次女の卒業式でした。
自閉症の次女は、慣れない行事などではパニックになることも多く、そうなると、大声を出して、その場を飛び出したり、式を中断しかねません。
厳かな空気のなか、長丁場の式に耐えられるかどうか、気が気ではありませんでした。
いざ式が始まり、卒業証書授与では、一人ひとり壇上に上がり、未来の目標を宣言します。次女の番になると、6年間ずっと一緒だったお友達が一緒に壇上に上がってくれました。
「まだやで」とやさしく声をかけられ、次女が話しだします。
「修学旅行がとても楽しかったです。友だちとの思い出がたくさんできました。
みなさん、ありがとうございました」
大きな声で堂々と話す姿に、胸が熱くなります。
旅立ちのことばでは、なかよし学級の先生がカンペを持ってくれていたので、一人での台詞も間違えずに言うことができました。
歌の場面では、大きな身振りも入れて体を揺らせ、楽しそうに歌っていました…。
4年生の頃、パニックがひどくなり、友だちを噛む、ひっかく、窓を割るなどが続いた日々、普通の小学校に通わせるのは、もう無理なのではないかと思うこともありました。次に大きな問題を起こしたときは、支援学校に移るべきなのではないかと…。
そんな娘を温かく見守ってくれたのは、先生やお友だちでした。娘が奇声を発しようと、物を壊れるまでたたこうと、悪いことは悪いと、普通の子と分けへだてなく接してくれたうえで、「のんちゃんもしんどいんやろうな」と理解してくれた子どもたちの心の広さ、温かさ…。
これから支援学校に通う次女は、普通の子と接することは、ほとんどなくなるでしょう。けれど、6年間で出会ったお友だちは、一生の宝物です。先生方も、一生、娘にとっては、思い出深い先生です。
お友だちがくれた手紙には、「学校で友だちとけんかしても、のんちゃんがいるから、学校に行かないと、と思ったよ」とありました。毎日、なかよしまで迎えにきてくれたお友だち。
いつもいつも手をつないでくれていたお友だちの手をはなれて……、これから、どんな道が待っているのか、想像もつきませんが、娘はクラスメートに愛され、先生に慈しまれ、本当に幸せだったと思います。
もっとスッキリした晴れ晴れしい気持ちになるのかと思いきや、まだまだ名残惜しくて、先生やお友だちとの別れが切ない卒業式でした。