結果はアマチュア将棋連盟のHP
で既に拝見された方も多いと推察されます。
首都圏ブロック大会は以前は、
東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県の
1都3県在住の方で7つの全国大会代表枠を争う大会でしたが、
3年前から23区7名、多摩地区3名
神奈川県・埼玉県・千葉県 各6名の計28名の代表が
7つの全国大会の代表枠を巡って争う大会になりました。
人口920万人の神奈川県が代表枠6名
人口733万人の埼玉県も代表枠6名
人口627万人の千葉県も代表枠6名
人口比では
神奈川県:7名
埼玉県:6名
千葉県:5名
が適正ではないか?と考えています。
もう一つ今回も含めて過去三年間の成績
神奈川県代表 21勝10敗
埼玉県代表 17勝13敗
千葉県代表 8勝16敗
参考までに
東京23区代表は12勝16敗
多摩地区代表は5勝8敗
先ほど7名が妥当では?
と言ってしまったが、、、
首都圏大会の成績から考慮すると
過去3大会の代表のうち8名が
神奈川県から選出されているため、
28名×8名/21名=10.667
10名~11名が妥当。
つまり神奈川県代表枠
少なすぎる。
これをアマレンの主張しましたが、、、
本部には、神奈川県の選考方式がオカシイ。
参加費が高すぎるという声は寄せられているが、
代表枠が少ないという声は一切寄せられていない。
とのことであります。
何と神奈川県の将棋ファンは謙虚なのでしょうか!
今回の大会の冒頭では、「都県大会への苦情は本部へ」
と野山理事長からご挨拶がありました。
一部の理事や大会関係者だけでなく、
大会参加者、一会員の声を大事にする。
これはとても大事なことですが、
大会の回数やら方法。組合せの公表が先か?後かよりも、
選手層の差が如実に出てしまう大会で
変なところだけ公平にするのは如何なものかと思う次第です。
これを見た神奈川県の方はぜひ、神奈川県の代表枠が少ないのでは?
という声を 日本アマチュア将棋連盟 hhh00156@nifty.com
まで寄せて欲しいところであります。
そんな話はさておき、、今回の大会で素晴らしい名局が生まれたので、
紹介させていただきます。
今回、元三段(しかも退会したばかり)、アマチュア最高タイトルの
元竜王2名、直近の令和最強戦優勝者と鬼ブロックの6組1回戦
渡辺誠さん(神奈川県)VS 小高悠太郎さん(千葉県)
渡辺さんは、アマチュアタイトル経験を持つ強豪。
神奈川県代表として全国大会に出場すると常に優勝候補。
一方、小高悠太郎さんは、年齢制限で昨年惜しくも奨励会を退会。
出場制限解除となったこの大会で早くも千葉県代表を獲得。
いくら渡辺さんといえど、王将は譲らざるを得ない。
関矢寛之さんがいない今回の首都圏ブロック大会では、
事前の予想では鬼ブロックとは言え、代表獲得が最有力視されていました。
小高さんの振り駒で全てと金となったこの対局、渡辺誠さんの先手となった。
先手▲渡辺誠さん(神奈川県)
後手△小高悠太郎さん(千葉県)
1 ▲7六歩
2 △3四歩
3 ▲2六歩
4 △8四歩
5 ▲2五歩
6 △3二金
7 ▲7八金
8 △8八角成
9 ▲同銀
10△2二銀
11▲4八銀
12△3三銀
13▲4六歩
14△6二銀
15▲3六歩
16△6四歩
17▲1六歩
18△1四歩
19▲3七桂
20△4二玉
後手一手損角換わりからの出だし。
3七桂に対する4二玉も無難に見えたが、、
大事な一番でここから仕掛けが始まるとは想定外。
21▲3五歩
22△同歩
23▲4五桂
24△2二銀
25▲1五歩
手筋と言われればその通りですが、
※この手の意味をだいぶ先に知ることになる。
26△同歩
27▲2四歩
28△同歩
29▲同飛
30△2三銀
31▲6四飛
32△6三歩
33▲2二歩
いくら行き場のない飛車とは言えタダ、、
桂馬を入手してと金を作っても流石に無理筋では、、、
と自分のような凡人は思うが、、、
34 △同金
35 ▲6六角
36△3二玉
37▲2四歩
それでも飛取りを放置し、角を手放して
最後の持ち駒の歩を2四に打つ。
38△6四歩
39▲2三歩成
40△同玉
やっとここでさっきの1五歩の意味が分かりました。
41▲1五香
42△同香
43▲24歩
飛車角と歩3枚を持ち駒にして、駒得している後手ですが、、
右半分の駒が全く働いていないので素人目でも悪く見えてしまう。
44 同玉
45 2二角成
無理攻めに見えた先手の攻めですが、、、
仕掛けの段階からこの局面が見えていた渡辺さんに脱帽。
しかし小高さんも負けてはいない。
ここで渡辺さんが席を立った瞬間に、、、
46 △3六角
47▲6八金
流石にここまで来て頓死(6九飛)はあり得ない。
48△2七角成
49▲2一馬
ここで取った桂馬で決まるのではなく、ぴったり受かる。
50△1九飛
51▲3九桂
52△1六馬
小高さんの馬も仕方なく引かされた。
ではなく
何気に4三馬を消しているのが凄い。
53▲3二馬
先手は歩切れでまだ居玉。
しかし案外手を渡されると難しい。
と思ったら逃げ道を確保しながら相手玉に
迫る好手が出る。
54 △3六歩
55 ▲27銀
56△3一香
57▲4二馬
58△3四玉
59▲1六銀
読みが入ったせめぎ合いが続く
3九の桂馬が効いていて3五の地点には逃げられず
更に1六銀と馬を取り入玉の望みを絶たれる。
60△同飛車成
61▲3一馬
62△2七歩打
2八歩成が間に合えば、後手に勝機はあると思ったが、
ここからの先手の寄せがまた凄い。
63▲1三馬
64△2四銀
65▲1四馬
66△1三歩
67▲3三桂成
同玉~42玉~52玉~63玉と逃げられたらどうするんだ??
と思いましたが、この場合は3四香、4二玉、3一角、
5二玉、4一馬でぴったり詰み。
この局面で後手玉は詰んでいました。本譜は、
68△同玉
69▲3四香
70△同玉
71▲1二角打
指されてみると納得ですが、
3三桂成の時点では、
自分には全く見えませんでした。
72△35玉
73▲4五角成
74△2六玉
75▲3六馬
76△投了。
投了の瞬間は唯一の望みの入玉の道を絶たれ、
先手は最後まで居玉ながら攻め手が全くないため。
と恥ずかしながら思っていましたが、、
1七玉と逃げても
2七馬、同龍、同馬で簡単に詰んでいました。
解析結果では、後手の小高さんには、悪手も疑問手も一切なし。
最善率も74%。相手が悪過ぎたようです。
渡辺さんの深い読みに支えられた鋭い攻めの数々に、
改めて将棋の醍醐味を知った次第です。
小高さんは1回戦敗退でこの日は終了。
この大会。敗者同士の対局がないのは、
勿体無い気がします。