2022/01/27 読了。インスタで流れてきた投稿で、タイトルに惹かれて買った。目先の怒りや不安や焦りやそういうものに首くらいまで飲み込まれていたとき、「100年後あなたもわたしもいない日」という視座にハッとさせられたのだ。読みたい。今、読まなきゃ、とそのままとほんさんのオンラインショップで購入した。
私も前に短歌を書いていた時期があり、でもどうも歌集を読むのが苦手だった。行間はあっても、歌がずらりと並ぶ体裁に、ゲップが出るくらい満腹になってしまうのだ。
でも、この本は絵と短編と、言葉もはらはらと落ちてその場にとどまったように、圧がない。歌集は歌だけで勝負するというような風潮があるけど(たぶん賞とかはそういうところが強い)、こういう按配(工夫?)は読み手への配慮でもあると思うのだ。
読まれて、読んだ人の体に刺さって、言葉の本来はそういうものではないかなと思う。
100年後、わたしもあなたもいない、私の拘りも意地も風に吹かれ空気に薄まって、もう跡形もない、そんな一日の太陽が暖かく、そして100年後の生きものを包み込んでいますように。首まで浸かってた泥沼から、ぬっと這い出た気分。あとはさっぱり湯に浸かりたい。
『100年後あなたもわたしもいない日に』
土門蘭(文)寺田マユミ(絵)/文鳥社