読む、書くの雑多な日々、気まぐれな日常

好きなこと、雑多な日々、小説などを色々と書いていきます

オタク女にエンヴィーは完敗、少しだけシリアスだった

2020-09-29 22:54:12 | 二次小説

 自分の前に突然、現れたホムンクルスの美女を見てマルコーは驚いた。
  「お久しぶり、お元気、ドクター」
 美女は、にっこりと笑いながら近づいてくる、思わず身構えてしまうだが、そんな自分の様子など気づいてもいないように、少し話さないと背を向けて歩き出した。
 まるで自分がついてくることを少しも疑ってもいない様子だ、逃げ出したいと思いながらもマルコーは後を追いかけた。
 あそこにしましょう、オープンカフェを見つけると美女は自分から椅子に腰掛けた。
 
 二人が座るとウェイターがメニューを持ってきた、ドクターのお勧めがいいわと言われてマルコーは紅茶を頼んだ。
 しばらくして運ばれてきたカップに口をつけた彼女は呟いた。
 「美味しいわね、アールグレイって」
 彼女の口調から目の前の自分に対して敵意や憎しみなどの感情が感じられない、紅茶を飲むことを楽しんでいるといわんばかりだ、油断してはいけないと思いながらもマルコーは口をつけた、ほんの少し、気分がほぐれたような気がして、自分も最近になって紅茶を飲み始めたと呟いた。
 「あら、珈琲ではないの、研究所の医者って殆どが、珈琲を飲んでいた気がするわ」
 「忙しくて徹夜が多い、眠気覚ましのだめだろう、インスタントだと手軽に飲める」
 「そういうものなのかしら、なんだか忙しないわね」
 この会話のやりとりは、一体なんなんだ、どういうつもりなのかと思ったとき、恨んでいるでしょうねとラストはカップをテーブルに置いて、わずかに顔をあげた。
 「この紅茶もいいけど、ドクターは普段、もっと美味しいのを飲んでいるんでしょう」
 何が言いたいのかわからない、マルコーはラストの顔を初めて、じっと見た。
 「ティーフードが欲しいところね、ショートブレッドはプレーン、でも、私と一緒だと、今は食べる気にはならないでしょうね、また、今度にしましょう」
 相手の考えていることが分からなかった、紅茶にティーフード、彼女、美夜と同じようなことを言うんだなと思ったとき、奢ってくれるんでしょうと彼女は、にっこりと笑った。
 
 
 
 「そんな怖い顔するなよ、傷の男、もしかして怒ってんの」
 突然、尋ねてきたホムンクルスのエンヴィーに対して、スカーは無言を貫いていた。
 「ドクター、もうすぐ帰って来るよね、驚くだろうな」
 「マルコーに逢いに来たのか」
 「そうだよー、この間、偶然見かけてさ、だから挨拶に来たんだよ、ねえっ、あんた、ドクターの過去、昔、軍の医療チームにいたって、聞いた事ある」
 エンヴィーは美夜に向かって、笑顔というよりはニヤリとした笑みを向けると凄く優秀でねと言葉を続けた。
 「賢者の石を作ってたんだ」
 スカーは詰め寄り、少年の胸ぐらを掴もうとした。
 「隠すことないだろ、本当の事じゃないか」
 エンヴィーは、にやついた笑顔でスカーを見ると美夜に視線を移した。
 「賢者の石って聞いた事があるわ、作るのが難しいって」
 「そうなんだよ、でもドクターって凄いんだ、作っちゃったんだよ」
 そのとき、男の声がした、ああ、ドクターのお帰りだと少年は笑った。
 
 「ねえっ、俺って親切だからさ、教えてあげてたんだよ、彼女に色々と、ドクターの昔の事」
 エンヴィーの姿を見たマルコーは混乱した、ラストに続いてエンヴィーまで現れたことに。
 二人に出て行くようにと声をかけようとした、だが、美夜に向かってエンヴィーは聞きたいよねと声をかけた。
 「善人だって、いい人のふりしているけど、ドクターってさ、人体実験してたんだよ、賢者の石を作る為に大勢の人間の命を使ってさ、でも今は医者をしてるんだ、それってさ、偽善ってやつじゃない」
 「人間を使ったってこと」
 彼女の視線を感じて思わず視線を逸らしそうになったマルコーは絞り出すような声で本当だとわずかに首を項垂れた、だが、それだげては終わらなかった。
 「ドクターって人肉を食べてたんだよ、シチューやステーキで、医療チームの連中と一緒に」
 「あれは、おまえ達が」
 「ええー、また、自分は知らなかったって言えば何でも許されると思っているのかなあ」
 「人肉をね、カニバリズムか、それっていつのこと」
 興味があるのか、美夜が話に食いついたことにエンヴィーは笑顔になった、すると、彼女は絵エンヴィーに近寄った。
 「人肉ね、ところで、人間の肉を食べると病気にかかりやすいって知っている、B型肝炎、C型肝炎ウィルス、極めつけはクールー病」
 彼女の言葉にエンヴィーは言葉を飲み込んだ。
 「特にクールー病はタンパク質の一種のプリオンが連鎖反応を引きおこし脳細胞がスポンジのようにスカスカの状態になるらしいのよ、笑いが止まらなくなり、異変と異常行動を起こし、三ヶ月から二年で死ぬのは確実といわれてたっけ」
 エンヴィーだけではない、マルコーもスカーも無言のまま、視線を彼女に向けている。
 「嘘はよくないよ、事実なら先生はまともに歩くことも会話もできない筈、今こうして生きているのも、あららだよ、それに人肉を食べたと思い込ませるなんて簡単でしょ」
  「なんだよ、それ」
 「饒舌すぎる、言霊を使ったね」
 聞いた事の無い言葉にエンヴィーは理解しようと困惑の表情になった。
 「なんだよ、それ、コト、ダマって」
 エンヴィーの顔がわずかに歪んだ。
 「人体実験なんて未来の医学向上の為には必要な事もあるのよ、大人は大変なの」
 「あんたを賢者の石を作る材料にするかもしれないよ」
 それは大変だーと聞いているのかいないのか、美夜は少年に背を向けた。
 「人様の過去をほじくり返して、よっぽど暇なのね、大人には事情とか、知られたくない人とか色々とあるのよ、大変なの、それを重箱の隅を突くような事をして、まあ仕方ないか、君はお子様みたいだしね」
 鼻で笑われてエンヴィーは、むっとした顔になった。
  「腹立つなあ、あんた」
 エンヴィーは相手の体、その首を掴もうと手を伸ばしだが、不意に動きを止めた、あと少しでというぐらいに近い距離でありながら。
 「さあ、今から、君に呪いをかけてあげようか」
 「な、何を言ってんだ、あんた」
 このエンヴィー様に呪いをかけるだなんて、本気で、笑い飛ばすつもりだった、だが、言葉が出てこない。
 自分の顔をじっと顔を見つめる女の顔は、そこらにいる女と変わらない、平凡な顔立ちだ、なのに、それなのに、女が笑った。
 「嘘を言ってる顔に見える、これが」
 
 オタクの知識が、こんなところで役に立つとは、目の前の少年は自分がペラペラと喋った事を信じ始めている、カニバリズムの映画、自主制作から、海外の動画サイト、色々と見たのだ、ネットでの情報も漁って居た事がsuchところで役立つとは、よかった、本当に良かった、このまま、まっすぐ家に帰ってくれと思ったが。
 
 「ねえっ、そこまでにして許してあげてくれないかしら」
 不意にドアが開いて入ってきたのはラストだった。
 「少しいたずらが過ぎるけど、弟なのよ」
 自分の味方が現れた、ほっとした顔になったエンヴィーだが、ラストが女に、にっこりと笑った事に、あれっと思った、初対面じゃないと分かったのだ。
 「知り合い、なのか」
 「驚いたかしら、それから、あなたの尾行だけどかなり前から気づかれてたわよ、氷結の錬金術師に」
 エンヴィーのまさかと言いたげな表情にラストはやっぱり自分たちは変わったということを改めて実感した、
 会話が楽しいと思った、カフェでドクター・マルコを誘った、それも自分からだ、あのときの行動は自分でも驚いていた、まるで人間のようだと思ってしまう。

 ドクター・マルコーは医者、錬金術師としての腕は確かだ、だが、それがなければ、どんな取り柄があるのか、陰鬱な顔で暗い表情をした少なくとも自分が出会った、いや、知っているティム・マルコーとは、そういう人間だった。
 「ねえっ、ドクター、あんたには医者で錬金術師だ、でも、それだけだよね、ずっと一人でさ、今までもこれからも、その面で生きていくなんてつまラナイ人生だね、ずっと死ぬまで、女と楽しんだ事はないんだろうね、男とかも」
 突然、大きな音が、自分の顔の前で女が両手を合わせてバンっと叩いたのだ。
 「猫だましよ、効いたでしょ」
 姉の前で弟の顔に平手打ちするわけにもいかないからと美夜はエンヴィーを睨んだ。
  
 「帰るわよ、エンヴィー」
 ラストの呼びかけに少年は、はっとなった。
 「あなたの負け、完敗よ」
 「俺はホムンクルスだ、人間なんかに」
  「あー、耳に、そよ風が、今日、日曜だっけ」
 むかつくと思いながらエンヴィーは女の顔を見ることができない、俯いてしまったからだ。
 


エンヴィー✕マルコ 感想

2020-09-27 11:29:26 | 二次小説

自分で書き始めたけど、自給自足というだけでは愛の成分、萌えが足りないので検索かけて二次小説とか、夢はないのかと調べてみた、マルコー先生は主役ではないげと、原作では最後まで生き残っているし、大佐やハボックの治療しているし、人柱候補、人気はあるはずだと思っていたのだ。

探してみたらあったよ、しかも監禁、人肉を食べさす、おいおい、カニバリズムか、エロまであって色々とてんこ盛りなんだけど、こんな凄い話が書けるなんて、読んでる自分が落ち込んでしまったわ。

自分は今のところギャグ路線だから、尚更、そう思うのかもしれない。

エンヴィーがSM、サドっぽいから先生の普通という部分が色濃く強調されるのかしれない、やはり少しシリアス路線の話も入れた方がいいのかと悩み中だよ。


男、二人は宿で爆睡、彼女は買い物で婆さんと間違われた、アイザックという男に

2020-09-25 22:09:52 | 二次小説

「アイザック・マクドゥーガル、貴様に移動命令が出ている」
 自分が何を言われたのか、すぐには理解できなかった、数日前に出した退職届はどうなったと聞きたかったが、上司の視線は問答無用と言わんばかりだ。
 しかも、辞めたければ新しい上司、大佐に直接と言われてアイザックは唇を噛んだ。
 
 「どうです、久しぶりにお茶でも」
 尋ねてきた白スーツの男は、にっこりと笑う、仕事はうまくいっているのかと聞くと、そうですねと肩を竦めた。
 「軍にいたときとは違います、色々と不便な事もありますが、でも楽しいですね」
 「楽しいだと、以外だな、人殺しでもしてるのか」
 「まさか、人妻の浮気調査、家出人の捜査、行方不明のペットを見つけたりとか」
 まさか、本気で言ってるのか、だとしたらいかれている、いや、おかしくなったに違いないと思っただろう、ひねくれて世間を斜めに見ている性格を知っているからだ。
 コーヒーを一口啜り、男は自分を見ると、にやりと笑った。
 「実は今、人捜しを、それで軍の資料を覗きたいんですが、私は民間の探偵、いわば一般人ですから、おいそれと施設に入ることはできないんですよ、それで」
 協力して欲しいんですと言われ、アイザックは何故という顔になった、浮気調査や家出の調査なら何故、軍の資料室など関係ない筈だ。
 「突然、姿を消してしまったんです、しかも理由がない」
 そんな事、珍しくないだろう、生活に不満を抱いて現状から逃げだそうとしている人間は大勢いる、子供だろうと、いや、大人でも関係ない。
 「ドクター・マルコー、元、軍の医療班に所属していました、ご存じですか」
 面識も顔も見たことはない、だが、名前だけは聞いたかもしれないとアイザックは記憶をたぐりよせた。
 「医者が行方不明なのか」
 元軍に所属していたなら頷ける、ところが、いいえと予想外の答えが返ってきた。
 「先生の助手です、ですが、医療に関しての知識はない、皆無です」
 なんだ、それは、しかも一般人、市井の人間だと続く言葉にアイザックは言葉が出ない、このとき、まさかと思った。
 いや、この男に限ってあり得ないと思いながらも聞かずにはいられなかった。
 「助手というのは、もしかして、女なのか」
 キンブリーは頷いた。
 「先生が捜索願を出されているのを知りましてね、それで」
 「それは警察の仕事、いや、医者に直接依頼されたのか」
 男は首を振った。
 「なら、ただ働きにならないか」
 「そうですね」
 何だ、今の返事は、正直、返す言葉がない、いや、出てこない、これが他の人間なら笑い飛ばして女の気を引く為か、ご苦労な事だ、久しぶりに飲みに行くか、話を聞かせろ、酒の肴に丁度いいと思っただろう。
 だが、この男、キンブリーだ、言葉が出て、いや、何を言えばいいのかわからなかった。
 

 退職届は握り潰されてしまった、こうなったら新しい上司に直談判するしかない、しかし、ロイ・マスタング大佐というのは結構な有名人らしい、仕事はほどほどだが、影で画策したり卑怯な手を使い部下の女、恋人を片っ端から奪って横取り、いや、手を出しているらしい。
 仕事ができるとか、それ以前の問題ではないだろうか、そんな男が自分の上司か、正直、働く気力も起こらないというか、最初からない。
 ただのスケベ野郎だ、そんな男が上司だとは、絶対、退職するぞと決意が新たになったのは言うまでもない。

 セントラルの街に着くと宿を取った、今日はゆっくりと街を散策して軍に出向くのは明日だ。
 ついでに新しい仕事も見つけたい、そういえば、あの男、キンブリーのやつはどうしているだろう、連絡先を知らない事に気づいた自分に正直、呆れてしまった。
 
 通りに出たときだ、自分の前を歩く人物の後ろ姿が目にとまった、大きな荷物を持ってあるいているが、足下がふらついている。
 追い越そうとした瞬間、相手の荷物が地面に散乱した、いや、相手が転んだのだ。
 食べ物、果物、水の入ったボトルが地面に散乱する。
 「大丈夫か、婆さん」
 アイザックは助け起こそうと体を屈めて手を伸ばした、だが、顔を上げた相手は年寄りでも老婆でもなかった。
 女が自分の手を取った瞬間、アイザックは、わずかに緊張した。
 
 ここ数日あまり眠っていなかったせいだろう、宿に着いてベッドに横になると、そのまま眠ってしまったらしい、二人部屋で壁際のベッドにはマルコーがいびきをかきながら眠っている。
 小さなテーブルの上にはレモンの輪切りがたっぷりと入った水差し、皿が二つ、ナプキンを取ると山盛りのサンドイッチが置かれていた、空腹を感じて思わず手を伸ばすとマルコーが目を覚ました。
 「久しぶりに、よく寝たよ、いい気分だ」
 腹が減っているだろうとスカーはサンドイッチをすすめた、手を伸ばしかけたマルコーだが、彼女はと尋ねてきた。
 たしか隣の部屋だ、呼びにい行こうと思ったが皿の上の紙切れに気づいた、広げて見るが書いてある文字が読めない、マルコーに分かるかと見せる。
 「彼女の伝言だ、買い物に行ってくると書いてある」
 「読めるのか」
 簡単な言葉だけ教えて貰った、だが、日本語というのは難しいと笑いながらマルコーは皿を見た、空になっている、よかったら自分の分も食べるかいと勧めるが、スカーは首を振った。
 「食欲が戻ったのかい、いいことだ」
 「別に、いつもと変わらん」
 素っ気ない言い方だが、彼らしいと思いながらも、ほっとした、行方不明となっていた間、捜索願い、届けを出した方がいいとアドバイスをくれた、自分の事も、彼女の事も気遣ってくれのだ、だが、それを表には出さない為、周りからは誤解されやすい。
 
 不意に壁のコートを取るとスカーは見てくるとドアに向かった。
 「ベッドから起き上がろうとしただけで転けてたぞ」
 自分も一緒にといいかけたマルコーをスカーは、いいやと首を振った。
 「すれ違いになったら面倒だ」
 「そうかい、あと、余計な事を言うかもしれんが、もう少し彼女に」
 何を言おうとしているのか分かる、だが、それほど器用ではないのだ、自分は。
 「言いたいことは分かる、だが、子供ならともかく、危機感がなさすぎる、正直、腹が立つが、責める気はない、悪かったと思っている」
 「そうか、おまえさんの顔を見るとだな」
 「この顔は生まれつきだ」
 
 自分よりは若いのに婆さんなんて言ってしまった、悪かったと思いながらアイザックは立ち上がった女を見た、ズボンが土で汚れている、転んだのは初めてじゃないのか。
 このとき、自分でも驚くような言葉が何故か、すなんなりと出た、家まで送ってやると。
 宿に泊まっているんですと言われて、そういえば外見からして、この国の人間じゃないと、改めて気づいた。
 女と並んで歩き出したが、しばらくしてアイザックは視線と気配を感じた。
 つけられている、自分が任務の最中なら、そういうこともあるだろうが、今は違う、確認するつもりで靴紐がほどけたふりをして地面に屈み込んだ。
 
 
 
 
 


花占いとお迎え、大佐の覗きに色々と 改 書き直し

2020-09-22 20:33:15 | 二次小説

後半部分、推敲、手直し、襟字なるキャラや設定は、増やしたらまずいと思って削除しました。

 

 

昼を過ぎてしまった、先生は来てくれるとキンブリーさんは言っていたけど、段々と不安になってきた、窓際の花瓶の花を一本抜き取った、そして花びらを一枚ずつむしる。
 先生は来てくれる、いや、来てくれない、途中で帰った、帰ってない、最後の一枚になった。
  「来てくれない」
  思わず手に持っていた花を、えいっと床に投げつけた、人生の終着地点が、すぐ、そこに迫っていると思ってしまった。
 来るといっても数日はかかるらしいのだが、マイナス思考なことはかり頭の中をぐるぐるだ。
 このまま、野の花みたいに枯れてしまいたいなどと考えてしまう。
 時計を見ると三時、世間ではアフタヌーン、おやつの時間だ、もし、ここが軍の施設でなくて先生の家ならシフォンやカップケーキ、クランペット、バターたっぷりの焼き菓子を、コーヒーや紅茶と一緒に食べているところだろう。
 あのスカーでさえ、先生の作る菓子や料理も残さずに完食、お代わりもする、ちょっと図々しいんじゃないのと思うが、居候の自分が遠慮しろなんて文句は言えない。
 仕事が休みだから先生のところに泊まっているのは、食べ物、食事か美味しい事も関係しているのかもなんて事を思ってしまう。
 
 もう、寝よう、外は明るいけど、今の自分は無気力の駄目人間、そう言われても仕方ない、壁際に寝返りをうって世間様から背中を向けてたとき、ドアをノックする音がした。
 入りますよとキンブリーさんの声がした。
 「こちらです、先生」
 思わず、起き上がろうとしたが、ずっと寝てばかりだったので足がしびれてベッドからずり落ちてしまった。
 
 「大丈夫かね」
 マルコーさんの声に、わずかに上半身を起こして両手を伸ばして抱きついた、ほっとしたという安心感、とにかく腕に力を込めて抱きついた。
 「く、苦しいっ、首がっ」
 その声に慌てて体を離す、顔を、まともに見る事ができない、もしかしたら来てくれないかもと思った自分の顔面を平手打ちどころか、殴ってしまいたいくらいだ。
 (先生は、ちゃんと来てくれたじゃない)
 
 食欲はあるかね、少しでもいいから食べなさいと言われて目の前に置かれたバスケットを見ると中には色々な焼き菓子が沢山詰まっていた、見ているだけで思わず食べたいと思ったが、何故か、手が出せない。
 「これは最後の晩餐ですか、先生」
 仕事を休んで、ここまで来て迷惑千万かけまくり、ごめんなさいと呟く彼女にマルコーは困惑した、何故、そこまでマイナス思考になるのかと思ってしまったが、もしかしてと思い。
 「誰かに、何か言われたのかね」
 女が硬直したように、呟きも止まった。
 彼女が正式な助手になったと知ったとき、村の人間は喜んでいた、いや、中には専門の知識がないのにと思う人間もいたかもしれない、だが、そのことも事前に、きちんと説明した。
 ふと、視線を感じて振り返ると後ろにいたスカーと目が合った、その瞬間、無言で男は目を逸らした。
 村の人間でない、だが、そういう事を言いそうな人物は一人しかいない。
 (もしかして、何か言ったのか、君は、スカー)
 とにかく気持ちを前向きにさせなければとマルコーは食べなさいと声をかけた 
 「おまえさんの面倒は私がみると村の皆には言ってある、そうだ、帰ったらシチューを作ろう、クリーム、ビーフがいいかな」
 マルコーの言葉に気持ちが緩み、クリームと呟く、芋と人参をたくさんというリクエストも忘れないのは女性ならではの、お約束という奴だ。

 「先生、今夜の宿はお決まりですか」
 キンブリーさんの問いかけに先生は宿を取るつもりだと言う、そんな会話を菓子を食べながら食べながら聞いていた。
 「少し、この街でゆっくりして、汽車で帰るつもりだ、最近は忙しかったし、休みを取るには丁度いい」
 「そうですか、どうせなら、ここより離れたところのホテルや宿の方がいいかもしれませんね、ねえっ、大佐」
 そのときまで、ドアの前に立っている男の存在に初めて気づいた。
 「その方が彼女も安心してぐっすりと眠れるというものです」
 「キンブリーッ、貴様」
 「私の中の正義の心とでもいうのでしょうか」
 ぐっと言葉に詰まったマスタングは唸った。
 (悪党面のくせに、よく、そんな台詞が平気な顔で)
 
 「私は敷地内の見回りをだな」
 「大佐、覗きは犯罪です、ついでにスリーサイズの」
 「れっ、連呼するんじゃない、それにサイズはまだ、未確認だ」
 大佐=覗きは確定となり、部屋の中は、しんとなった。

 そうか、軍の施設に保護されたのか、それなら大丈夫だろうとリン・ヤオは、ほっとした。
 皇帝という立場になり即位したが、生来の気質は抜けるものではなく、暇な時間を作っては国内、外を問わず行ってくると言い残してふらりと旅に出たりしている。
 まだ国は完全に立ち直ったとは言えない、だが、諸外国の事も気になる、それに友人や知人に会いたいと思い、今回は少し、まとまった休みを取ることにしたのだ。
 即位する前とは違い、何も言わずに出て行くことははばかられたので、従者のランファンにだけは、少し出かけてくると言って出たのだ、ところが、彼女はこっそりとついて来た、それが分かったのは城を出て三日目のことだった。
 そして、途中で盗賊、いや、盗人の集団に出くわしたのだ。
 
 食べ物だけではない金目の物、宝石だけではなく、誘拐されたのか、女までいた事には驚いた、しかも、ずっと眠ったままだ。
 リン・ヤオは不安になった、シン国には独自の療法もあり、治療を受けに他の国から来る人間も少なくない、薬、気の流れを変える術を施して見ても女は目が覚めない、死んでいる訳ではない、ただ、こんこんと眠り続けているのだ。
  
 イシュヴァールの診療所へ帰るのではなく数日、この街のホテルで泊まって、それからゆっくりと帰ろうということになった。
 また、気を遣わせて、おまけに余計な出費まで出させてしまった、内心、がっくりとした美夜だったが、マルコーの言葉に、こうなったら甘えようと決心した、診療所に帰ったら、掃除、家周りの草むしり、窓の隙間風を塞いで、とにかく役に立つところを見せなければと思った。
 
 そろそろ帰り自宅の準備をしようと思ったとき、訪問者が現れた、青年と若い娘、二人よりも歳上らしき男性の三人だ。
 リン・ヤオは女の姿を見ると安心した表情で、誘拐に最初に気づいたのはシャオメイ、自分の従者だと説明した。
 眠り続けて目が覚めない事に困り、軍の施設なら医療設備も揃っているということで、ここに運ばれたらしい。
 話を聞いて、そうなんだと思ったが、今は、こうして目が覚めているし、さっきまでは焼き菓子もバクバク食べていたので至って問題ナシだ。 
 それにしても先生だけでなく無関係の人間にまで迷惑をかけている。
 しかも、リン・ヤオという青年は王、皇族らしい、若いのに立派だなあと思っていると、見舞いだと言って包みを渡された、受け取った紙袋は温かい、中を見ると中華まんらしきまんじゅうが入っていた。
  さっきまで先生のお手製バターたっぷりの焼き菓子を食べていたので、それほど空腹感はないが、こういうとき、後で食べますというと気を悪くしないだろうかと思って頂きますと一つ、頬張った。
  「お嬢さん、良かったら、焼き菓子を食べない」
 自分だけ食べているというのもなんとなく具合が悪いので、助けてくれた女性に声をかけた。
 
 ショートブレッドを囓った彼女が美味しいと呟く、その顔を見て内心、そうでしょうと自慢したくなった。
 先生の菓子は、いや、料理も凄く美味しいのよと。 
 
 


書き直す予定

2020-09-22 09:34:21 | 日記

「花占い、先生のお迎え、大佐の覗きとか、色々とあって」

少し前に書いたハガレンの二次、Upしたけどちょっと書き直そうかと思っています、賢者の石とは違う、聖人の石というのをオリジナル設定で出したけど、続きを書いているうちに何でも叶えてくれるというのは都合が良すぎるけど、普通の人間は絶対、裏があるよなあと思ってしまうんじゃない、まあ、欲に目のくらんだ人間にそんな事を言っても馬耳東風な気がするというか、右から左へスルーなんじゃないと思うけど。

リンファンの腕が治ったのはいいとして先生の顔が元通りというのは、ちょっとご都合過ぎないか、原作、アニメでも自分には相応の顔だって納得しているんだし、ヒロインは先生の顔の事なんて最初はびっくりしたけど今は平気だし。

 

後半の部分ちょっと、推敲、書き直ししてUpします、でも以前の奴はそのまま、残すつもりです。