¶タイタン号の宇宙探検¶

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「淋しいのはお前だけじゃない」後編・・記憶に残る名作。ドラママニアなら絶対見るべし!

2007年12月17日 10時59分15秒 | ドラマ・映画 全般の話

ドラマ記事、第二弾でございます。

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 ↓
http://blog.goo.ne.jp/satoko1964jp/e/73c453a40d2ad68eee8c9fb5526ab877

前半をざっとおさらいしますと、このドラマの主人公・西田敏行は、ちんけで狡猾でくたびれた零細サラ金取立て屋。
怒鳴られても何も言い返せない妻の泉ピン子は場末のキャバレーの売れないホステス上がり。
西田が、瞬時良心を取り戻すきっかけとなった木の実ナナは、広域指定暴力団幹部を捨てた元愛人。
多額の借金を抱え、借金返済と生き延びるための旅一座の役者たちも、みんな西田敏行の元客で、サラ金に手を出しながらそれを踏み倒し、世間から逃げている者たちです。

脚本は市川森一のオリジナル。

今作がテレビ初登場となる大衆演劇のトップスター・梅沢富美男が、毎回旅役者の役で客演するのも見所のひとつになっています。

※西田敏行の心情の変化がこのドラマの支柱となっておりますので、私が感じた
【沼田の小悪党度】を100点満点で付けさせていただきましたm(__)m


●出演●

・沼田薫:西田敏行~サラ金の取立て屋。国分から常子の取立てを命じられるが、幼少期の彼女の母親への恩義から一芝居打つ。しかしすぐに嘘がばれ、逆に借金二千万円の連帯保証人に。花村月之丞一座の芸名は嵐熊吉。

・由良常子:木の実ナナ~国分が面倒を見ていた女。幼馴染みの市太郎と駆け落ちし、慰謝料として二千万の借金を背負うことに。沼田と協力し、女剣劇座長だった母親の二代目を襲名し、花村月之丞一座を結成する。

・小川妙子:萬田久子~借金苦で自殺未遂を計った夫の看護をしながらスーパーのレジ係をしていたが、意を決して花村月之丞一座に入る。芸名は芳澤みなと。

・畑中洋一郎:河原崎長一郎~自動車販売セールスマン。妻と6歳の子供あり。花村月之丞一座での芸名は中村京四郎。

・山村謙二郎:山本亘~元は優秀なコンピュータープログラマー。心身症自律神経失調症を患い、医者に仕事を休むことを勧められる。花村月之丞一座での芸名は尾上松之助。

・松永健次:潮哲也~一流ホテルのフロント係。社長令嬢と婚約中に、過去に妊娠させた元恋人にゆすられて借金をする。花村月之丞一座での芸名は市川染太郎。

・久保三郎:矢崎滋~町田の駅員。カラオケ好きでマイクを持ったら離さない。花村月之丞一座での芸名は坂東玉二郎。

・馬場利夫:小野武彦~沼田を国分に紹介したサラ金業支店長。沼田の責任を負わされて、業務の後を継ぐことになったヤクザ崩れ。

・竹村市太郎:梅沢富美男~幼い頃から旅芸人一座の中で育つ。常子と駆け落ちしたため、借金返済に追われる。
 
・西方:尾藤イサオ~国分の部下で用心棒。凶暴な性格で沼田や馬場に恐れられる。10日締めの借金の利息取立てに度々現れる。

・ベラ谷口:佐々木すみ江~シャンソン喫茶を経営。失踪した鈴なり座の持ち主・南郷マリアと鈴なり横丁の土地を買う。

・清水政吉:原保美~一座の裏方を取り仕切る。花村月之丞一座の先代からの座員で、常子、市太郎を幼い頃から知っている。

・沼田よし江:泉ピン子~沼田の妻。苦境の中でも献身的に沼田に尽くす。

・国分英樹:財津一郎~広域指定暴力団・青竜会の幹部にして、大手サラ金会社のオーナー。政財界にも顔が広い。

●放送日:1982年6月~8月
●脚本:市川森一
●音楽:小室等
●主題歌:西田敏行「淋しいのはお前だけじゃない」(作詞・作曲・小室等、編曲・青木望)
●演出:高橋一郎、浅生憲章、赤地偉史

★第7話★ 雪の渡り鳥
急に自分の前から姿を消した松永を追い、彼の婚約者で令嬢の理恵が鈴なり座を訪れた。理恵はまだ松永に未練があり、復縁に両親が反対するならどんな貧乏でも耐えるつもりだと沼田に告げる。
松永に抜けられると困る沼田は、一旦は彼に女ができたと嘘で取り繕うが、客入りが悪く、利息の支払い期限が迫っていた事から、理恵に手切れ金が必要だと嘘を言って松永を半ば”売る”かたちで理恵から大金を巻き上げる。
《沼田の小悪党度・・70点》

★第8話★ 雪乃丞変化
妙子に連日10万もの祝儀を投げる上客が付く。そんなある日、意識不明の妙子の夫(橋爪功)が目を覚まし、鈴なり座を訪ねてくる。
稼ぎ頭が抜けては困る沼田は、妙子に愛人が出来たと一芝居打ち、夫を追い返す。しかし白塗りの沼田を妻の愛人と勘違いした妙子の夫が、包丁で沼田に襲い掛かって来た。運良く危機を逃れた沼田は、自分が殺人容疑で追われていると思い込んでいる妙子の夫に田舎へ逃げるよう伝える。
その帰り、沼田は偶然に新聞で妙子の上客が自殺したことを知った。かの老人は生活保護を受けており、最後の金で夢を買っていたのだ…。
《沼田の小悪党度・・60点》 

★第9話★ 切られ与三郎
鈴なり座にやってきた「たかり」は、よし江の元恋人・辰夫(柴俊夫)だった。沼田は自分の後釜に座った馬場から、国分絡みで危険な運び屋の仕事があることを知り、金が必要と言う辰夫をはめようと、その仕事を紹介する。
しかし辰夫は危険を承知で請け負った金をよし江の借金に充ててくれと沼田の元へ持ってくる。
それを知った沼田は自分の愚かさに恥じ入り、辰夫にすべてを話すのだが…。
《沼田の小悪党度・・50点》

★第10話★ 四谷怪談
利息額が多いことを不思議に思った座員たちが沼田に詰め寄ってきた。
その場に運び屋(辰夫)が消えたことで国分から制裁を受けた馬場が現れ、座員たちは沼田らに二千万の借金があり、今までその借金のために働かされていた上、自分たちの借金の利息は一切支払われていないことを知らされる。畑中は出て行き、一座は解散の危機に立たされるが…。
《沼田の小悪党度・・60点》

★第11話★ 瞼の母
行方がわからなかった倉庫(鈴なり座)の持ち主・マリア(北林谷栄)が帰ってくる。沼田はてっきりマリアが自分の母親だと思い込むが、やがて思い違いだと気付く。
一方、マリアの借金の領収書は国分の手に渡っていた。マリアは倉庫の借金を利息を含め約二千万そっくり返すつもりで帰って来たと言うが、国分に、マリアは詐欺師で、二千万円の手形は何の価値もないと告げられる。沼田はショックを受けるが、警察から逃がすためにマリアを駅まで送る。そして結局沼田はまんまと国分に倉庫の借用書まで盗られてしてしまい…。
《沼田の小悪党度・・40点》

★第12話★ 忠臣蔵
借用書を手にしたことで、鈴なり座は国分のものになってしまった。芝居小屋の家賃まで請求されることとなった一座は窮地に立たされる。
そんな時、病気の政吉の願いを叶えるため、常子と市太郎が結婚することに。
祝言の最中、常子が政吉の手術代にと承諾していた高額の接客の迎えに来た西方。沼田ともみ合いになり、常子は国分の約束を反故にしてしまう。
翌日、沼田らは国分からマニラ公演を言い付かるが、渡されたのは片道の航空券だった。絶望感に苛まれる沼田だったが、国分が病院で胃の再検査をすることを知り、それを利用し国分から大金をせしめる案を思いつく。
《沼田の小悪党度・・30点》

★第13話★ 勢揃い清水港
病院の休診日を利用し、一座全員で国分にガンの宣告をし、治療費として大金をせしめる計画をたてた沼田ら。一座総動員の芝居は成功したかに見えたが…。
《沼田の小悪党度・・10点》

□■□■□■□■□■□■□■□■□■

例えば極めつけの傑作エピソードのひとつに、第9話「切られ与三郎」があります。

フェリーニの「道」のジュリエッタ・マシーニを思い出させる泉ピン子の健気さ
(実際、泉ピン子はジェルソミーナをイメージして役作りをしたと、特典映像『さびおま同窓会』で述べている)と、西田敏行の沈痛な演技は必見。
ラスト、舞台上で踊る西田敏行に「ヨ!ニッポンイチ!」の掛け声を入れながら偽物の万札を投げ入れる泉ピン子の姿は、涙なしでは見られません。

そして最終話。
最後のセリフ、「いい夢みたな…」は制作者たちの言葉の様にも聞こえます。
この作品くらい共演者がひとつになって、和気あいあいと、夜が明けるまで離れがたく結束して臨んだドラマも珍しい、と今回のDVD化において出演者一同が述べていました。

西田敏行は善人ヅラした役が多いけれど、このドラマのしがない小悪党役はすごく良かったです。
今は「渡る世間~」で鬱陶しい芝居(失礼)ばかりの泉ピン子も、女房役でイイ味を出していました。

最終話、財津一郎をダマすくだりの興奮、痛快さといったら──!

「国分を殺す!」と言い出す熊ちゃん(西田)に梅沢さんが

「熊ちゃん、国分を殺るって?何でやるのよ。ドスかい、はじきかい?」

「ドスもはじきも要らねえよ。“芝居”で殺すのよ」
 テーマ音楽イン♪

カッコイイ~!!

強欲だった国分がガンの宣告を受け、たったひとりでがっくり肩を落として呟きます。

「ひじょ~にさみしい!」 ←財津一郎さんが当時つくった流行語!

最終回、借金を全て返し終わり、家路に着こうとする一座の皆は別れがたく、
「もう一軒、あともう一軒行こうよ!」と引き留める矢崎滋が振り絞るようにいった言葉が忘れられません。

「僕は…借金が懐かしいよっ!」

それを慰める萬田久子。皆同じ気持ちなんだと──淋しいのはあなただけじゃないのよ、と。

「街にはこんなにいっぱい車が走ってる。でも、行き先はみんな違うんだ…」

涙ながらに矢崎滋が歩道橋の下を走る渋滞の車を指して言います。

泣けました──

十年、二十年経っても忘れられない作品っていくつかありますよね。
今観ても古さを感じないそんな作品たち。
このドラマは、遅まきながらそのひとつになりました。
わたしにとってそれは3つあります。
一つは萩原健一主演の「傷だらけの天使」
もうひとつはこれまた萩原健一主演・倉本聰脚本の「前略おふくろ様」
最後のひとつがこの「淋しいのはお前だけじゃない」

きっとまだ観ていない、埋もれた傑作がたくさんあるんだろうな、と思います。
ドラマは99%消えて、忘れられていく運命だと市川森一氏が最後に述べていたけれど、これらのドラマは出来るだけ忘れないでいたいな…。

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6 コメント

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傷だらけの天使 (chomi)
2007-12-17 17:52:04
見てました
リアルタイムで。。。
懐かしいです。
アニキ~という水谷豊も
あのおどろおどろしい音楽が流れる
場面も。。。また見たいものです

返信する
chomiさん (タイタン)
2007-12-17 18:40:52
ショーケンの、オープニングだけでもすごくインパクトありましたよね。
ただモノを黙々と食べてるんだけど、ナンか美味しそうだったな~。
最後は衝撃的でしたね。
返信する
確かに (美狂)
2007-12-18 11:34:19
西田敏行は善人ヅラした役が多い>確かにそうかも,そうじゃない役っていうだけでも見ごたえあるかもしれませんね。
役者さんもたくさんの仕事をこなす中で,あの仕事は最高だったと思える作品にそう多くは当たらないと思われます。この作品に関わった皆さんはラッキーだったかも知れませんね。
返信する
美狂さん (タイタン)
2007-12-18 12:09:38
泉ピン子さんがエラい変わりようで!
健気でした~、何度も夫にどつかれて。
借用書、利息の計算、領収書の有無のことも改めて勉強になりました!
あと、度芝居のことも。
「花」って今はどうなのか知りませんが、お金を包んで舞台に投げ入れるものなんですよ。
ああいうの一度観てみたいです!!
返信する
淋しいのは (yama2250)
2008-02-28 15:49:55
 名作ドラマですね。私はS58年の3月の再放送時に初めて見ましたが、どんどん引き込まれてしまいました。梅沢富美男の出世作でしたが、出演者全員演技にいい味を出していましたね。最終回のどんでん返しはまさに「スティング」を彷彿させるものでした。
 最近DVDで1-13話まで一気に見ましたが、今見ても新鮮で27年前のドラマという感じは全くなかったですね。
返信する
yama2250さん (タイタン)
2008-02-28 16:22:06
こんにちは。
いいですよね、感動ですよね。
借金取りって設定がまた、あの時代にしては斬新だし、終わり方も最高でした。
最近はこういうドラマが本当に少なくなりましたね…。
返信する

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