ひと夏の思い出作りにやってきた家族や恋人たちも去っていった。カラフルな色彩でにぎわった海水浴場にもとの静けさが戻ってきた。澄んできた海の蒼に逝った夏の思い出を探しにやってきた人のパラソルがぽつんと淋しい。打ち上げられた流木や海藻を撫でてかすかに風がたつ。発酵も蒸留も不十分だった。夥しい時が逝った。潮はまた満ちてき、また去る。足跡を波が洗いそして消していく。過飽和になった思考をターブル・ラーズしにまた旅に出てみようか。