ノリさんにセンスがあるのは、センスを語るセンスのない私だってわかっているのでした。しかし!いや~、地味っ(笑)。そうなる予感はしてましたよ、確かに。
夜間短大で出逢う親友役が近藤芳正ってあたりから(いや好きですけどね、近藤さん・・・と軽くフォロー)。
テレビ朝日開局記念ドラマ「にんげんだもの~相田みつを物語」。木梨憲武主役!
相田みつをの書はやっぱり好きです。生い立ちも何かのドキュメント番組で見て知っていました。それをあえて、ドラマで、みつをがどういう状況の中、あれらのコトバを生み出していったかが興味があったんです。
書家の話ですから、当然ながら書をしたためるシーンがポイント。ノリさんは持ち前のセンスで、みつをのタッチを再現していました。というよりみつをの実物よりステキだったかも・・・?
真剣に紙と対峙して、大量の失敗作にまみれながら、寝食を忘れて書きまくる。それをうれしそうに見守る妻(薬師丸ひろ子)。アーティストと一番のファン、という関係で夫婦の絆が結ばれているところに胸を打たれます。
とにかく地味だし(しつこい?)ストーリー的にもあまり起伏がない。でも役者陣は総じて手堅い演技でよかったです。
なんといっても、役者・ノリさんの存在感で見続けることができました。薬師丸ひろ子のデキすぎる嫁っぷりにも心が洗われました。あとは、ときどき出てきて嫁をいびる母(室井滋)のいやらしさ(勿論これにもそれ相当の理由があるんですけどね)や、時折見上げる夕焼け空の美しさなどが印象的。(みつをには夕焼けが似合うんです、なぜか)
自分の本を見たみつをがポツリと「恥ずかしいな」と言うところが、個人的にツボだったかな?見せたい気持ちのウラにはどこか恥ずかしさが隠れてるものです。(私のブログのように^^;)
ここでざっとおおまかなストーリーをご紹介させていただきますね。
1924年、相田光男(木梨憲武)は、刺繍職人の父と、気性の激しい母エイ(室井滋)の三男として生まれる。兄二人は戦争で相次いで死亡。母のみつをへの執着がここで強くなります。
成人後、地元の生活協同組合で働いていたものの、ある日、資金の使い込みを発見。正義感の強いみつをは世渡りのうまい同僚・麻生忠夫(石黒賢)が止めるのも聞かずに上司に訴え出るが、その夜、数人の男たちにひどい暴行を受けることに・・・。
この一件で人間不信におちいったみつをはそれから4年間、自分を溺愛する母の庇護のもと、自宅での療養生活を送ることとなります。
その療養生活の中で、みつをは人生に大きな意味を持つ人物2人と出会います。
ひとりは禅寺の住職・武井哲応(西田敏行)。武井老師が発する一字一句はみつをの心を解きほぐし、彼は27歳の春、一念発起し短期大学の夜間部へ入学します。
そして同じ頃、のちに妻となる千江(薬師丸ひろ子)とも出会います。
千江と初めて言葉を交わした日、みつをは「千江」「逢」という文字を何度も書き、最初はしっかりとした楷書だったものが、やがてやわらかな字体へと変化し、千江を思いながら心のままに書く書が、彼を「書=楽しさ」に導いていきます。(このシーンあたたかくて良いです(*^-^*))
大学卒業後、親友の西村(近藤芳正)の応援を受けながら、書家としての活動をスタートし、千江と結婚したみつを。しかし書は売れず、貧困、将来への不安、嫁姑の確執、納得のいく創作ができない焦り…といった深い悩みを抱える中で、みつをは悶々とした日々を過ごします。そんな毎日の中で生まれたのが、
「うそはいわぬ ひとにはこびない ひとのかげぐちはいわぬ わたしにはできぬことばかり」
「やれなかった やらなかった どっちかな」
「そのうち そのうち べんかいしながら日がくれる」
など、自らの弱さをさらけだしたような作品群です。みつをは貧しい日々の中で、わかりやすい言葉による、独自の書を確立していきます。
のちにかつての同僚・麻生(石黒賢)と再会。彼はみつをの書を『所詮は負け犬の遠吠えだ』と非難しますが、みつをは反論することなく淡々と自分の道を進んでいきます。
やがて麻生が社会的挫折を味わったとき、みつをの書が彼の脳裏によみがえり、心を慰められることに・・・。
あの書が生まれるまでの紆余曲折や、時代背景など、つくづくノリさんにマッチした企画だったなぁと思うと同時に、最期の方では、みつをの実直さがノリさんに乗り移ったかのようにさえ見えました。
『人間だもの』が出たのが、厳密に言うと五九歳で、世間に認められ始めたのが六〇歳頃。熱烈なファンはいたものの、一般に知られるようになったのは結構晩年です。
もしかしたら人によって、相田みつをの「あ」の字を聞いただけでも虫酸が走るという人もいるかもしれませんね。(実際私の周りにもいます)逆に相田みつをのものなら何でもいいという人もいるでしょう。
彼は息子さんに生前こう語ったそうです。
「誰からも好かれて誰からもいいねなんて言われるのは芸術作品として絶対あり得ない。賛否両論があってそれが健全な姿なんだ」と──。
なるほど。ここで私が褒め称えるのはちょっと偏った意見になるかもしれませんね。それでもトイレや待合室などにさりげなくかかっているみつをの書は、なんだか私の心を揉み解してくれます。やっぱり感謝です・・・。
ああ~やっぱり軽い・・・さくさくとつながりますね。
うらやましいぞー!!でもいまからこっちに引っ越す勇気はわたしにはありまへん・・・