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「アイの歌声を聴かせて」感想

【ネタバレ】

◎「アイの歌声を聴かせて

 「ポンコツAI、約束のうたを届けます。」
 「最後にきっと、笑顔になれる――。」

 2021年10月29日(金)公開、監督と原作は吉浦康裕、脚本は吉浦康裕、大河内一楼、108分。

 総合評価は上中下で中くらい。

 AIのシオン(芦森詩音)(cv土屋太鳳)、サトミ(天野悟美)(cv福原遥)、トウマ(素崎十真)(cv工藤阿須加)、ゴッちゃん(後藤定行)(cv興津和幸)、アヤ(佐藤綾)(cv小松未可子)、サンダー(杉山鉱一郎)(cv日野聡)、 サトミの母で仕事人間で星間エレクトロニクスのAI研究者でシオン開発の責任者の天野美津子(cv大原さやか)など。

◯シオンみたいな感じの騒々しさのキャラは嫌いなので、映画館での予告を見るだけでも嫌でしたが、今年のアニメ映画としては見ておいた方が良いように思ったので見ました。公開1週間くらい前にシオンが歌をいくつか歌うミュージカルでもあると聞いて、ミュージカルは苦手なので、上記と合わせ、それを知っていたら前売りを買わなかったでしょう。

 物語としては、着実に進んでいき、どんでん返しもあり、これはこれで良いと思います。

 シオンが、秘密は最後に明かされる旨を予告で言っていました。シオンは小学生の時のアレだったのでサトミとトウマを知っていたし、トウマのお願い(AIであるシオンにとっては絶対の命令にあたる。)だったのでサトミを幸せにしたいと思ったというものでした。
 シオンみたいな感じの騒々しさのキャラとミュージカルが苦手でなければ、かなり楽しめるのではと思います。

 なお、シオンがポンコツAIという設定なので、突然歌い出してミュージカルみたくなることに違和感はあまりありません。

○AIは命令されたことしかしないというのは、一応は守られています。しかし、抽象的な命令をどう具体的に実行するかというのはAIによるのでしょう。
 サトミがいじめられていて自殺したいと思っていたら、AIはサトミを幸せにするためにいじめっ子を殺すか大けがさせるかも知れません。サトミが貧乏で空腹に苦しんでいたら、AIは泥棒をするかも知れません。法律違反はしないという制限が掛かっていたらそのようなことはしないのかも知れませんが、AIは自律思考もするので、サトミが目の前で飢え死にしそうだったら自律思考を積み重ねて泥棒をするかも知れません(シオンはサトミのためにハッキングをしていますが、ハッキングが合法とは思えません。)。

 本作ではシオンは、自分で自分のデータをネット世界に流し込んで消去されずに生き延びた訳なので、AIがどのような発達をするのか分からないという面も示しています。

 それとは別に、トウマは小学生の時から天才で、高校生で大企業の星間エレクトロニクスなどのネットのセキュリティを簡単にやぶっているとか、ネット社会の危険性というものも示しています。
 シオンは星間エレクトロニクスのAIのハッキングをしていて、AI対AIの対決という面もあります。

 これらがあるので、ネットに頼り過ぎる社会、デジタル化の進んだ社会というのは、利便性より不安が勝ります。





 新宿ピカデリーにて。



【shin】


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