シン・スンフン

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

 2010年のシン・スンフンのデビュー20周年を記念して二枚組のベストアルバムの代表曲は"You Are So Beautiful"です。
1970年代のジョーカコの歌で、タイトルと最初の二つの節の主題を借りてきたこの歌は20年の間に驚くほどの節制力と集中力を発揮し、ただ一度のつまずきもなく、確実に自分の城砦を守ってきたバラードの永遠の王子の中核を要約する。

優しく優雅で、洗練されたボーカルの演出力は、決して感情移入の超過分を許可しない、
イルマの透明なピアノをはじめとする音楽との調和も、静かな伯爵夫人の着こなしのように、あるいは幽玄な余韻を抱いている歌詞の行間のようになごやで温かい。

彼は、その20年をかけてきた。いろいろな種類の後談話化の不祥事が横行している非情なジャングルの中で、数多くのスターとトレンドが一過性の消費財のように明滅して行ったが、
デビューから今この瞬間まで、彼の名前と歌は、大衆音楽という混沌の競技場で主流最上相だけが享受することができる権限の輝きを失わなかった。

そこで彼は、通算アルバム売り上げ1700万枚という記録的な金字塔と、いつも売り切れの行列をロードする名品コンサートというブランドを鷲掴みするのだ。
これは偶然の奇跡ではない。彼は、ソテジやイムジェボムとは全く異なる方法で貪欲的で消耗的な多くの芸能番組が強行される略奪の餌食にされていない。

「微笑に映った君」を前面に出して一気にミリオンセラーを記録した彼のデビューアルバム（1990年）の旋風を思い浮かべてみると、彼の誕生の第一歩から、禁輸私をくわえて生まれているように見える。
しかし、大田（テジョン）でギターをひいて店で歌歌った彼のデモテープは、ほとんどすべてのメジャーレコード会社で門前払いをされた。
また、突出した美貌、個性的な魅力を持たないマスクのためにデビューアルバムを発表してもそのうちに"顔のない歌手"として過ごさなければならなかった暗い時間が彼に最も単純で明瞭な道を教えてくれた。

そして、それは1980年代の主流の韓国大衆音楽の偉大な成果であるチョ・ヨンピルとイ・ムンセ、そしてビョン・ジンソプを獲得した遺産を総合することでした。

何よりも彼の前の時代のスターたちが強固に形成された永久的な主流の文法的バラードと呼ばれる領域の完成度を立体的に一段階引き上げることで、馴染みの中の新しさという厳しい命題を自分で解いた。
彼の出世作"微笑に映った君"が明らかに挑発的な魅力を持った導入のテーマと軽快に挿入した2番目の経過部テーマや長調単調的響きが複合的に感情を高揚させるクライマックスの旋律の主題になると、ある瞬間にこの歌の虜になってしまう。

1920年代末の大恐慌時代の無声映画の時代は、ピリオドをとって登場したミュージカル映画の中のロマンチックなメロディーが大衆の感情を薄氷が張るように、3和音を基本としたAABA形式の32節を中心と綿菓子のような（Soft＆Mellow）の歌は、その完璧な全盛時代を開いた。

この従来のポップは1950年代のロックンロールの旋風にも主流の威容を失っておらず、愛と別離のテーマは、あらゆるジャンルの美術史が示すように主流のインフラを構築し、10代の少女のバイヤーたちがアルバム市場の主力層に浮上とされる1980年代の韓国でも例外ではなかった。

シンスンフンは、この歴史的な土台の上でバラードの内面と外見をより精巧に進化させる。なんと14週間1位を守った彼の生涯最大の成功作"見えない愛"は、ベートーヴェンの歌曲"Ich Liebe Dich"を導入部に招待して、瞬く間に長調から短調への雰囲気をダイヤルしてマイナーバラードの定数を実装する。
この歌を構成する3つの主題の旋律は点綴的に強化された感情のドラマを壮大なスケールで繰り広げられる。そして、その瞬間は、韓国のラブバラードが芸術的に完成された美しい瞬間でもある。彼は同時代のライバルであるソテジとシンガーソングライターと呼ばれる要素を除けば、すべての面で対蹠）だった。

ソテジが表象する新しい議題の設定とシン・スンフンが一貫して示されている元の共感能力は、1990年代の韓国大衆音楽史を動的に昇華させた両方の本質だった。