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サンズ・トーク

明日の神話

岡本太郎は、1970年、大阪で開催された万博の会場に太陽の塔を製作した芸術家で、「芸術は爆発だ」で有名なのである。

岡本は、太陽の塔を製作した前後に、メキシコで壁画「明日の神話」を完成したが、設置場所のホテルが落成を待たずにゆき詰まったため、壁画の行方が分からなくなっていた。太郎の養女(実は妻)の岡本敏子氏が行方を捜し、2003年、ようやく発見して、2005年日本に帰ってきたが、敏子さんはその寸前に急逝された。

作品は、写真のように縦5.5m、横30mの大作で、原爆の炸裂の瞬間を表し、人間は、こんな残酷な惨劇さえも誇らかに乗り越えることが出来る、そしてその先に新しい神話が生まれるということを訴えている。
神話、ということは、今までの文明は消滅する、そして、一から神話の時代が始まって新しい人の世、歴史がスタートするとの寓意であるのか。そうとするなら、恐ろしい飛躍である。

展示の現場は、1日30万人の人が乗降、通行する場所で、私が通ったときも多くの人々がカメラや携帯で写していた。余りに巨大なので、1枚には到底収まりきれないのだった。

私は、1987年、スペインを訪れたとき、マドリードのプラド美術館でピカソの「ゲルニカ」を見たことがある。今、ゲルニカについて調べてみると、作品は1937年のスペイン内戦のとき、ナチスドイツがバスク地方のゲルニカを爆撃し、多くの人々が虐殺されたことに抗議したものだったそうだ。あれは殆ど白黒灰色の作品だったのを思い出している。

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