ウソの密告で孤島の独房に特別な政治犯として幽閉された船乗りのエドモン・ダンテスは、隣の独房で脱獄に失敗してダンテスの独房にやってきたファリア神父と知り合い、交流が始まります。看守に悟られないように二人は脱獄を計画。脱獄したあとも困らないように神父は持てる知識の全てをダンテスに教えます。14年という月日のたったある日、父とも慕うファリア神父は知識と財宝の全てをダンテスだけに残して心臓発作で亡くなります。神父の亡骸と入れ替わり脱獄に成功し、神父が残した「スパダの財宝」も手に入れたダンテスは、モンテクリスト伯爵を名のり、自分を無実の罪に陥れ、今ではすっかり成功者となった人々を失脚させるための復讐を始めます。しかし、自分の罪におののき震える悪人達とその悪人を愛した妻や若者達が苦しむ姿をみて、許す心に目覚め、彼らの前から去っていくというストーリーです。
原作は「三銃士」でお馴染みのアレクサンドル・デュマがフランスの新聞に連載した物語です。日本では明治終わりに翻訳、連載され、今では「巌窟王」として親しまれています。
前半は逆境に喘ぐダンテスを知識と教養で励まし、諦めずに努力すれば活路が見出せることを教えるファリア神父との交流を中心に、後半はモンテクリスト伯爵となったダンテスが友人だと思っていた裏切り者達を失脚させていく事を中心に書かれています。
ダンテスはマルセイユ沖のシャトー・ディフに幽閉されますが、ここは実際に政治犯を投獄する監獄として使われていました。後に観光名所として開放された時デュマが見学に行って独房に空いた穴を見てストーリーを思いついたと言われています。
原作は岩波文庫1巻~6巻まで出ていますが、小学生には講談社の青い鳥文庫等から「巌窟王」で出ています。
長いお話ですが読み出したら止まらないので、この夏休みの一冊にいかがでしょう?