態保存しております。

〔2011夏 東北・北関東の旅〕第2部(15):秋田から岩手、岩手から秋田

2011-11-02 07:40:07 | さすらいブロガー旅情編
 5日目。東北乗りつぶしの旅も最終日となった。この日は朝早く起きて大曲を発ち、いったん岩手県に入る予定である。



 小雨が降る中、駅に着いたのは7時前。こちらは表玄関の西口ではなく東口なので、人もまばらである。



 私が訪れたのは、ちょうど高校総体の時期だったらしい。にしても、なぎなたが高校生の競技として残っていることには驚いた。無知とは怖いものだ、と言ってみる。
 それはさておき、気になるのは今日の鉄道の運転状況だ。これ次第で予定が大幅に変わってしまう。
 大曲駅で駅員氏に尋ねたところ、昨日運転を見合わせていた奥羽本線の一部区間は、今日も午前中運休するものの午後は再開予定、ただし代行バスは道路が冠水していて運転できないということだった。
 問題の区間に乗るのは午後になってからなので、この予定通りなら問題はない。もし今日も大雨が降るようなら運転再開も危ぶまれるが、それはその時になってみないと分からない。まずは当初のルートを採ることにした。



 大曲から盛岡に向かう普通列車。これが始発となる。
 この区間は秋田新幹線に含まれるのだが、新幹線と違い普通列車は極端に少ない。特に、途中の田沢湖から赤渕の間は1日4往復しかなく、予定を組むのに難渋したところだ。
 ここで混乱してしまった方のために補足しておくと、「秋田新幹線」というのは、実は通称のようなもので、正確には田沢湖線と奥羽本線の一部区間と新幹線の直通列車を運転していることになる。
 なので、この区間で普通列車という場合は、こだまのような新幹線の各駅停車ではなく、このような在来線の電車を指すことになる。
 さて、電車は7時過ぎに大曲を発車。車内は高校生がそこそこ乗っているが、座席には十分余裕がある。ただ、電車が進むにつれて高校生の数は増えていく。盛岡まで通学している学生がこうも多いのは意外だった。
 彼らからすると、実際この電車に乗り損ねてしまえば、次の盛岡行普通は8時間後までない。小遣いをはたいて新幹線というわけにもいくまいし、この電車を利用するよりほかないのだ。
 ともあれ、彼らと私を乗せた電車は岩手県へ。やがて盛岡に近づくにつれ、通勤客も増えていき、いかにも通勤電車という賑わいになったところで終点に着いた。



 盛岡からは東北本線を南下して北上に向かう。普通電車で移動する予定だったが、途中の花巻までは快速「はまゆり1号」が先に着く。盛岡で訪れるところもなかったので、乗ってみることにした。



 花巻には盛岡を出てから30分ほどで着いた。ここで列車を降り、後続の北上行を待つことにする。
 ホームの駅名板にはエスペラントによる愛称チェールアルコ(Ĉielarko:虹)が示されている。花巻駅は釜石線の起点。宮沢賢治にゆかりの深い釜石線の各駅には、エスペラントによる愛称がつけられているのだ。
 「はまゆり」はここで方向を変え、釜石線に乗り入れて釜石へと向かう。私も行けるものなら行ってみたい。しかし今の状況で、地域のために何をなす準備もない旅人が訪れることに、どれだけの意味があるだろう。
 それでも、いつか必ず……



 駅舎を見る。待合室は、やはり宮沢賢二の世界を髣髴とさせる。



 ただ、ホームをもう一度見ると、地元の祭り「鹿踊り」の装束が飾ってあった。やはりここは東北なのだ。



 花巻で乗り込んだ北上行の電車は、世界遺産登録に湧く平泉を宣伝するものだった。北上まではほとんど距離がなく、12,3分で着いた。



 北上駅。やはりというべきか、平泉の世界遺産登録を祝う横断幕の文字が目立つ。岩手の人々にとっては、何よりの光となる話題だったのであろう。



 先ほどの花巻に続いて、いや、この旅で訪れた各地の駅と同じように、北上には地元の民俗芸能、鬼剣舞(おにけんばい)の装束が飾ってある。
 東北の祭りや民俗芸能の豊かさ、これはこの旅で得ることのできた最も大きな発見の1つだと思う。



 北上からは北上線で再び秋田県に入る。この路線が今回の旅の最終的なターゲットとなる。北上線を乗り終えると、あとはもはや帰り道になるのだ。



 ディーゼルカーには大船渡線のイラストが貼ってあった。大船渡線は北上からさらに南下した一ノ関を出て、気仙沼を経由して盛までを結ぶ路線である。この路線も釜石線同様、いずれは、必ず。



 北上線は東北の内陸を東西に結ぶ路線の中では比較的距離が短く、北上を出て1時間20分ほどで、終点の横手に着いた。まだ大阪を遠く離れているとはいえ、ある種の達成感、そして喪失感が生まれる。
 しかし、旅はまだ少し残っている。まずは横手で昼食を楽しむとしようか。


最新の画像もっと見る