ちなみに前編の記事 ↓
http://blog.goo.ne.jp/satoko1964jp/e/772ee64420b58e8c27b04f55e87ceb5d
※M2:社会学者・宮台真司と評論家・宮崎哲弥の二人を指す。
のちに実際の収録がポッドキャスティングに流れるかもしれませんが、去年、あまりに長くてUPするのに疲れましたので、今年はオンエア分の、更に一部分だけを文字起こししております!
テーマ2~「2007年。サブカルチャーも終わっちゃったのか?」
ナビゲーターは渡辺真理さん。M2の言いたい放題の一部をお楽しみくださいませ。
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宮台 :「恋空」について、僕は言いたい事があります
渡辺 :どうぞ
宮台 :僕は映画「恋空」の原作については文句はあまり言いたくはない。新しい感受性にこう…
渡辺 :宮台さんが1㎜も共感しなかったとしても?
(※トークの冒頭で「まったく1㎜も共感しなかった!」と興奮気味に話していた)
宮崎 :ボク観てないから説明して
宮台 :変な映画なの。レイプされても、輪姦されても彼氏が「守ってやれなくてゴメン」って言ったらさ~すぐに立ち直っちゃうし、図書館でSEXしたらすぐ…【以下、宮台流・みもふたもないネタバレなのでカット!】──わかります?
宮崎 :全然わかりません
渡辺 :あのね、今のは観た人じゃないと
宮崎 :今の解説は正しいの?
宮台 :正しいよ
渡辺 :宮崎さん、普通に言いますとね、高校生の女の子が…【以下、渡辺流・普通のネタバレなのでカット!ちなみに言ってる間に「クサイ!」など文句を言う宮台氏】
──それで…
宮台 :(しびれを切らして)真理さん、ちょっといい?
この映画はディティールを話したらダメな映画なの。
小説も映画も総じて「ため」が少ないのね。
今おっしゃった通りのことなんだけども、普通日本映画にしろ小説にしろ、僕は「関係性」って言ってるけども、人間と人間の関係性は意味を持つ…何の意味を持つかと言うと付き合う時間が長いからでね、だから期待しているけれども、期待通りに進まないってのに耐えながら、その期待のラインに合致したり合致しなくなったりってところにドラマツルギーは展開するはずなんだけど、そういう要素は(「恋空」には)実はまったくないんですよ。
で、どんどんどんどん展開するってのはジェットコースタームービーみたいだって言うんだけど、野島伸司の言うジェットコースタームービーとも違う。どこが徹底的に違うかっていうと、野島伸司のジェットコースターは、まだ関係性が織り成す悲劇や喜劇で次々と展開していくんだけど、(「恋空」には)関係性の要素がないんですよ。
だからわかりやすく言うと、関係性ではなくて「反応」。まあ僕は『脊髄反射』って言ってます。脊髄反射の塊(かたまり)!
で、それで涙が出るってことが僕にはよく理解が出来ないのね。
でもね、携帯作家さんたちってさ、面白いこと言ってて
「関係性を描き込まないのは何故ですか?」って問いに対してね、
「それをすると読者が付いて来れません。読者は引き出しがあまりないから。
そこで状況が描き込まれたり関係性が描き込まれたりすると、入れないんです。で、脊髄反射的なものが積み重なると読者たちは付いて来れる」(中略)
宮台 :ただね、僕は「恋空」って映画はなかなかいいと思う。批判してる人もいろいろいるけど、僕は戦略的に携帯小説の今日的な意味とか特徴を映画にうまく映そうとしてると思うんですよ。
で…新垣結衣ちゃんもね、全然変じゃない。変じゃないっていうかね、あの…どういう意味かっていうと、すごい鈍くさい主人公に撮られてるんですよ。つまり本当に鋭敏で、少女的な女の子が主人公をやったら変なんだけども、そういう感じじゃなくてすっごい鈍くさ~く演出してる。だからそういう意味で言うと、携帯小説の雰囲気をよくわかって映画にしているのかな?っていうふうな気がしました
宮崎 :ちょっと待って。その携帯小説的雰囲気っていうのはその向こう側にオーディエンスとして、あるいは受容者としての携帯小説的現実があるの?
それとも携帯小説的虚構というのは虚構の世界で終わってるの?
宮台 :いい質問だね~。僕それね、若い人たちに聞きました。
自分の身に起こることとしてはまったく想定していないそうです
宮崎 :ああ、じゃあ隔絶してるんだ
宮台 :うん。なので僕はね、少女漫画研究者として言うと、ほら、1973年の乙女チックな時代から「これって私?」的な、つまり自分として、主人公が自分だとして読むっていう見方ではないんですよ。自分に起こることとして読んでないと思うんですよね。でもキーワードは共感なんですよ、共感
宮崎 :でもそれはとりもなおさずそこの関係性ではなくて、まあ脊髄反射というか、反応の部分だけで、悲劇反応系にだけにアクセントが置かれていくということは、やっぱり現実の関係性を反映してるんじゃないの。関係性のあり方とか
宮台 :関係性を享受するというふうな形で、現実を体験しないってのはそれはあるんだと思う。例えば現実の悲劇や喜劇。楽しいこと、悲しいこと。現実世界で経験する。でもそれは携帯小説世代以前と、以降だと、反応してる部分が違う可能性があるんですよ。
そこが非常に重要なことでね、だ・か・ら~話が最初に戻るんだけれど、ダメな映画が出てきた、短絡的な小説が出てきたっていうふうな評価でスルーしちゃうと、とってもまずい事になるのかなっていう気がする。
私は、あの~何度もいうように理解出来ませんが(笑)
宮崎 :だとすると興味深いと思うのは、それによって個々の意思によって成り立っている近代社会の法制度や政治はどういうふうに変容していくかなんだ
宮台 :こういう変化について、理解したり分析したり出来る人間はいると思う。共感は出来なくてもね。そうするとこういう人間たちの反応は極めてコントロールしやすいという気がします。
なのでますます選挙、或いは戦争、様々な政治的焦点においてこういう人間たちをどうやればコントロール出来るのかという戦略が立てられ、どんどん展開されていくと思います
宮崎 :さっきSR反応(刺激反応系)だって言ったでしょ。ていうことは行動主義者のパラダイスになるということ?
宮台 :それに近くなると思います。コンテクストフリー(関係や状況に左右されない)になっていく可能性が高い。コンテクストに依存する現象であればあるほどコントロールが難しい
宮崎 :行動主義心理学は一旦は廃えてしまった考え方ですが、刺激と反応の間に普通人間の内面があるわけじゃない。それはブラックボックスに入れてしまっても色々な事が操作可能になるということを実際ワトソンはこれの理論を使って広告業界で凄く成功したと言われているんです
渡辺 :そうすると洗脳も扇動もされやすいってことですか
宮台 :されやすくなるでしょうね。間が持たない…だから別れるってことで次々相手を取り替えていくっていう関係。その中で、何故死にオチ(※ドラマ・映画等で主人公の死により終盤を盛り上げること)が増えているのか。
これは社会学的に分析すれば簡単で、本当は一緒に生きてい続ければ、間が持たなくなったかもしれないが、「死ぬ」ことによって、もし生きていればこうも出来た、ああも出来たっていうふうに、夢想・妄想することによって愛のガソリンをね、絶やさずつぎ込むことが出来る
宮崎 :「死にオチ」で終わるってのは反実仮想的なものですよね。
日本であまり出てないんだけどハリウッド映画って「バタフライ・エフェクト」に代表されるように「死にオチ」じゃなく様々な時間の選択の中で色々な経路があり得るというような、そういう形で反実仮想が物語的に構造化されてる。結局こちら側にあるものっていうのはね、ある種の寂寥感。時間ってものに対する切なさなんですよ
宮台 :偶発性に対する諦めっていうかね
宮崎 :これってどういう違いなんだろ
宮台 :全然違うと思うよ
宮崎 :それをちょっと言ってみてよ。どっちも反実仮想的ではあるわけ
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──以上、中篇はここまでです。
やっと「恋空」の話題ほぼ終了。
次はいよいよ一部の人々が大好きな「ALWAYS 続・三丁目の夕日」です。
これをM2の2人はどう斬るのか?!
では、あと少し。
後編(完)でまたお逢いしましょう──☆(^.^)/~~~♪☆彡
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後編も頑張って下さい。
え、何故?どうして?
えーっと…この映画を観た人のレビュー5,6個読んだんですが、真っ二つでしたよ。
「感動した!これで泣けない人は人間じゃない!」
と
「まったく誰にも共感できず、映画館の席の横で泣いてる子たちの涙に笑ってしまった」
ってやつでした。
この放送、エリカ様騒動も恋空の話も車内で中途半端にしか聞けなかったので、こうして起こしていただけるととても助かります(^^)
M2の言うとおり、ケータイ小説も嫌わずに一度は読んでみたほうが良いかも知れません。その小説から何かを得るのではなく世相を知るためには手っ取り早いのかも!
三丁目の夕日の話は、話の途中で車を降りないといけなくなってしまってこれまた中途半端にしか聞けなかったので、楽しみにしてます♪
ケータイ小説…本当は「けっ!」と思ってたんですが、アマゾンで10円くらいの(おいおい)買ってみようかな…。
恋空は2冊あるから無駄っぽいし(^_^;)
次も頑張ります!
横書きって感じがして
手に取りづらいんですよね
本は縦書きが読みやすいという
古臭い人間のchomiは
PCなんか横の方が
断然読みやすいのに
そういう話なんだ。。。恋空って
一度実験してみたいです。
でも…10分持つかな(^_^;)
映画のCMではたくさんの人が泣いてましたよね。
あれはナンだったんでしょう?
死にオチもどうかなと思うんです。
私はあれ、ほんとダメです。昔で言う、ただのアバ○レですよね?それのどこが面白いのかと。あのコが演ってるからそう見えないだけで。
そういえばポッドキャストで、浅草キッドの相談室に宮台さんが出演してたのを聞きました。
やっぱり昔はたくさん女と付き合ったみたいな話してましたよ。
携帯小説は若い友人が「絶対オススメしません!」と言っていたのでパス。「読者がついてこれません」っていうのは、作者が言っちゃマズイよね。
しかし「恋空」の話から「バタフライ・エフェクト」が出てくるとは思いませんでした。
主題歌がミスチルってのがちょっと引っ掛かるけど(^_^;)
関係性ではなくて「脊髄反射」ってすごい言いようですよね。
でも若い子たちは共感してるんですよね…どこに?
真剣に何に涙してるのか聞きたいです。
「これって私?」とも思ってないのに何に共感出来るんだろう??
わ~!!
それは読みにくい(^_^;)
私も「バタフライ・エフェクト」の登場には驚きました。評論家として“似ている”部分があるってことなんでしょうね。
次回は世代でみなさんの意見が分かれそうな予感…