何処かの田舎の方の駅。
私は其の駅で旧型客車を見た後、家に帰りました。
然し、思い立って、又駅に来ました。そして、客車に乗り込みます。
別に何処かへ行きたい訳では有りません。只、中に入って見たかった丈です。
すると、程無く、列車が動き出しました。やばいと思いました。
未だ、人が歩く位の速度です。急いで出入口に行って飛び降りたら間に合います。旧型客車なので扉は手動です。
然し、私は出入口を捜して飛び降りる迄にスピードが上がって仕舞い、無理だろうと諦めました。次の駅で降りる事にしました。
そして、ポケットに小銭が入ってるか捜しました(先程迄切符を買わずに駅に出入り出来たのが不思議です。無人駅だったのでしょうか)。幸い、右の胸ポケットに幾らか有りました。往復の切符代位は有りそうです。
そして、車内を歩く事にしました。
前の方に歩いて行くと、丸で低床バスの様に床に段差が有って、前の方が低くなって居ます。
低くなる手前の所では、客席の所に、高い所と低い所の間に衝立が有りました。
其の衝立の手前の客席には、衝立と一体になった奥行の浅いテーブルが有り、其のテーブルの上には、丸で作家の書斎の机の様に、文庫本やペンや丸眼鏡や原稿用紙で有ろう紙が雑然と置かれて居ました。
ポケットの中に有った小銭を数えながら歩いて居た私は、其のテーブルに小銭を幾らか落として仕舞った様で、テーブルを弄ろうとしました。
すると、其の後の席に座って居た男が私を睨み付けました。
其の一瞬で私は何かを悟りました。
恐らく、此のテーブルや座席は、昔(夏目漱石とか川端康成とかの時代)の高名な小説家が使って居た物で、無造作に置かれた品は彼の生前の儘の配置では無いかと。
そして私は黙って段差を降りて客車の前の方に行きました。
前の車両に来た所で次の駅に着きました。
次の駅で客車から降りた私は、扉を如何しようか迷いました。
降りる時は閉まって居たので降りた後に閉めて置きました。
然し、直ぐ後で、着物を着た御婦人が来て、扉を開けて乗り込みました。開けといた方が良かったかなと思いました。
扉は窓が三段に分かれて居ました。
此の辺で夢が終わりました。
(『見た夢(其の668)』迄は此方から)
見た夢(其の668)迄