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ブリックス行きで車酔いとクレープのお土産

2020-12-28 21:18:51 | 日記

週末のブリックス行きは決定だ、必要なものを準備しておかないといけない、

そんな事を考えながらベッドに入ったマルコーは、自分が前向きに考えている

ことに内心驚いた、以前の自分なら尻込みして、いや、挙げ句、逃げ出してい

たかもしれない。

 

 それは一緒に行く人間がいるからだと思った、あちらに行けば傷の男スカー

もいるので知らない人間が全然いない訳ではない。

 だが、彼女の場合は・・・・・・。

 
 突然、ドアがノックされて、入っていいですかと女の声がしたね入ってきた

のは彼女の顔を見てマルコーは、おやと思った、暗い顔つきだ。
 「何かあったのかね」

 「週末、ブリックスに行くんですよね」

 頷いたマルコーはもしかして、行きたくなくなったのかと思ったが、いい

え、そうじゃないんですと言われて、ほっとした。

 あのー、そのーと、言葉を濁す様子に、どうしたのかと言葉を待った。

 「車で行くんですよね」

 あたし、酔いやすいんですと言われてマルコーは、ああと頷いた。

 子供の頃から遊園地のジェットコースター、メリーゴーランド、ティーカッ

プがぐるぐると回るやつも駄目で、ゲロを吐いてしまうんですと暗い顔つきで

言われて、だったら酔い止めを用意するからと安心させるように言ったが。

 「薬を飲んでも吐いたんです、大丈夫でしょうか」

 酔い止めにも色々な種類があるが、気の持ちようというのもある。

 「出発前から気にしすぎだ、空腹は良くない、食べないと、それだけでも揺

られて気分が悪くなる、直前の食事は軽いものにして、薄着は禁物だ、暖かく

して乗り込んで、酔って吐いてしまっても気にしないことだ」

 「さすが、医者の言葉は重みがありますね」

 それはよかったとマルコーは笑いながら、早く寝なさいと促した。

 

 当日、車が走り出して一時間もしないうちに酔ってしまった、止めてと言っ

てドアを開けて飛び出すようにして嘔吐した後、ぐったりとなって先生のの膝枕で寝ている。
 「レモン、ハッカもあるが」

 スースーするからハッカのキャンディーがと言って口を開ける、んっ、口の中が爽やかになって、気分も一新だ、もう胃の中のものはすべて出し切った気がするし、いつの間にか眠っていた。
 

 ぐっすり熟睡していたけどいびきとか書いてなかっただろうか、それにして

も先生が肉体労働者でなくてよかったと思ってしまった。

 もし、軍人みたいに肉体労働者、スカーさんみたいに筋肉がムキムキだった

ら、ふくらはぎなんかパンパンで堅かっただろうなあと思ってしまった。

 「先生の膝枕、凄く気持ちいい」

 目を開けるのも面倒で、そう言うと。

 「何、それスケベ親父みたいな台詞ね」
 

 女の声に目が覚めてしまった。
 

 「ラスト、何故」
 

前の助手席に彼女が座っていたのだ、あれっ、確かスカーさんが座っていな

かったかと思ってふと窓の外を見ると真っ白だ、雪だ。

 「着いたわよ」
 
 何故、ブリックスに彼女が来ているのかと思ったら、質問する前に袋を手渡

された、何かと思ったら中にはクレープがたくさん入っていた。

 イチゴ、ブルーベリー、カシス、ブラックチェリーという自分の好きなもの

ばかりだ、どうしたのと聞くと弟からと言う。

 「まあいいんじゃない、別に何か仕込んでいる訳でもなさそうよ」

 毒とか腹下し、まさか人肉でもミンチにして入れてるんじゃないだろうかな

んて思ったけど、まあ、ありがたくもらっておくわと言うとラストは笑った。

 「まさか、年上好みとは知らなかったわ」

 何故、あのエンヴィーが彼女に甘い菓子などをと本人もだが、マルコーも驚

いた。
  「ああ、それからこの間、シン国の坊やに会ったわよ」
 

「シン国、ああ、王様って、名前は、うーん」

 覚えてないのねとラストは、にやりと笑い、あなたの事を聞かれたわよと言

葉を続けた。

 「街見かけないならと言うからブリックスに行くから忙しいって言ったら驚

いてたわよ」

 ふーんと返しただけの返事にラストは気の毒ねえっと笑った。

 「年下に受けがいいみたい、ねっ、ドクター」

 同意を求められてマルコーは、えっとなった。
 

 
 
 



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