70の瞳

笑いあり涙あり、36人の子どもたちが生活する児童養護施設「さんあい」の出来事や子どもと職員の声をお聞きください。

キャンプだホイ

2024-10-30 01:46:41 | 愛すべき子どもたち

定期的に開催している小学生会議の中で、子どもたちから「キャンプをやりたい」という希望が出されました。そこで涼しくなった秋の週末、子どもたちと秩父のキャンプ場に向かいました。

キャンプでは男女混合の5~6人のグループを作っていろいろなプログラムをしました。職員としては、子どもたちが協力してする活動を通してチームワークの大切さを学んだり、力を合わせることで達成感を得たりしてくれることを期待しています。

あまり包丁を持ったことがない子たちも美味しい食事を作るために果敢に挑戦。

ガスではなく薪で火を焚いての調理。空間、メンバー、やり方すべてが非日常の中では、子どもたちもいつもとは違う顔、やる気を見せてくれます。

いつものカレーも、自然の中で食べるといつも以上の味がします。

キャンプファイアー。暗がりの中で火を囲むとさまざまな思いが去来します。

帰路は、グループごとに分かれてのオリエンテーリング。地図を頼りに、ちゃんとたどり着けるかちょっぴり不安になりながらも目的地まで歩きます。

キャンプをすることで得られる様々な出会い、体験の喜びを歌った『キャンプだホイ』という曲にあるとおり、子どもたちは集団での活動を通してさまざまな新しい・はじめてのことを体験し、他者の中で生きている・活かされていることを実感し、成長します。

個別性を重視し、より小さい単位に向かう児童養護施設ではありますが、施設故の集団的側面も良い意味で活かしていきたいと思います。


栗拾い

2024-10-21 18:32:11 | 愛すべき子どもたち

地域の農家の方から、栗拾いにお誘いをいただきました。とげがあり危ないので、中学生以上の希望する男の子で挑戦しました。

初めて栗林に入る子もいます。とげに気を付けながら、開いている実を見つけます。

直接、手では触らずに、トングと足を使って上手に実を取り出します。バケツに何杯もの栗を収穫することができました。

収穫した栗は園に持ち帰り、すぐに茹でて各部屋に配ります。この部屋では栗ご飯にして美味しくいただきました。

ほくほくした美味しい栗ご飯。今日も地域の皆さんのご厚意で、秋の味覚を堪能させていただきました。

ごちそうさまでした!


動物愛護フェスティバル

2024-10-18 17:56:47 | 愛すべき子どもたち

恒例になっているアニマル・クラブの秋の行事、県の動物愛護フェスティバルへの参加ですが、今年は加須の会場に行ってきました。距離は遠かったのですが、広い会場でたくさんの団体が参加して賑やかでした。

お絵描きコーナー。見本のようにスケッチをすることで動物をよ~く観察するんだよ・・・と大人は思うのですが、子どもたちはみんな好きな動物の絵を好きなように描いていました。

セラピー犬たちとのふれあいコーナー。みんなよく訓練されていています。それを支えているのはたくさんのボランティアさん達。子どもたちにとっても良いお手本です。

そのボランティアさん達が紹介してくれたのが飼っている犬や猫の体内にマイクロチップを埋め込む技術。特別な装置を使って、動物の体内に埋め込まれたチップを読むことで、その飼い主や動物自身の情報を読み取ることができます。これをすることで動物が迷子になっても、飼い主のもとに届けてもらえたり、不正を防止することができます。

いろいろなことを体験し、学んだ秋の一日でした。


収穫の秋

2024-10-10 21:15:54 | 愛すべき子どもたち

朝晩は涼しくなって確実に秋が来たことを感じられるようになりました。周辺の畑でもブロッコリーの収穫が始まりました。さんあいの畑の土の中ではしっかりとサツマイモが成長しています。そこで里親さん達の手も借りながら、子どもたちと芋ほりを行いました。

都会では、弦が生い茂った地面の下でサツマイモが育つことを知らずに大きくなる子たちもいるようです。さんあいの子どもたちは、神様が与えてくださった豊かな恵みが成長して、自分の食卓に並ぶまでを目や手で楽しみ、そして口で味わうことができます。

サツマイモの畑の隣には秋茄子も。

暑い夏が長引いたために秋が短くなりそうですが、みんなでその秋を堪能したいと思います。

 


お小遣い

2024-10-04 19:29:46 | 愛すべき子どもたち

一般の家庭と同様、児童養護施設でもこども達が日々の生活の中で自分で自由に使えるお金を持てるようお小遣いを渡しています。金額は同年代の子どもたちや地域の状況をみながら決められています。お小遣いは、子どもたちにとっては計算を覚える機会であったり、自分でお金を貯めて欲しいものにお金を使う計画力を養ったり、ひいては退所をして自立を始めるために経済観念を養っていくためのステップともなるものです。

さんあいでは毎月のお小遣いを施設長が直接、子どもたち一人ひとりに手渡しをするようにしています。

小学生になるとお小遣いも千円を超えるのでお札で渡されます。今月はいよいよ新札が混ざるようになりました。

「あ、渋沢栄一だ!」いやいや、それは北里柴三郎さんです。

子どもたちのお小遣いを含む生活にかかる費用は、基本的に行政からの措置費によって賄われています。

10月も多くの品物の値段が上がりました。子ども会議では、子どもたちからお小遣いの額を引き上げて欲しい、という要望が出されています。施設単独の努力ではどうしようもないこともあることを子どもたちには説明、理解をしてもらい、たいせつに使おうね、と話しています。


マメちゃん逝く

2024-09-25 19:05:54 | 愛すべき子どもたち

この時期らしい涼しさが感じられるようになった朝、ウサギのマメちゃんが天に旅立ってしまいました。前日まで元気にしていたマメちゃんですが、ぶどうの木で動物たちのお世話をしてくれている子どもたちが、冷たくなっているマメちゃんを見つけたのです。

子どもたちを集めて理事長先生からお話し。マメちゃんはフレミッシュ・ジャイアントという種類で、平均寿命は7‐8年ということ。生まれて2年ほどのマメちゃんでしたが、それよりもかなり早い短い命でした。でも、その短い間にたくさんの楽しい時間を与えてくれたことに皆で感謝をしました。

同じ動物小屋でマメちゃんと起居を共にしてきたポニーちゃんも神妙な面持ちで話しを聞いています。

皆で順番にマメちゃんのなきがらにお別れをしました。

お墓には皆で好物の小松菜を供えました。

最後に皆で祈りを合わせました。悲しいできごとですが、子どもたち一人一人が、このことを通して生きるために大切なことを学んでくれることを願ってやみません。


十五夜

2024-09-18 17:19:04 | 愛すべき子どもたち

昨晩は十五夜でした。午後7時過ぎ、ねむのきの子どもたちが中庭に出てきました。

「雲が厚いなぁ」「見えるかな~」 すると、あいにくの曇り空でしたが、雲の間からまん丸い月が顔を出してくれました。

中秋の名月というには、あまりに蒸し暑い夜ではありましたが、季節は少しずつ秋に向かっていることを感じます。子どもたちと共に季節を感じ、大地の恵みや宇宙の雄大さに触れる機会を大切にしていきたいです。


総合避難訓練

2024-09-16 15:01:22 | 愛すべき子どもたち

児童福祉施設では、毎月、避難訓練を実施することが義務付けられています。ただマンネリ化してしまわないように、避難をする事態も時間も方法も、はたまた避難だけではなく防災の内容も加味しながら、毎月、異なるアプローチで実施しています。

例年、夏休みには、施設内にある消火栓と放水用のホースを実際に使用して避難と消火の訓練を実施していたのですが、今年は災害ともいえる猛暑により日中に外に活動をすることが難しくなってしまったため延期としました。その暑さが少し和らいだ9月の休みの日に、深谷市消防局の方々のご協力もいただき、実施の運びとなりました。

制服の消防士さん達に見守られて、いつもより緊張感があります。

グラウンドで水の入った消火器を使って練習。希望する小学生が実際の消火器を持って的をめがけて放水。実際の消火器からは泡が出るそうです。

中高生はホースを使っての放水。水圧で押し戻される感覚も体験。実際の火事の場面ではまず職員が避難誘導、同時もしくはその後に消火活動を行いますが、人手が足りない、いざという時には中高生の手を借りることもあるかもしれません、と伝えられると皆真剣に取り組んでいました。

最後に講評をいただき訓練終了。その後は消防士さんが乗って来た消防車を間近で見学。

もう一台、消防士さんたちが乗って来た救急車も見せていただきました。熱中症の患者さんの対応で、今年の夏は大忙しだったそうです。この夏、さんあいではみんなで予防に努めてひとりも熱中症で病院に駆け込むことはありませんでした、と伝えると喜んでいただきました。

消防士の皆さん、いつもみんなの安全、安心のためにありがとうございます。

 


猛暑日続く

2024-09-13 17:04:18 | 愛すべき子どもたち

9月になったというのに連日の猛暑。ひと夏の猛暑日の日数、記録更新です。

強い日差しとむせかえるような熱気の中、それでもこども達は元気に登校、登園をしています。

そんな暑さに負けないようにとアイスクリームのご寄贈がありました。

沖縄の名産品、ブルーシールのアイスクリームです。

さっそくお部屋に配ると子どもも職員も大喜び。

笑顔があふれました。心は温かく、でもこども達が安心して外遊びができるように、早く涼しくなることを願わずにはいられません。


こどもの参画

2024-09-01 12:50:40 | 愛すべき子どもたち

今年度から施行された改正児童福祉法には、こどもの権利擁護の取組をさらに推進するため、施設等に措置されるこども達や、一時保護されるこども達の意見を聴く仕組みの必要性が明記され、その環境整備は都道府県等の業務であるとしています。今後、都道府県から施設等に派遣された専門家が、こども達の意見表明を支援することになる、というのが趣旨です。

実際に施設の外部から来られる方に、こどもたちの意見表明を支援する働きがどれだけできるのか、これから試行錯誤が繰り返されるものと想像します。いずれにしても日常的に子どもたちとかかわる施設職員としては、こどもたちが誰に対してであっても安心して自らの意見を述べたり、思いを表現できるような環境を作ることは責務です。

ただ、意見表明ができればそれですべて問題が解決する訳ではありません。「意見表明は、あくまでプロセス。最終目標はこどもの参画により“真の民主主義”が実現すること」というロジャー・ハート*の言葉を肝に銘じたいと思います。

 

夏休み中に開かれた小学生会議。初めは職員が導いて議長の選出、本日の議題の提案などをします。

それぞれ自分の思いを持って挙手。決定した内容に対しても素直に受け入れて会議が進みます。

こども達から質問が出て、オブザーバーだった施設長が許可を得て回答する場面もありました。

こども達が選んだ議長の進行により、スムーズに会議を終えることができました。

埼玉県内では、自治体による子どもの権利条例策定の例がないそうです。こども大綱に続いて、埼玉県こども計画が策定された後は、こども参画による市町村レベルでの条例制定が進むことが期待されます。

 

*ロジャー・ハート著、木下勇・田中治彦・南博文監修、IPA日本支部訳『子どもの参画-コミュニティづくりと身近な環境ケアへの参画のための理論と実際』萌文社、2000年