2014年秋から2015年冬アニメの感想の続きです。
あとは、大物6作+αかな、意外なことに5月中になんとか書けるかも。でも、寄生獣はどこまで書くか迷ってます。簡単にしないと、書く時間がないですし。
◎「四月は君の嘘」(全22話)
総合評価4.8点(5点満点)。
2014年秋から2015年冬アニメ。死の病で死んでしまうというありふれたところは上手く描かれていて嫌味も過剰なお涙頂戴もなくて良かったですが、結局は死の病というありふれたことだったので少しマイナスです。
コメディやギャグ顔と、シリアスのバランスも絶妙でした。最後まで見てから見直すと、特に かをり と椿、そして亮太の、公正と かをり の気持ちにここでうすうす感づいていたのかも知れないなとかも含めて、微妙な気持ちの動きがより切なく感じられます。
嘘から真実にたどり着く、という感じもとても良かったです。
また、毎クール、種田さんの形容しがたい素晴らしさ、当たり前のようにキャラがそこにいる素晴らしさを再認識しています。
母のトラウマで途中から自分のピアノの音が聞こえなくなる天才ピアニストの有馬公生(ありま こうせい)(cv花江夏樹)、天才バイオリニストの宮園かをり(cv種田梨沙)、澤部椿(cv佐倉綾音)、渡亮太(わたり りょうた)(cv逢坂良太)、かをり以外の3人は幼馴染で仲良し。
ピアノのライバルの井川絵見(いがわ えみ)(cv早見沙織)と相座武士(あいざ たけし)(cv梶裕貴)、公正の母で公正にピアノをスパルタ指導していた有馬早希(故人)(cv能登麻美子)、公正の母の友人でピアニストで公正を指導する瀬戸紘子(cv園崎未恵)、武士の妹で公正にピアノを教わる相座凪(あいざ なぎ)(cv茅野愛衣)など。
○ 1話、かをり はバイオリニスト、かをり は椿に亮太を紹介してもらって。
2話、コンクールで他の奏者は静止画でヴァイオリンの音も変哲のないものなのに、かをり の時は動きがあった上に、音の艶も伸びも響きも全然違うというのは、差を付け過ぎで、分かりやす過ぎて、笑えました。
楽譜通りに演奏せずに(後に、病気になったので楽譜に関わりなく自由に弾くことにしたと判明。)、でも魅力的で聴衆が大拍手する演奏をできる かをり は順位なんて興味ない旨言いますが、公正に演奏がどうだったかを聞くときに左手が微かに震えていたのは、順位は気にしていないけれど審査員から認めてもらえない自分に不安を感じているのでしょう(2話後半)。
強がっていても、自己承認欲求ですね。中学生ですし、そこは特に気にするでしょう(後に、病気が大きな要因とも判明。)。
○ 3話。伴奏者に呆れられて逃げられた かをり が無理矢理に公正を伴奏者に。「くじけそうになる私を、支えてください。」と泣きながらお願いする かをり。
どうしてここまで公正にこだわるのかは、この段階では今一つ分からなかったのですが、最終話で分かりますが。
「くじけそう」の意味も、病気も一因だと後で分かりますが。
○ 4話で、トラウマから演奏を途中でやめざるを得なくなった公正、何とかやり直して かをり とともに聴衆の大歓声。
5話の川に飛び込む前。もうやってられるかと楽譜を投げ捨てても拾い上げて演奏を始める演奏家はたくさんいるはず、「そうやって、もっとも美しい嘘が生まれる。」と公正に言って川に飛び込む かをり。
それは2話での かをり の手の震えと合わせて考えると、かをり 自身への嘘でもあり、自分に嘘をつかないと不安になる かをり を表しているのでしょう。
最終話まで見ると、入院はたいしたことはないということについての嘘でもありますが。
「君は、私と同じ演奏家だもの。」というのは かをり のモノローグで公正には聞えていないのでしょうけれど、「私は、演奏家だもの。君と同じ。」とは3話で公正に言っており、5話で「君は、忘れられるの?」とも言う かをり。「忘れられるはずない。忘れられるはずないよ。僕は、君と同じ、演奏家なんだ。」と思い、かをり につられて橋から川に飛び込むとか。
4話の演奏後に倒れて入院していたのに、かをり は元気なことで。
何故にこんな元気なのかは、最後まで良く分かりませんでしたが(騒ぐだけなら空元気で納得できるのですが、身体的にも元気なのが何故なのかと。)。
○ 6話後半。ソフトボールの試合でケガして公生にだけは見破られて、おぶられて、「音楽が何よ、言葉が何よ。私達には、一緒にいた長い長い時間があって、ちっぽけで、大切な思い出がたくさんある。」と思って試合に負けて悔しくて泣く椿。幼馴染という絆を確認した椿、公正が好きなことを止められない椿。
でも、幼馴染とお隣りさんいう以外に2人の絆は何もないことにも気付いているのでしょうね、椿は。
○ 14話、13話のコンクール当日に倒れて入院した かをり の病状は悪そうですね。見舞いに来た公正らにそれを隠すために、いつものように明るく賑やかな かをり を演じる かをり というのは・・・後から思えば死の病と分かっていて、そうでもしないと崩れてしまうから。中2ですしね。
病死した母と かをり を重ねる公正。
かをり の何もかもが、公正が母の死というトラウマを乗り越えるため、という感じ。一方、公正の何もかもが、かをり が微笑んで死ぬため、と最後まで見ると思います。
○ 16話、しかも、手も具合が悪そうで(ベッドで弓を落とすシーンがあったので。)。死の病ではなくて、かつ、足だけなら車椅子でもバイオリニストとして活躍できるでしょうに、と思ったのですが。。。
ラスト「あたしと心中しない?。」と公正に言った病室の かをり。その前に「いちご同盟」(1990年出版)という本を映すということは、癌ということなのか、単に死ぬ確率がとても高い病ということなのか。いずれにせよ、そういうことなのでしょう。
17話冒頭、「嘘。言ってみただけ。」とつなげる かをり。
18話後半、後日「心中はできないよ。」「君と肩を並べるチャンスをください。もう一度、僕と一緒に弾いてください。」「それに君が言ったんだ。忘れられるの?、って。」と言う公正。「君は、残酷だね。」と涙と微笑みで言う かをり に、「知ってると思った。僕は外道なんだ。」と軽く微笑んで言う公正。
中学生にしては大人びたことを言う公正でしたが、何故だろう?。何故そこまで自信を持って、かをり を傷つけかねないことを言ったのだろう?。
かをり を愛していて、それを自覚していて(かをり が本当は公正が好きだということは、最終話まで分かっていなかったはずですが。)、というのもあるでしょうけれど、中学生としては同じトップクラスの演奏家として演奏家である かをり のことは十二分に分かっているという自信、特に、演奏家は死ぬまで演奏家でありたいものだという心理、更に、心中と言うということは演奏家をやめるということですから、かをり がまず助からないと理解した、ということでしょう(最終話で公正が演奏中に手術失敗をイメージしたように。)。
そして、少し頼りなさげだった公正が かをり の影響でピアノに再び本気になれ、自信を概ね取り戻した、ということでしょう。
○ 最終22話。公正の演奏、皆のおかげで復活できた演奏、かをり や椿やライバルなどを思い出し感謝しながら。
改めてこのシーン、台詞少な目の公正と かをり の共演の想像シーンを見ると、22話後半を思って悲しくなります。
わずかな可能性に賭けた かをり の手術が失敗するイメージの公正の想像(?)で前半が終わり、後半は学校の日常を背景に死んだ かをり についての回想、かをり から公正あての手紙を かをり が読み、時々、かをり が公正を前に話しているという構成。
中学生らしいといえば中学生らしい、無邪気さゆえの少し残酷な内容の手紙。5歳のときに公正のピアノを聞いて公正との共演に憧れてピアノをやめてバイオリンを始めた かをり、同じ中学と知って公正に近づくために亮太が好きだと嘘をついた かをり、カラッとした文体(と手紙を読む かをり の口調)で亮太に謝っておいてと書く かをり。公正に「好きです。」「ありがとう。」。
かをり らしいといえば かをり らしいですが、これまでは某弱無人で自分勝手であれども嫌な子という感じはほとんど無かったのですが、これはちょっと嫌な子ですねえ。
上述の構成というのも視聴者を泣かせよう、泣いてくれ、という構成ではなく、押しつけがましいのも何なのでそれは良かったのですが、かをり がちょっと嫌な子になってしまった感があるところは、ちょっとだけ残念。
なお、かをり にもう少し感情移入している視聴者は、そうは思わないと思います。
自分が生きた証、それを残したかったという かをり の気持ちは分かりますし。
君の嘘、つまり かをり の嘘は、
亮太の嘘、つまり軽薄に見せていて実は本当の愛を知らないだけという亮太自身への嘘をあばき、
椿の嘘、つまり椿の公正への気持ちという椿自身への嘘をあばき、
公正の嘘、つまり公正のピアノと母への思い、母の公正への思いを公正自身が誤魔化していたという公正自身への嘘をあばき、
君の嘘、つまり4人それぞれの嘘は、それぞれの未来へと繋がる青春の一歩をようやく踏み出すことに繋がったのです。
○ 写真。スペースの違いに、放送後の人気の高さが伺えます。
アニメジャパン2014にて。
アニメジャパン2015にて。
【shin】
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